憲法改正国民投票法案に反対の姿勢を貫いてきた日弁連が,自民・公明,民主という与野党が発表した案に対する意見書(←クリック)をHPに掲載した。日弁連は,意見書で,「当連合会が前意見書で指摘した問題点につき、従来から批判の強かったメディア規制を削除する等、一定の改善が行われているものの、いまだ当連合会が指摘した基本的問題点のすべてを解消するものとはなっていない」と厳しく批判している。安倍政権発足→改憲への流れ,を前に在野法曹たる弁護士会が国民投票法案の問題点を指摘した意義は大きいと思う。同法案に反対する多くの方々がこの意見書を取り上げることを期待しつつ,紹介します。
意見書では,【1 投票方式及び発議方式について】【2 公務員・教育者に対する運動規制について】【3 組織的多数人買収・利害誘導罪の設置について】【4 メディア規制の削除と積極的な情報提供について】【5 発議後投票までの期間について】【6 最低投票率と「過半数」について】【7 賛成は少なくとも投票総数の過半数とするべきことについて】【8 投票用紙の記載方法について】【9 投票年齢について】【10 国民投票無効訴訟について】の10項目について指摘されている。
以前,このブログで最も重大な問題であると指摘した広報・広告が議席数に比例するよう定められている点については,
【まず、両案とも、広報協議会の構成を各会派の所属議員数を踏まえて各会派に割り当てるとしているが、各議院の議員の3分の2以上の賛成で国会の発議はなされるのであるから、憲法改正に賛成している国会議員は3分の2以上いることになる。そうすると、各会派の人数割りをした場合には、必然的に賛成派の議員が3分の2以上の多数を占めることとなる。そのような構成の広報協議会が周知・広報するとすれば、憲法改正賛成の論拠ばかりが広報され、反対派の意見は十分に広報されないのではないかとの疑念を生じさせる。】
と指摘している。もっともな指摘だ。
【この点については、両案とも、各会派の所属議員数を踏まえて各会派に割り当てる方法では、反対の評決を行った議員の所属する会派から委員が選任されないこととなるときは、当該会派にも委員を割り当て選任するようできる限り配慮するものとするとともに、協議会がその事務を行うに当たっては、「憲法改正案並びにその要旨及び解説等に関する記載、憲法改正案に関する説明会における説明等については客観的かつ中立的に行うとともに、憲法改正案に対する賛成意見及び反対意見の記載、発言等については公正かつ平等に扱うものとする」と規定している。
しかし、この規定だけでは広報の公正性を担保しうるとは評価できない。これを担保するためには、賛否の意見が平等に反映されるように委員を選出すべきである。
さらに、公正な情報を国民に的確に提供するという広報協議会の役割からすると、その構成員は、憲法改正案を発議した側である議員のみに限定するのではなく、有識者等十分な数の外部委員の選任も検討されるべきである。】
外部委員の導入はいい指摘だと思う。賛否対等な広報を保つためにどのような方法があるのか,さらに知恵を絞って欲しい!
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意見書では,【1 投票方式及び発議方式について】【2 公務員・教育者に対する運動規制について】【3 組織的多数人買収・利害誘導罪の設置について】【4 メディア規制の削除と積極的な情報提供について】【5 発議後投票までの期間について】【6 最低投票率と「過半数」について】【7 賛成は少なくとも投票総数の過半数とするべきことについて】【8 投票用紙の記載方法について】【9 投票年齢について】【10 国民投票無効訴訟について】の10項目について指摘されている。
以前,このブログで最も重大な問題であると指摘した広報・広告が議席数に比例するよう定められている点については,
【まず、両案とも、広報協議会の構成を各会派の所属議員数を踏まえて各会派に割り当てるとしているが、各議院の議員の3分の2以上の賛成で国会の発議はなされるのであるから、憲法改正に賛成している国会議員は3分の2以上いることになる。そうすると、各会派の人数割りをした場合には、必然的に賛成派の議員が3分の2以上の多数を占めることとなる。そのような構成の広報協議会が周知・広報するとすれば、憲法改正賛成の論拠ばかりが広報され、反対派の意見は十分に広報されないのではないかとの疑念を生じさせる。】
と指摘している。もっともな指摘だ。
【この点については、両案とも、各会派の所属議員数を踏まえて各会派に割り当てる方法では、反対の評決を行った議員の所属する会派から委員が選任されないこととなるときは、当該会派にも委員を割り当て選任するようできる限り配慮するものとするとともに、協議会がその事務を行うに当たっては、「憲法改正案並びにその要旨及び解説等に関する記載、憲法改正案に関する説明会における説明等については客観的かつ中立的に行うとともに、憲法改正案に対する賛成意見及び反対意見の記載、発言等については公正かつ平等に扱うものとする」と規定している。
しかし、この規定だけでは広報の公正性を担保しうるとは評価できない。これを担保するためには、賛否の意見が平等に反映されるように委員を選出すべきである。
さらに、公正な情報を国民に的確に提供するという広報協議会の役割からすると、その構成員は、憲法改正案を発議した側である議員のみに限定するのではなく、有識者等十分な数の外部委員の選任も検討されるべきである。】
外部委員の導入はいい指摘だと思う。賛否対等な広報を保つためにどのような方法があるのか,さらに知恵を絞って欲しい!
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左翼しか弁護士になれないのか。
弁護士とはそういう社会的責任を執行する職業です。それが弁護士なんですね。強制ではありませんよ。弁護士法に納得できなければ司法試験合格後でも、他の分野で能力を発揮すればよいことです。
弁護士とは何かと言うことです。
つまり、反対派を差別する不公平な資金格差は、もっと開きますよ!って事。
裏事情ですけどね(米国の情報戦復活事情は、イラク2003年のバクダッド空港で起きた事を検索すると、中々アドレナリン分泌が促進されます)。
南九州税理士会事件判例や、群馬司法書士会事件判例を読んでみて下さい。
少なくとも判例は、強制加入団体の決定に従いたくなければ、その職業を辞めろなんて強引な論理は採っていません。
何が社会正義かなんて構成員一人一人考え方が違うのであり、上層部が主観的に「これが社会正義だ」と考えたとしても、構成員の思想良心の自由と必ず衝突するのです。
だから、強制加入団体の政治活動は控えるべきだというのが、判例学説の大勢です。
で認知症を遅らす為の頭の体操だってんで、教育勅語とかウィキペディアで調べさせられて、幼稚園より罪は無いかって思って印刷したんだけど、初めてマトモに読んだ体験だったんですよ、それが。
思ったのは、当時の天皇家に対する封建的な部分は今や時代錯誤であるとしても、道徳律自体はどうって事無い道徳律っぽい道徳律ってモンだったんですが、意外だったのは最後に天皇自身が自分も「拳拳服膺」して、これを守ると誓ってますね?その前段には、憲法もその他法令も遵守しますってな部分があるです。
だから立憲君主としてマトモな事言ってるからこそ、やっぱ、教育勅語は嫌いですな!だって、見る度、それを守らなかったんで如何なったか?って歴史を思い出してムカつくから。
勿論守らなかったのは、当時の軍部とか、それにヒヨヒヨ日和見しちゃう政治家の皆さん方。ま、暗殺はあったにしてもね。軍の暴走も一々法の手続きに従って処罰してれば敗戦まで行かずに済んだかも知れないのに。ふざけるな!と思いますよ。
そもそも本当は、今の憲法も主旨に反した改憲なんて、端から出来ない仕組みなんですけど!「智恵を絞る」ってのも、最初から悪意に、戦争できる「改憲」を狙う勢力が与党だって事実さえなけりゃ、苦労しないで済むんですよ。悪いのは魚心だの水心だので、日本を軍産石油複合体に捧げようとするヒト達です。
したがって、弁護士会が自治的に政治運動をすること自体は社会正義を実現し、人権を擁護するには当然に必要なことです。裁判だけが社会正義の実現と人権擁護の手段ではありません。
そこで、弁護士会の所属する弁護士個人の思想・良心の自由と弁護士会の機関決定の自由の対抗問題に関してです。
弁護士会の機関決定の手続きにおいて、十分な討議が行われることは当然です。しかし、十分な討議を経たう上で、弁護士会か機関決定案について採決を取ります。もちろん、賛否、保留の3通りに分かれるでしょう。弁護士個人には思想・良心の自由があり、多様性が討論で確保されることが人権保障ですので。しかし、弁護士という社会的責任は弁護士法が規定するように社会正義の実現と人権擁護にありますので、政治活動の自由が弁護士会に存することは当然です。裁判だけではこれらは達成できないからです。
そうであるならば、十分な討議を経て弁護士会が政治運動の具体的意見、運動方針、運動の在り方等を決定し、弁護士会として政治運動に取り組むことは法の実現であり、なんらの問題もありません。むしろ、弁護士会が政治運動に消極的な態度を採る方が弁護士法の精神を踏みにじっており、弁護士の社会的責任を放棄する態度なのです。
したがって、強制加入団体である弁護士会が特定の政党の支持表明をしたり、献金したり、投票を義務づけたりせずに、一般的に弁護士会が独自の政治運動を機関決定し、これを行使することは当然である。
もっとも、弁護士個人の特定政党支持の思想・良心を侵害すれば違法となる。名無しさんが上げてくれた判例は特定政党支持問題が争われたリーディング・ケースでは?
横からの質問で申し訳ないのですが、
>弁護士会として政治運動に取り組むことは法の実現であり、なんらの問題もありません。
一市民と致しましては、自分の政治的考え方が弁護士会と異なる場合、いざという時にきちんとした弁護をしていただけるのか心配でならないのですが・・・
民事にしろ刑事にしろ、裁判で頼りになるのは弁護士の方々ですので、個人レベルならともかく団体で偏るのはご遠慮いただきたいのですが・・・
憲法改正の手続に問題があるという弁護士会の指摘は,手続の適正さを常に求める弁護士の集団として当然の指摘といえます。
適正手続っていうのはな、手続内容の適正も意味する、としてもだな、
公権力が個人に刑罰その他の不利益を課す場合の規定なんだよ。
憲法改正の手続の適正はあくまで国民主権や民意の反映っていう統治レベルの話だよ。
そこにそれを言い出すって、シャレになんないよ。
いま,すごく腹が立っています。
gooで「適正手続」を検索したら,1番目がこのブログだった…。「憲法改正国民投票法案」で検索して上位に来るのは判るが…。
日本でいかに「適正手続」が軽視されているかの象徴のような気がする。