情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

沖縄密約開示請求訴訟勝訴判決全文をNPJが掲載~ぜひ、ご一読を

2010-04-11 09:36:25 | メディア(知るための手段のあり方)
 西山記者が革命だと評価した東京地方裁判所の沖縄密約開示請求訴訟勝訴判決全文をNPJ(http://www.news-pj.net/)に掲載しましたので、ぜひ、ご一読ください。

 重要なのは32頁からの「当裁判所の判断」以降。

 39頁から40頁にかけて外務省文書の密約を認定。

 41頁、同文書の重要性

 42~43頁にかけて財務省文書の密約を認定。

 43頁、同文書の重要性

 45頁~47頁にかけて文書の存在について、請求側がどこまで立証するべきかが丁寧に書かれている。 

 47頁から58頁にかけて本件についてのあてはめ。
   51頁、外務省調査がいかに不十分であるかについての説明
   56、57頁、財務省調査がいかに不十分であるかについての説明

 59頁以降、慰謝料がなぜ認められるかについての説明
   62、63頁、知る権利が侵害されたことについて


 既に多くのメディアによって評価されているので、それぞれ気になった部分を確認してみてください。本当に一般市民の素直な感覚に基づいて書かれていることに驚かれると思います。

 なお、産経新聞が、【地裁が示した情報公開の枠組みが、そのまま外交の場にも通用するのか、外交のすべてを明らかにすることが本当に国益にかなうことなのか。改めて冷静に議論する必要がある】、【密約のすべてを明らかにすることについてはさまざまな意見がある。外務省の有識者委員会の報告書は「密約があった、なかったとレッテルを張るのではなく、当時の政治状況や国民感情を考慮して論じるべきだ」と過剰な反応を牽制(けんせい)した】、【法廷で密約を認めた吉野文六・元外務省局長も、証言後に行った会見で、「外交交渉の手法を明らかにすることは不利との考え方もある」との見解を示し、密約という言葉が独り歩きすることを懸念している】などと批判している。(http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100409/trl1004092229010-n1.htm)

 しかし、問題は、自民党政府が米国で文書が見つかった後も密約がないと隠し続けたことだ。

 外交問題において、一定の秘密が必要なことは理解できる。

 しかし、秘密にすることが許されるのは、一定期間経た後で有権者に開示されるということが前提だ。永久に隠されると考えるのは、民主主義に反する。

 そもそも、政権が交代すれば、直前の政府が締結した密約について、有権者に対する重大な背信行為があると考えれば、いくら相手国に迷惑をかけようと、自ら公開しなければならないときだってあるはずだ。
 
 沖縄の普天間基地移転に伴う自民党政権時代の日米合意についても、有権者に知らされていない合意があり、それが背信的なものだと考えたならば、直ちに公開をするべきなのである。

 東京新聞がスクープしたグアム基地支援金が本土からグアムに転居する家族の住宅建設にも充てられるという問題などは、おそらく、公開すべき「密約」だろう。

 オスプレーが新基地を利用する計画があるのに、未定だと発表したこと、及びその経過も公開すべき「密約」だ。

 そういう緊張感をもって外交に当たらないと、結局、相手方の言いなりになりかねない。

 たとえば、弁護士が相手方に対し100万円を支払うよう交渉する際、その交渉経緯を一切、依頼者に秘密にしていいのだとすると、相手が50万円に固執してなかなか譲りそうもない場合、「じゃぁ、40万円でいいよ。でも、絶対に交渉経過を明らかにしないでね」と相手と合意したうえで、依頼者には、「いやぁ、相手は10万円っていったんだけど、甲称してようやく40万円にしました。大変でした」と説明することができる。こんなに楽な交渉はないし、こんなに依頼者に損失をもたらす交渉もない…。

 また、永久に秘密ということになれば、官僚に、自民党が政権をとったときには報告するが、民主党には報告しない、などというとんでもない選択を許すことになる。それでは、官僚が政治を行うようなもんで、民主主義は形だけのものとなってしまう。

 今回の勝訴が民主主義を前進させたことは間違いない。その前進の幅を決めるのは、これから、市民がいかに情報公開制度を利用するか、にかかっている。


【お知らせ】
NPJシンポジウム どうなる日本? どうする日本?
パネリスト  植草一秀氏  半田 滋氏
4月20日(火) 18時30分~20時30分
場所:日本教育会館(最寄り駅/地下鉄 神保町、竹橋)
http://www.news-pj.net/

 



【ツイッターアカウント】yamebun

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★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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