「これからは、ますます多くの人たち、特に知識労働者が、雇用主たる組織よりも長生きすることを覚悟しなければならない」 ドラッカー「プロフェッショナルの条件」
大企業が破たん吸収され、名前は同じでも全く異なる事業体に変質してしまう姿を目の当たりにすると、知識労働者は組織の寿命を超えていく必要に迫られています。
個人が組織の寿命や変化に捉われず働いていくにはどうしたらよいか? 私の経験に基づいた例を一つあげたいと思います。
現在行っている事業は、海外企業との提携によって成り立っています。米国、中国、韓国、インドの企業と提携して、サービスの提供を行っています。 仕事を行うには英文での契約締結が必要でした。
日本の電機メーカで働いていた時に海外企業との技術提携契約交渉に関わる機会がありました。当時、優秀な国際法務の担当の方が契約の骨子作成から契約を交渉締結するまでの過程を間近に見ることができました。
その後、業務上、英文の守秘義務契約や購買契約の翻訳をする必要が生じ、慣れない翻訳に何日もかかりましたが、社内の法務担当の方に内容をチェックしてもらいました。
契約書のチェックを国際法務の企業に外注したら相当な費用を請求されると思います。 もちろん、この時は社内の法務部でしたのでお金はかかりません。 今から考えてみると、とても良い勉強になりました。 起業後、英文での契約交渉を自分で行うことができました。
企業に勤めるという経験はありがたいものです。給与をもらいながら知識生産のスキルを身に着けるための勉強ができるのですから。
たとえ企業を辞めてもあるいは企業がなくなっても身に着けた法務の知識は廃れません。
知識生産の道具は企業の寿命を超えて携行することができます。