情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

日本人記者が自戒の念を表明「大量破壊兵器の存在を否定する情報を軽視…」

2005-12-23 17:36:28 | メディア(知るための手段のあり方)
ブッシュ大統領がイラクには大量破壊兵器がなかったことを認めたが,この点について,共同通信ワシントン支局の杉田弘毅さんが,新聞研究2006年1月号で,「イラク戦争の期間中,東京でデスク作業をした私にも苦い思い出はある。開戦の流れが固まったと判断してからは,イラクの大量破壊兵器の驚異を伝える記事は説得力を持って見えたし,大きく扱いもした。大量破壊兵器の存在を否定する情報があっても『どっちにしても戦争は始まる』との思いから,軽視した。『政権の速記者』との批判は耳に痛い」と告白している。

この告白は,ニューヨークタイムズで開戦の機運を煽る記事を書いたジュディス・ミラー記者に関する記事の中で触れられたもの。ミラー記者が政府の言い分を伝える速記者だなどと批判されていることを紹介した後,「これはミラー記者だけの問題ではない。どこの国でも安全保障担当の記者は『脅威が迫っている。戦争は近い』という記事を書きたがる。一面に大きく載るし政府からも情報を得やすい。だが,『大騒ぎするな』といった記事は厚遇されない。政府からも嫌われる」と実態を赤裸々に明かしている。

戦争に対して,本来,批判的に書かなければならない記者が熱狂的な記事を書いてしまう歴史は,いまも続いている。だからこそ,常日頃から,政府の言動に批判的な視点から記事を書く癖を怠ってはならない。

もし,ペンの力によって,イラク戦争を未然に防ぐことができたなら,何万人の命を救うことができただろうか?

米国政府がテロ対策のために(?!)行った非合法な盗聴に関して,ニューヨークタイムズが記事を書いたことに対し,米国政府は「国を危険にさらした」などと批判しているようだが,そのような批判に筆を折ってはならないことは,上の例からも明らかだろう。


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1 コメント

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TBありがとうございました。 (habichan)
2006-01-11 16:06:25
TBありがとうございました。