情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

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自民党がHPで共謀罪に対する世間の「誤解」を増幅?!~誤解は確信へ…

2006-05-25 19:23:19 | 共謀罪
自民党がHP(ここ←)で,共謀罪について,世間の批判に対して反論をしている。しかし,その反論がまったく幼稚というほかなく,本当に情けなくなってくる…。

まず,「犯罪の国際化、組織化、高度情報化に対処する刑法等改正案(条約刑法)について」と題するPDFファイルについてみてみよう。

■■引用開始■■
【】部分は,自民党の説明に対する私見

1.なぜ国内法制度整備が求められているか、その背景

 国際社会のグローバル化の進展とともに、犯罪も国境がなくなりつつあります。
2001年の米国の9.11同時多発テロ、中東やアジア、欧州等で頻発する爆破テロなど、国境を越えたテロ集団の犯罪が活発化しているほか、こうした犯罪を支えるマネーロンダリングによるテロ資金の移動も巧妙化しています。
 どの国も、自国の安全と国民の命を、自国のみの努力では守れない時代になりました。残念なことですが、これが国際社会の冷厳な現実だということを、冷静に受け止めなければなりません。
 こうした現実に対処するため、国際社会が協力し、国連で2003年9月、「国際組織犯罪防止条約」が発効しました。
今年4月までにアメリカ、イギリス、フランスなど、すでに119カ国が条約を締結、ドイツ、イタリアなど、議会承認を終え、締結作業中の国も数多くあります。わが国としても条約の締結を急ぎ、国際社会の一員として責任を果たさなければなりません。日本を組織犯罪の共謀やマネーロンダリングの拠点にするようなことがあってはならないからです。

【ということは,国際的な犯罪,越境性のある犯罪のみを対象とすればいいってことになるのでは…。なぜ,自民党は越境性を要件とすることに反対するのかねぇ】

【また,そもそも,「どの国も、自国の安全と国民の命を、自国のみの努力では守れない時代になりました。」というが,それは,例えば,第1次大戦の時からずっとそうでしょう。もっと言えば,国民を不安に陥れ,言うことを聞かせるための常套手段に過ぎない。(ここ←参照)説得力な~し。テロ対策は,テロ(レジスタンス)を起こす原因をなくすことであって,テロ(レジスタンス)を押さえつけることではない】


2.組織犯罪から国民を守る共謀罪の新設

 国際犯罪、組織犯罪、情報犯罪は、いまや私たちの身近な生活に隣り合う脅威となっています。
 例えば、国際犯罪としては、暴力団などによる覚せい剤等の密輸入や売買が普通の国民生活の中に溶け込み、高校生や中学生が手を染めたといった事件の報道も珍しくありません。また、風俗店などを舞台にした女性の人身売買、密入国の組織的な受け入れ等も常態化しており、密入国者による殺人や強盗などの凶悪犯罪、強制退去後の再入国によるリピーター犯罪なども日常茶飯の出来事となり、社会不安を高めています。

【別に昨日今日の傾向ではないでしょう。国際化が進めば,外国人による犯罪が発生するのは当たり前。日本人だって海外で犯罪を犯しているのであり,外国人による一般の犯罪が増えているということ(これ自体事実か否か不明だが…)を共謀罪成立の必要性に挙げるのは,関東大震災のときの外国人に対する集団暴行を想起させ,申し訳ないが反吐が出そうになる】

 組織犯罪は、暴力団による経済犯罪の増加や、悪質な詐欺商法などが代表的ですが、占有屋等の反社会勢力による競売物件の居座り、巧妙化する振り込め詐欺、摘発されても次々に形を変えて現れる悪質商法など、組織犯罪による事件の報道に接しない日はないといっても過言ではありません。

【占有屋にしても悪質詐欺商法にしても,ずいぶん歴史のある犯罪であり,いま,共謀罪を新設する必要性を裏付けるものとはなりません】

 情報犯罪もわが国社会の急速なIT化、インターネットの日常化とともに増大し、効果的な対応策の構築が急がれています。インターネットを利用した決済やバンキングの普及にともない、重要な個人情報を守るセキュリティー技術の確立とともに、コンピューターウィルスの作成・ばら撒きや、ハッキングなどに対する罰則強化、また摘発体制の整備などを進めなければなりません。

【それと共謀罪が何の関係があるのでしょうか?】

 組織的な犯罪に対し共謀罪を整備することは、このように国際的な要請であるだけでなく、身近な私たち自身の生活の安全と安心を守ることなのです。

【わかりましぇ~ん。例えば,共謀罪が成立したら,こういう場合の犯罪をこう防げるっていう例も挙げられないんですね】


3.共謀罪に問われるのは組織的な犯罪集団による重大犯罪

 新設される「組織的な犯罪の共謀罪」は、対象犯罪が死刑、無期又は長期4年以上の懲役又は禁錮に当たる重大犯罪に限定されています。

【「重大犯罪」が広すぎるって批判されているんですよ,分かってるくせに,その疑問には直接答えないのですね…。自民党の言う「重大犯罪」には,万引きも,ひったくりも,痴漢(強制わいせつの場合)も,自転車泥棒も,入る。むしろ,普通の犯罪で入らない方を探す方が大変だ】

また、組織性の要件についても、暴力団の縄張り獲得のための殺傷事件など、団体の不正権益の獲得・維持・拡大の目的で行う犯罪を共謀した場合に処罰するなど、厳格に指定されています。

【「団体の不正権益の獲得・維持・拡大の目的で行う犯罪を共謀した場合」に限定されているっていうのなら,そう条文上に書けばぁ】

したがって、個人が同僚や友人と犯罪実行を合意しても共謀罪は成立しません。

【個人は何らかの団体に所属しているんだよね】

また、犯罪行為を実行するための組織を持たない市民団体や会社などの団体に属する人が共謀したとしても、共謀罪にはなりません。

【「犯罪行為を実行するための組織を持たない」場合は,共謀罪にならないっていうのなら,そう条文に書けばぁ】

 そもそも、「共謀」とは特定の犯罪を実行しようという具体的・現実的な合意がなされることをいいます。したがって、単に漠然とした相談や、居酒屋で意気投合したようなケースでは共謀罪は成立しません。

【だから,「具体的・現実的な合意がなされる」場合のみ適用されるって,条文に書いたらいいじゃない?!なぜ,書かないのかねぇ。】


4.あまりにも無責任なマスコミの報道姿勢

 今回の改正案をめぐっては、一部マスコミが「日常会話や心の内面まで取り締まられる」、「犯罪団体以外の団体が取り締まられる」、「盗聴社会・監視社会になる」、「治安維持法の適用拡大を繰り返してはいけない」といった批判キャンペーンが繰り広げられています。

【「批判キャンペーンを繰り広げています」じゃないと主語述語が整合しないでしょう…。それに一部マスコミではなく,多くの市民が指摘しているんですよ。分かっているくせに…】

また、共謀罪に「CDをコピーして友人に売る相談」、「一気飲みさせようと相談」、「自転車を盗んでやろうと相談」なども適用される、といった荒唐無稽な話があたかも事実であるかのように宣伝されています。

【「荒唐無稽」…。国旗国歌法制定時に,「君が代を強制しない」と断言したのは,政府・自民党だったよね。荒唐無稽っていう意味分かってる?】

 いうまでもなく、このような論調は暴論であり、国民を惑わすものです。

【暴論だという根拠を示すべし。条文の文言を引用して反論しないと意味な~し。そういう真っ当な主張もせず,「暴論」とか言う自民党の主張の方が「暴論」だ】

報道機関は社会の公器であり、”公共性”、”公益性”を第一に、公生な報道を行ってもらいたいものです。

【政党は社会の公器であり,”公共性”、”公益性”を第一に、公生な政策立案を行ってもらいたいものです。】

5.国民の懸念解消に向けた与党修正案

 しかしながら、マスコミの報道姿勢は別にして、「犯罪の国際化、組織化、高度情報化に対処する刑法等改正案」に対しては、一般国民が組織的な犯罪の共謀罪に問われるのではないか、といった漠然とした不安を感じる人がいるのも事実です。

【「漠然とした不安」ではなく,「明確な不安」ですよ。】

 そこで、与党はこうした不安を払拭するため、まず対象をテロ集団、暴力団などの組織的な犯罪集団に限定するとともに、共謀罪を適用する範囲について「犯罪の実行に資する行為」という要件を加えたほか、「思想および良心の自由を犯すようなことがあってはならない」との文言を付け加える修正案を提出しました。

【「テロ集団、暴力団などの組織的な犯罪集団に限定するとともに」…してないじゃん。限定したっていうなら,条文で明文化して下さい】

 その上で、さらに再修正案として、「犯罪実行に資する行為」という表現を「犯罪実行に必要な準備その他の行為」とより明確に限定するとともに、「憲法の保障する国民の自由と権利を不当に制限してはならない」との文言をつけくわえ、国民の権利保護への配慮を明確にしています。

【「その他の行為」ってなんじゃねん】

【条文を引用して説明できるのは,結局,「思想および良心の自由を犯すようなことがあってはならない」憲法の保障する国民の自由と権利を不当に制限してはならない」という単なる休め部分だけ。本当に限定したって言うなら,条文の文言を指摘しつつ解説して下さい】


6.民主党は”責任野党”として国民に真摯な対応を

 今回の組織犯罪対策強化の前提となる国際組織犯罪防止条約を、わが国は平成15年5月に国会で承認しています。この条約承認は、与党(自民党、公明党)だけでなく、民主党、共産党も賛成しました。しかし、民主党は条約に賛成したにもかかわらず、また国際約束であり、犯罪防止に有効な重要な法案であるにもかかわらず、この法案に反対しています。

【民主党も共産党も,当時は気づかなかったんだよ。危険性に気づいたから反対しているだけ】

 民主党は対案として修正案を提出していますが、その内容は(1)国内犯罪を一切除外し、国際的な犯罪の共謀だけを処罰する、(2)法定刑が長期5年を超える犯罪の共謀だけを処罰する―というもので、条約に違反する内容であるばかりか、肝心の国民の安全や不安の解消に何の効果も及ぼさない、まったく不十分な内容になっています。

【へぇ~,「不安」を解消するために,刑法の体系を変えようとしているんだぁ。というか,「不安」につけ込んでるわけだね】

 民主党の国会対応は、今回の法案だけでなく、これまでもその時々のマスコミ論調によって賛否が揺れる、軸足の定まらないものでした。今回も同じような対応であるとすれば、国民の不安を直視しない、国民に対して極めて不誠実な対応であるといわざるを得ません。
民主党に対しては、5月12日の法務委員会理事会協議で与党再修正案を渡しています。民主党には責任ある対応を期待したいと思います。

【少なくとも今回の民主党の姿勢は,自民党よりもよっぽど立派だ。条文の文言に基づいて議論ができているからね。】



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1 コメント

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Unknown (Nasbon)
2006-05-25 23:55:49
TBありがとうございます。

政府も与党も信用できないので何を言っても

だめでござんすよね(笑)

国旗国歌法で既に実績がありますもん。

信用を回復するところから始めてもらいたいですね。