創発企業経営

起業13年目の会社の経営、事業報告

渋沢栄一 (3)

2012年10月20日 | 経営
日本の実業界発展のための大動脈整備のために第一国立銀行を設立した後、渋沢栄一が手掛けたのは製紙業でした。 これが1873年に設立された抄紙会社、現在の王子製紙です。
 
ここでも渋沢栄一の先見性には驚かされます。
 
当時の日本はまだ和紙が主流で、印刷に適した用紙が普及していませんでした。
 
製紙業は、いまでいう情報産業を支える媒体であり、情報インフラでした。 当時情報伝達のインターネットのブラウザと通信網の役目を果たす役割が「紙」であったということができます。
 
王子製紙株式会社回顧談でこのことを渋沢栄一は次のように語っています。
 
「文運が進歩しなければ、一般社会の智識を発達させるわけにはゆかぬ。 智識が発達しなければ、従って総ての事業も隆盛をいたすことは出来まい。」
 
そうして、渋沢栄一は約500の企業の設立に関与し、その範囲は、鉄道、海運、紡績、保険、鉱山、織物、製鉄、登記、造船、ガス、電気、印刷、製油、石油、セメント、ビール醸造、水産、煉瓦、腎臓肥料、ガラス、ホテル、倉庫、取引所.....
 
日本経済のあらゆる基礎を築いたといっても過言ではありません。
 
2000年上の歴史において、日本が中国の経済規模を上回っていたのは最近100年だけのことで、中国は世界のGDPの20%以上を占める超大国でした。
 
なぜこの100年、日本がアジアにおいて最先進の地位を占めることができたのか? ずっと疑問に思っていました。
 
明治維新に、きら星のごとく驚くべき若い才能が現れ、しかも活躍する場が与えられ..
例えば、海外に行く機会のなかった坂本龍馬がその後の日本の政策の先駆けともいえる政策を作り、日本初の商社を作れたのか?
 
それを可能にしたのは、武士階級の存在と論語教育であり、その基盤を士魂商才として利用した渋沢栄一の存在があったからではないかと思います。
 
この項 了