情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

あるある捏造事件は放送規制を導入するための捏造事件だった?!~NHK事件判決は表現の自由を侵害しない

2007-02-15 02:55:01 | NHK番組改編事件
 菅義偉総務相がはしゃいで、あるある捏造問題などの不祥事再発を防止するため今国会にも関係法令の改正案を提出するよう事務方に指示したことを明らかにするのが当たり前かなと思えるほど、番組捏造問題のニュースが氾濫している。このような流れを見ると、まるでテレビ局規制をもたらすために、あるある問題が持ち上がったかのような思いすらする。

 まぁ、少なくとも、フジテレビ系の問題を週刊朝日に流すこと自体、権力側が考えそうなことだ。このあるある騒動で利益を得たのは安倍・中川コンビだ。NHK番組改編事件なんて、あるあるを発端とする捏造事件の一つにしか過ぎなくなってしまった。あのままNHK番組改編事件に焦点があたっていたらさらに安倍は窮地に追い込まれたのではないだろうか。

 あるあるがフレームアップされる一方、NHK事件判決については、報道の自由を侵害するおそれがあるなどという記事が書かれ、それが正しいかのような誤った解釈が流布している。しかし、判決を読み込めば、そのような心配がないことは容易に理解できる。少し長くなるが判決を検討してみたい。

 判決(←クリック)は「法的保護に値する期待の侵害」(期待権侵害)と「説明義務違反」の2点で、NHKらに不法行為責任(契約はない場合の違法行為による責任。契約がある場合は「債務不履行責任」という)があることを認めた。
 
 このうち、期待権侵害について判決は、まず、取材する側の編集の自由と取材される側の自己決定権を調整するために、通常、取材された者の番組内容に関する期待は法的保護の対象(損害賠償の対象)にはならないが、「取材対象者が取材に応ずるか否かは、その自由な意思に委ねられており、取材結果がどのように編集され、あるいはどのように番組に使用されるかは、取材に応ずるか否かの意思決定の要因となり得るものであり、特に【ニュ一ス番組とは異なり】、本件のようなドキュメンタリー番組又は教養番組においては、取材対象となった事実がどの範囲でどのように取り上げられるか、取材対象者の意見や活動がどのように反映されるかは取材される者の重大関心事であることから、このような両面を考え合わせると、番組制作者の編集の自由と取材対象者の自己決定権の関係については、【取材の経過等を検討】し、【取材者と取材対象者の関係を全体的に考慮】して、【取材者の言動等】により取材対象者がそのような【期待を抱くのもやむを得ない特段の事情】が認められるとき」に限定して、法的に保護されるという基準を示した。

 ここで、判決は、二つの限定を付している。
 ①ニュース番組などの報道番組には期待権は生じない。
 ②特段の事情がなければ期待権は生じない。

 そして、判決は、②の「特段の事情」について、②-1【取材の経過】、②-2【取材者と被取材者の関係】、②-3【取材者の言動等】という3つの要素を挙げている。本件では、②-1については、取材対象イベントの準備段階から終了までを網羅する周到な取材活動が行われたこと、②-2については、取材対象者が番組制作に協力したこと、②-3については、取材をするにあたって番組内容について書面の提示による具体的な説明がなされたことがそれぞれ認定されている。

 そして、判決は、NHKの事案について、前述した基準にあてはめて、取材を受けたバウネットには、法的保護に値する期待が生じていると認定したうえ、番組内容が当初説明されたものから大幅に変更されたことを認定し、期待が侵害されたと認めた。

 さらに、判決は、編集権について検討する。すなわち、期待権侵害を認めることが表現の自由の侵害にならないかをだめ押し的に確認しているのだ。判決は、取材開始から約3か月にわたる取材・編集の過程では、説明通りの番組を作成するべく作業が続けられていたのに、番組放送開始4日前になって、突然、NHKの放送部門幹部が「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」所属の国会議員の示唆に基づいてわざわざ安倍晋三の元を訪れ、安倍が持論を言ったうえ、公正中立にするよう指導したことを契機に、4日間で大幅に番組が当初の説明とは違う内容の番組に改編された事実について、「編集権の放棄」と認定したうえ、そのような場合には編集権の濫用・逸脱であり、編集の自由の範囲内のものであると主張することは到底できないと認めた。

 つまり、判決は、期待権が保護される要素として、③編集結果が編集の自由の範囲内のものであると主張することが到底できないこと、を挙げている。

 これでもこの判決が編集権を侵害すると思いますか?

 例えば、(1)政治家の不正を追求する目的だったが、それを隠して取材した場合、(2)政治家の功績を取り上げようとしたが、功績を取材する過程で政治家の不正が発覚したため、急遽、不正を取り上げる番組を制作した場合、これらはいずれも、政治家の期待は法的保護の対象にはならないのだ…。

 あるあるを捏造だと批判するなら、捏造させた安倍にはそれ以上の批判が浴びせられるべきだ。 
  






★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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【HP紹介】サヨナラ石原都知事~ 公的発言にみる石原都知事の実像

2007-02-15 02:53:28 | メディア(知るための手段のあり方)
広めたいHPを紹介されたので、たすきをつなぎます。

http://www5.famille.ne.jp/~ishihara/

趣旨は、【石原都知事の3選を阻止したい。そんな人に提供するデータHPです。
そういう性格なので選挙開始の前日(3月20日ころ)に閉鎖する期間限定HPです】というもの。

次のような内容となっています。

■■引用開始■■

公的発言にみる石原都知事の実像


入り口は左の26のリストから

年表 都政悪化の軌跡
新銀行東京は大赤字、お台場カジノ構想も挫折思惑どおり進んだのは福祉切捨て、米軍まで動員した治安強化、教育破壊。
最後は側近濱渦辞任に始まり自分自身や身内の不正疑惑で火ダルマ状態。
下記年表で8年の歩みがみられます。

第一次石原都政(1999-2003)

第二次石原都政(2003-2007)


新着情報
2007.2.13  四男・延啓のトーキョーワンダーサイト疑惑に」2006年12月7日のトーキョーワンダーサイト疑惑とスイス出張疑惑の都議会質疑を追加
2007.2.10 年表に「サンデー毎日」2007年2月18日号から会食を2項目追加
2007.2.9   2.2定例記者会見「知事交際費」の改善策 を追加

石原都知事の「発言」はできるだけ出所の明確なものをと考え、
主として定例記者会見やから都議会議事録から採録しています。
定例記者会見は、毎週金曜午後3時から30分くらい行われており
都庁HPのhttp://www.metro.tokyo.jp/GOVERNOR/KAIKEN/kako18.htmに掲載されています。(2004年7月以降はテキスト付き。したがってどうしてもこの時期以降が多くなっています)
なおそれ以前のものはhttp://kaiken.e-city.tv/index.htmlという労作があるので、ご参照ください。
都議会議事録はhttp://www2.gikai.metro.tokyo.jp/で閲覧できます。

定例記者会見は知事本局政策担当 内藤氏や細井氏が編集しているので多少和らげた発言に改変されています。
本領を発揮しているのは、都議会での答弁、さらに露骨なのはスピーチです。
その一端は左の「罵詈罵倒」で垣間見ることができます。

■■引用終了■■

この頁自体は選挙開始後も残します。







★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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