情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

韓国で、告訴なしに捜査処罰できる「サイバー侮辱罪」が成立か?

2008-10-13 14:21:13 | インターネットとメディア
 散策さんから、韓国でサイバー侮辱罪が設けられようとしているという情報をいただき、チェックしたところ、かなり危険な法案であることが分かった。すでに、お伝えしているが、韓国では、新聞とテレビの系列化を進めようとする法案が上程されている。この法案のねらいが、保守的なスタンスの新聞に公営テレビをゆだねることで、与党に有利に情報をコントロールしようとするものであることは明らかだが、同時にインターネット上の表現の自由を押さえつけようとして与党が画策しているのが、サイバー侮辱罪ということになるだろう。

 このサイバー侮辱罪は、告訴なしに名誉毀損的表現行為を行った者を捜査し処罰できるというものであり、濫用の危険が大きいのは明白だ。与党に批判的なブロガーがちょっと筆が滑ったりしたら、直ちに、サイバー侮辱罪で捜査され、起訴されるおそれがある。

 日本でも先日紹介した「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」のように、政府によるインターネット規制が進められている。

 これと同様のこと(政府によるインターネット規制)が韓国で進められようとしているわけだ。

 インターネットは市民にとって情報発信のための効果的な手段だ。しかし、直接手渡しするビラまきなどと違って、脆弱な面があるのも間違いない。フィルタリングソフトなどを活用することによって、簡単に、情報操作が可能となってしまう。

 だからこそ、政府による監視を安易に認めてはならない。インターネットの安全は、市民が自らの手で獲得し、政府の情報操作を排除しなければならない。

 しつこいようだが、そのための一つの手段が、独立行政委員会(公正取引委員会のようなもの)の設置だ。インターネット規制を政府に直接させるのではなく、独立行政院委員会にさせることで、政府による情報操作を防ぐことは、民主主義社会にとって絶対に必要なことだ。

 韓国では、法案成立に先立ち、警察当局が悪質なインターネット書き込み者に対する集中的な取り締まりを開始したという。主体が警察なだけに、「悪質」を口実に、表現の自由が圧殺されるのではないかと危惧する。

 韓国の世論調査(7、8日、全国19歳以上の男女700人を対象にした電話調査)の結果、サイバー侮辱罪については、賛成54.9%、反対35.4%だったという(http://www.munhwa.com/news/view.html?no=20081011010306231690020)。非常に心許ない結果だが、年令別の賛成の割合は、50代以上(61.2%)、 40台(56.2%)、 30台(51.4%)、 20台(46.7%)という結果で、実際にネットを活用している世代ほど、制約に対する危機感が強いようで、まだまだ、望みはありそうだ。

 韓国の市民とともに、インターネット規制に反対の声を上げるときが来ている。アジアを「もの言えぬ地域」にしないために!


 


 

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