情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

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SM-3による弾道ミサイル迎撃実験が偽装成功であったことの大図解~ノドンには役立たない!

2007-12-23 11:25:25 | 有事法制関連
 自衛隊が成功したと言いふらしているスタンダードミサイルSM-3の弾道ミサイル撃墜実験について、完全な偽装だということがよく分かる図解をつくったので、ちょっと見て下さい。こんな素人でも分かる偽装「成功」で、1兆円を税金から充てようとしているのかと思うと本当に腹立たしい。

 まずは、左側のA→B→Cという流れのグラフを見て下さい。

 Aは、「平成15年度 政策評価書 弾道ミサイル防衛(BMD)システムの整備」(http://www.mod.go.jp/j/info/hyouka/15/jizen/sankou/01.pdf)の6頁にある弾道ミサイルの飛行経路を描いたグラフだ。ちょっと分かりづらいが、一番大きい緑色は大陸間弾道弾、左の小さい赤色は短距離弾道弾、その横の青色二つが中距離弾道弾を示し、青のうち小さな方がノドンと同じタイプを示している。グラフに書かれている「ブースト」というのは、ロケットが噴出している推進段階のことを指し、「ターミナル」というのは、大気圏に再突入して着弾するまでの段階のことを指す。その中間がミッドコースと呼ばれる。グラフにそれぞれ赤い線がひいてあるが、最初の線までがブースト段階、赤線と赤線の間がミッドコース、二つめの赤線から最後までがターミナル段階となる。SM-3は、このうち、ミッドコースで弾道ミサイルを迎撃するタイプのミサイルである。

 Bは、その拡大図。今回のSM-3のミサイル撃墜実験では、高度100マイル、すなわち160キロで撃墜したことが発表されている(http://www.mda.mil/mdalink/pdf/07news0053.pdf)。そうすると、SM-3の撃墜可能高度は、160キロ以下ということになる。そこで、Bの図に赤ボールペンで高度160キロとなる点をマークした。そこからターミナル段階までが迎撃可能地点ということになる。ちなみに、ターミナル時点でのノドンの速度は、秒速3キロとなり、しかも、刻々と速度は増すため、SM-3(速度秒速3.7キロメートルとの情報あり。http://www.bmpcoe.org/news/archives/2003/knockout.html)をもってしても、捉えにくくなる。正面から向かってくるミサイル以外の迎撃は困難だろう。

 こうしてみると、SM-3が迎撃可能な範囲は、赤ボールペンの斜線部分のみということになる。

 Cについては、後で確認する。

 次に右側の①→②→③と言う流れの地図をみてほしい。①はノドンの射程と日本の関係を示したもの。現在、ノドンの射程は1300キロとされており、東京まで射程に入る。

 ②は、発射地点と東京(赤マーク)が水平になるように向きを変えたものだ。

 さぁ、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい。ここからだよ、お代をいただくのは。この左側のグラフBと右側の地図②を上下に組み合わせるとどうなるか…。

 試してみたのが、一番下の図だ。グラフCは、グラフBの一部、迎撃可能段階を緑色で塗ってみた。地図③は、地図②の一部だ。ノドンが発射されて東京まで届く間、どの時点で迎撃可能となるかがよく分かる。少なくとも日本海上空ではないよね。

 これで、はっきりしたと思う。SM-3を積載したイージス艦をいくら日本海に浮かべても、ノドンを迎撃することはできない。1兆円はどぶに捨てることになる。

 そもそも、SM-3は、広い範囲を守るように造られたものではない。航空母艦を含む艦隊を守るために造られたものだ。このことは、米国CRS report for Congress(http://fas.org/sgp/crs/weapons/RL33745.pdf)の41頁において、「The committee notes that the Aegis BMD system, and its SM-3 interceptor, is deployed today and provides an important missile defense capability against short- and medium-range missiles deployed widely in theaters where U.S. forces are forward deployed.」(委員会は、イージスBMD(イージス弾道ミサイル防衛システム)とSM-3ミサイルについて、今日、短・中距離弾道ミサイルから米国軍隊が展開した地域を広く守るために展開されていることに注目する)などと書かれていることからはっきりしている。そもそも、すでに米イージス艦にはSM-3が搭載されているが、それらがどの国のどの地域を守るかなんてことは米国の文書にはまったく出てこない。つまり、イージス艦本来の役割、米国艦隊を守るために展開されているに過ぎないのだ。

 では、米国がそれでも日本にSM-3を売りつける狙いは何か。それは、現在開発中のSM-3のブロックⅡというタイプの性能が鍵を握っている。上記米国CRS report for Congressには、次のような恐ろしい指摘がしてある。

 「A faster-flying version of the SM-3, called the Block II/IIA, is now being developed (see discussion below). The Block II/IIA version is intended to give Aegis BMD ships a capability for intercepting certain ICBMs.」(SM-3のより高速のブロックⅡ/ⅡAと呼ばれるタイプが開発されている。このタイプは、弾道ミサイル迎撃イージス艦にある種のICBM(大陸間弾道弾=アメリカを狙った核ミサイル)を撃墜する能力を付与することを狙っている)。つまり、アメリカは、日本をアメリカのイージス(楯)にしようとしているのではないだろうか…。


※ちなみに、こういう視点からの批判もあります。できたらできたで、怖いってこと…。http://www.news-pj.net/npj/9jo-anzen/index.html(NPJより)
 
【追記】
高度が低いだけでは、この説明に納得いかない人のための補習。まず、再度図解。



ノドンが高度160キロで落ちてくるのは、たとえば東京を狙った場合、日本の陸上となります。そうすると、イージス艦で迎撃ミサイルを発射した場合、弾道ミサイルを追いかける形で迎撃しなければなりません。このような形での実験データがあるのでしょうか。どんどん、加速していく弾道ミサイルを追いかけて迎撃することはこれまでの実験以上に困難なことではないでしょうか?少なくとも、追いかける形での実験をしたうえで、導入するかどうかを決めるべきではないでしょうか?そういう検証すらしていないものに1兆円もの予算はだせん!

はっきりいって、陸上で迎撃ミサイル基地をつくる方が簡単かつ効果も大きくなると考えられるわけです。それにもかかわらず、イージスシステムでの迎撃システムに日本が参加するのは、①イージスシステムにより世界へのにらみを聞かせようとしているヤクザ国家の予算の一部肩代わり、②さすがに陸上に弾道ミサイル迎撃システムを設置すると、中国、ロシアを刺激するので、びびっている(私はびびること大いに賛成。市民同士の連帯で兵器放棄を目指すべきだと考えています)という二つの理由があると思われます。

■■追記以上■■

■■追記2■■
 この記事は、SM-3を日本海のイージス艦から発射してもSM-3が高度160キロまでしか届かないとすると、ノドンを迎撃できるのは日本の領土上になるうえ、後追いでの迎撃になるから、SM-3は実際には使えないということを立証しようとしたものです。2月21日にSM-3による人工衛星撃墜(発表によれば高度247キロ)が行われ、その観点から不可能だと立証することはできないことが分かりました(実験が発表通り行われていれば…ですが)。
 しかし、160キロを上回る高度でミサイルを撃墜する実験(ミサイルと衛星は違います)はまだ行われていません。私には、SM-3が人工衛星に当たっただけで、実用になることが証明されたと考えることができるほどの想像力はありません。
 仮に将来、実戦と同じ状況での実験(いつ、どこから、発射されるか分からないような状況で、ノドンと同じようなルートで発射されたミサイルを使った実験)が成功したとしても、攻撃ミサイルの数を増やされた場合にどう対処するかという問題も解決されていません。
 今回の衛星撃墜がこの記事に与える影響はありますが、私自身ののミサイル防衛システムに関する意見(無駄、無理、有害)に与える影響はほとんどありません。
■■追記2以上■■


■■追記3■■
産経新聞によると、

【迎撃は二段構えだ。まずイージス艦の海上配備型迎撃ミサイル(SM3)が大気圏外で撃ち落とし、失敗すれば地対空誘導弾パトリオット(PAC3)が着弾直前に迎え撃つ。
 SM3の迎撃可能な高度は100キロ程度で、ハワイ近くまで届く最大射程でテポドン2号を発射すれば高度は1000キロに達し、迎撃できない。】(http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090313/plc0903130000000-n3.htm)

とのこと。

 やはり、撃墜可能高度は100キロ程度しかないのか?

 そうだとすると、この図解が正しかったことになるが…。

■■追記3以上■■

★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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ツイさっき、バック・イン・ジャーナル(ユーチューブ版)で… (田仁)
2007-12-23 15:33:41
田岡さんが「基本的にNMDは常に割に合わない。何故なら開発側が巨額の資金を必要とするのに対し、それに対抗するミサイルを作る側には、現在の技術を応用した僅かな改良で済むからだ。極論すれば、全てのミサイルに複数核弾頭を装備し、一斉に大量のミサイルを発射すれば必ずNMDはその内のどれかは突破出来る。しかも現在日本政府は1兆円の予算を組んでいるが、コレは『神世界』のお布施に例えればまだまだ50万円のレベルに達したかどうかという所」と言ってましたよ。
フフフフフ!米軍産能源複合体は当然、米国の破産さえ割と如何でもイインですから、日本の国家破産はマルで構いませんよ…!!!
(くどいようですがドルの基軸通貨からの転落は時間の問題。)
Unknown (Feigling)
2007-12-23 18:13:44
まず、今回の迎撃高度が約160キロであるからといって、SM-3の限界が160キロであるとは言えない事。
能力の詳細は恐らく機密ですので知りませんし、知り得る立場にあったとしても言えないと思います。
また、SM-3の射程は1200キロと言われているので、日本海に置いておくのが適切かと思います。
弾道弾の飛翔経路の真下に置いておく必要は無いわけですから。

イージス艦が本来艦隊防空のために設計されたものであるのは事実ですが、MD専用の艦を作るよりも手持ちのものを改造した方が安上がりだと判断したからだと思います。
既存のもので、一番MDに適していたのがイージス艦だっただけでしょう。

より長射程の弾道弾を使えば、より高高度に打ち上げ、速度を上げて迎撃を難しくする事もできますので、ICBMに対応するからといってアメリカの為だとは限らないと思います。

今回の成功でノドンを撃ち落せるようになったとは断言できないという点は同意です。
しかし、迎撃できないと断言する事もできないと思います。
若干の指摘 (喫煙者)
2007-12-23 18:39:58
「こんごう」実験でのSM-3による迎撃高度がノドン級ミサイルの高度にはるかに及ばないことは事実だが、SM-3の限界高度は約500kmだから、理論的には届かないわけではない。
なお、テポドン・ミサイルのミッドコース最高到達点は1000kmを越す高高度であるため届かない。
(さらに付け加えれば、北朝鮮がアメリカ合衆国をテポドン・ミサイルで狙った場合、日本上空は通らない場合が多いとされる。サハリン→千島列島→アラスカ→アメリカ大陸が最短距離。)

問題の本質は、「実験のための実験」という点。
BMDが抱える困難は、発射する時間・場所・標的、弾数、到達までの時間的猶予、ミッドコースの高度など不確定要素が多すぎ、また技術的な正確さを実現するのが非常に困難な点にある。しかし実験では、実際には不確定なこれらの情報をあらかじめ把握している状態である。
今回の実験で迎撃対象ミサイルの高度を百数十kmと設定したのも、こうした「実験のための実験」であることを示していると見るのが正確かと。

さらに、ロシアが既に多数実戦配備している多弾頭誘導弾道弾ミサイルはミッドコースで多数の弾頭にわかれ、各々が異なる標的に向かって異なるコースを取るため、技術的にBMDでは対応が不可能である点も重要。

従ってBMDが無駄であるとの疑いが強いのは変わらない。
推進vs否定、分かれる世界日報報道 (ゴンベイ)
2007-12-23 20:15:05
世界日報(日本語)社説(2007年12月21日)は、
■サイル迎撃成功/法整備で万全の防衛態勢を
http://www.worldtimes.co.jp/syasetu/sh071221.htm
と、推進論であるのに、
世界日報(韓国語)(2007/12/21 19:10)は、
■[世界プリズム] 日本が「MD実験成功」に浮かれ騒ぐ理由
ソース:http://www.segye.com/Articles/News/International/Article.asp?aid=20071221001973
邦訳:http://news24.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1198406956/
と、極めて否定的な論調。
世界日報は正直!? (田仁)
2007-12-23 20:45:12
南麻布の4丁目にある米軍秘密施設に犬さんとして招待された位で舞い上がって、施設の存在を素っ破抜いちゃう日本人なんかだと、こう書けば超簡単イチコロに騙せるだろうって読みでしょ…?!
確かに正論の編集長とか産経の論説だと騙せるかも。
Feiglingさん (ヤメ蚊)
2007-12-23 21:00:47
いろいろ確認しましたが、100マイル以上の高度で撃墜したという表現はあっても、それ以上に例えば120マイルだとかで成功したという表現はありませんでした。もし、より高々度で成功したならそのことを隠す必要はないでしょうから、現時点の限界は160キロとみてよいでしょう。1兆円も使おうとしているのだから、少なくとも、「立証責任」は政府・防衛省側にあるはずです。
SM-3の最大射程は約500km (ゴンベイ)
2007-12-24 12:27:39
×:SM-3の限界高度は約500km
○:SM-3の最大射程は約500km

Weapons Schoolが最大射程は約2000kmとしているのは、「traveling at 600 miles per hour」の読み間違い。
SM-3試験場のPMRF (ゴンベイ)
2007-12-24 16:51:41
ミサイル発射試験場の「Pacific Missile Range Facility」
★PMRF-Pacific Missile Range Facility - Official Navy Website
http://www.pmrf.navy.mil/
★Pacific Missile Range Facility (PMRF) / NS Barking Sands
http://www.globalsecurity.org/military/facility/pmrf.htm
★Pacific Missile Range Facility - Wikipedia, the free encyclopedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Pacific_Missile_Range_Facility
There are over 1,100 square miles (2,800 km²) of instrumented underwater range and over 42,000 square miles (109,000 km²) of controlled airspace.
標的ミサイルの着弾範囲は射場から北側の太平洋に向かって、西の半径はミッドウェー方向(この間にはパパハナウモクアケア海洋ナショナル・モニュメント (Papahānaumokuākea Marine National Monument)があります。)を、弧の北限は日米間の定期航路を限界として扇形に設定されていると思われます。SM-3が制御不能になった時の着弾もこの範囲に収まるようにテスト設計される必要があります。広いようでいて実は狭い範囲でしかSM-3による迎撃実験が行われていないという事は明確です。
Unknown (Feigling)
2007-12-24 17:05:14
>喫煙者さん
SM-3の射高が500キロというのは聞いたことがありませんが・・・

>ヤメ蚊さん
私が調べた範囲では2005年の実験までしか資料がありませんでしたが、遠地点が300キロの目標を降下中に迎撃しているようです。
分離弾頭のみに絞っても、遠地点227キロの目標を降下中に迎撃しているようです。
遠地点で迎撃できなくとも、降りてきたところで迎撃できれば良いと思います。

>ゴンベイさん
米軍の発表が「500km以上」だと聞きましたが、「以上」であって「最大500km」では無いと思います。
また、Weapons Schoolは射程を1200キロ以上としていますが?どこにも2000キロとは書いていないと思います。
さらに言えば、「traveling at 600 miles per hour」をどう読み間違えれば射程2000キロになるのでしょう?
このフレーズをMDAのFAQから持ってきたのだとすれば、あれは衝突時のエネルギーが「時速600マイルの10トントラックが壁に衝突した時と同等」という文脈だと思いますが。
SM-3が属するスタンダードミサイルの戦歴はイランがらみ (ゴンベイ)
2007-12-24 18:23:00
Standard Missile - Wikipedia, the free encyclopedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Standard_missile#Operational_history

米海軍が初めて行った艦対艦のミサイル戦闘は1988年4月のスタンダードミサイルによるイラン艦船への攻撃。

1988年7月に民間のイラン航空のエアバスを撃墜して290人を殺したのも艦対空スタンダード・ミサイル。
イラン航空655便撃墜事件 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%B3%E8%88%AA%E7%A9%BA655%E4%BE%BF%E6%92%83%E5%A2%9C%E4%BA%8B%E4%BB%B6

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