情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

なぜマスコミは光市事件で集団過熱同調報道をしたのか~システムから考えてみる

2008-07-13 13:57:03 | メディア(知るための手段のあり方)
 昨日の光市事件のシンポで、なぜ、被告人を極悪人視し弁護人をバッシングする集団過熱同調報道をしたのかについて、システムから解き明かす私見を少々述べたので、ここでも報告しておきます。

 あの報道は、被告人が極悪であることを前提に弁護人の被告人に関する弁護活動を荒唐無稽であると批判するもので、全てではないが多くのメディアが同じような見方をしたことは間違いない。

 なぜ、このような一方的な報道がなされるのか。

 まず、「マスコミはなぜ『マスゴミ』と呼ばれるのか」で詳しく説明したとおり、いまのメーンストリームメディア(新聞、テレビ、ラジオ)が、総務省支配、クロスオーナーシップ、巨大代理店の存在などによって、現政権に縛られる仕組みとなっていることが根本的な問題だ。

 そのうえで、【世に害無き者は皆記載す可し~「『中立』新聞の形成」(有山輝雄著)より】(http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/91daa02cfd4f20dfaacc24ebfe147d69)というエントリーで書いたとおり、政府は、マスメディアに、政府批判などに関係のない事件報道などは自由に書かせてきた。

 その結果、日本の記者(特に新聞記者)の配置は、事件重視、すなわち、警察重視となった。警察担当が花形とされ、人数的にも、行政担当者と警察担当者を比較すると、業務の割には明らかに警察担当記者が多く配分されてきた。そして、新人は、警察担当から記者生活を始めることが多い。

 その警察取材で、何が行われるかというと、発生した事件や捜査中の事件について、警察官から聞き出し、特ダネとして報道するということだ。この業務は、はっきりいうと警察の宣伝活動であり、取材対象者を批判的に見るという視点からはかけ離れている。警察官と同じ視点からものごとを見るようになってしまう。現場では、警察官という最も口の堅い取材対象を取材することで鍛えられる、という言い方をする(今もそうだろうか?)。でも、それは欺罔であり、警察にとっては自分がしている事件を大きく報道されること自体は、歓迎すべきことだ。しかし、記者は自分たちが単に宣伝をしていることにはあまり疑問を持たない。

 少し脱線したが、結局、①メディアが権力に縛られている→②権力は事件については害がないのでメディアに自由に書かせる→③マスメディアが事件報道を重視する→④記者が事件報道のネタもととなる警察官を批判的に見ることができなくなる→⑥捜査側の視点に立った集中記事…となる。

 個々の記者の気持ちとは別に、このようなシステムが背景にあるがゆえに、光市事件のような報道を止めることができないというわけだ。

 外国人は、日本の新聞が事件に偏っていることに違和感を持つという。その偏りの原因に上記のようなシステムがあるのではないだろうか。

 究極的には、権力によるメディア支配を打破することが必要であり、そこに目を向けないままでは、この問題も解決しないと思う。

 

   
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