日本共産党千代田地区副委員長 冨田なおき

衆院東京1区で3度出馬。17年総選挙は政策協定結び比例で立候補。22年参院選に比例代表から立候補を決意しました。

戦後71年・戦争犯罪の認識について

2016-08-17 01:32:51 | 平和
8月15日、戦後71年を迎えましたが、この拙文をお読み下さっているあなたは、どんな思いで迎えられたでしょうか。

この日の東京新聞に載った、
長崎の原爆をテーマにした「母と暮せば」を昨年発表した映画監督の山田洋次さんと、
広島の被爆者の取材を続けるジャーナリストの堀川惠子さんの対談は、腹の奥に残るものでした。


山田さんが、「戦争が始まった」や「原爆が炸裂した」など主語が書かれない問題に触れた後、
広島を現職米大統領として初めて訪問したオバマ氏の発言について、被爆者の中でも意見が分かれる問題が取り上げられました。
山田さんは、「日本人はみんな悩んだでしょうね。あの言い方は許せないとか、いや訪問しただけましだとか。
それにしても『死が空から落ちてきた』(中略)は、なんとも不思議な表現でした。あまりにもごまかしだった」

「アメリカ人の常識に従って(中略)敗戦を早める効果があったとしても、広島と長崎の犠牲者には誤って当然」「しかし大切なことは、それを日本人が批判する場合、同時に日本の軍隊が戦争で犯した中国をはじめとするアジアの国民に対する恐るべき殺害についても謝罪する態度がないと、均衡を各のではないでしょうか」と指摘しています。

旧満州で少年時代を過ごし、13歳で終戦を迎えた山田さんはさらに、
「口にしにくいことだけど、日本人は威張って」おり、
「中国人は劣等な民族で日本人に支配され奉仕するのが当たり前だと、
子どもも大人も思っていたんじゃないかな。
口にするのも恥ずかしい光景をいくらでも覚えているけど、ともかく、
誤っても誤りきれない罪を中国や朝鮮の人々に犯したのではないかと、僕は思ってます」と述べます。

堀川さんは、現役大統領が広島に来たのは象徴的な光を発した出来事だとしたうえで、
その光で浮かび上がったのは、日本人の戦後の生き方、広島への向き合い方だった、自分に返ってくる気がしたと述べ、
そのあとこう指摘します。

「広島の原爆供養塔に収められた遺骨を自身捜し歩いて分かったのは、
(中略)全国から広島に集められた人たちが原爆で亡くなった」
「広島が戦争末期、(中略)軍の拠点だったからです。宇品港からはたくさんの兵士が出征し、アジア侵略の玄関となりました。

私たちがそういう不都合な歴史の側面に本当に向き合ってきたのかというと、曖昧にしていてきちんと議論できていない。
だからオバマ氏が来たときに、原爆を投下された被害国、そして加害国としてどう発信するかという土台、根っこがぐらついて、
アジアの人々をも納得させる議論ができない」。

堀川さんは、次の企画の取材で、俳優の手記を当時の新聞で調べていると、
「その横に中国の重慶爆撃の記事が」「敵の拠点を見事に焦土化した、日本万歳、という見出しです。まさに米国が日本の市民にしたのと同じ行為を、ずっと前にやっていた。簡単に米大統領に謝れ、謝れとは言えないなあと思いました」と思いを吐露すると、

山田さんは、「重慶には百回とか二百回とかの爆撃を繰り返し」「得々として新聞が報道したし、ざまあみろと国民は思っていた。そういうむごいのが戦争でした。米国人も日本に原爆が落ちて何十万人死んでも、よくやったと思ったのでしょうか」と述べた後、

映画「幸福の黄色いハンカチ」の原案であるアメリカのジャーナリスト、ピート・ハミルのコラムだと紹介し、
彼の母親が子供たちに「昨日、日本のヒロシマという都市で罪のない人が大勢、アメリカの爆弾で死んだ。不幸な人たちのために祈りましょう」と話したこと、母の言葉に従い、ピートも手を合わせたというエピソードを紹介します。
そして、「重慶爆撃で亡くなった中国人のために祈った家族が日本にいたのかな」「少なくとも少年の僕は爪のあかほども考えなかった」「中国人やアメリカ人を殺して当たり前と思っていたんです。そのことを反省しないで、オバマさんの悪口は言えないというのが、正直な気持ち」と語っています。

対談は報道が禁止された問題、戦争体験の伝承について、異なる意見が言いにくい問題など、多岐にわたりますが、

私は、戦争を二度と繰り返さない、正義の戦争なんてない、という率直な反省が日本社会の原点だと確信します。
ですから、政府主催の戦没者追悼式で、天皇の「お言葉」で、追悼の意とともに昨年に続き「深い反省」を表明したことは、大変に重要なことだったと思います。

それにひきかえ、安倍首相はどうか。
「戦争の惨禍を決して繰り返さない」と述べながら、
「加害」と「反省」に4年連続触れず。

自民党閣僚全員が侵略を美化する「靖国派」の議連・グループに属しており、
実際、閣僚の靖国神社への参拝が相次ぎ、
首相自身が玉串料を納めるという、
宗教行為であると同時に、靖国神社と歴史観を共有しているとアピールするもの。
その歴史観とは、日本の過去の戦争を「自存自衛」「アジア開放の戦争」を賛美・美化するものにほかなりません。

自民党は改憲草案で9条2項を削除して戦力・軍隊を持つこと、
緊急事態条項で独裁を可能にすることをはっきりとねらっています。

しかし、あえて登用したタカ派中のタカ派、稲田防衛大臣を靖国参拝させることはできず、
急ごしらえのジブチ視察をさざるをえなかったことにも、矛盾が表面化しています。
靖国参拝への批判は、アジア諸国だけでなく、アメリカからも、政権の予想を超えた非常に強いもの。
第2次大戦にいたった侵略戦争の歴史を正当化するなどという行為が、国際社会の戦後の再出発を根底から否定する暴挙だということを、
政党・政治家はもちろんですが、私たち日本国民の共通の認識にもっとしていく必要をあらためて感じます。



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