tokyo_mirage

東京在住・在勤、40代、男。
孤独に慣れ、馴れ、熟れながらも、まあまあ人生を楽しむの記。

「男の共同生活」を描く2つの新ドラマ―『バイプレイヤーズ』と『住住』

2017-01-31 18:22:25 | 雑感
1月にスタートした2つの深夜ドラマ、テレビ東京の『バイプレイヤーズ』と、日本テレビの『住住』。
どちらも、
・「男の共同生活」を題材にしている
・俳優/芸人が「自分自身」を役柄として演じている
・「マドンナ」的存在の女性(北香那/二階堂ふみ)が脇にいる
という点で共通している。『バイ―』は3話まで、『住住』は1話のみ放送を終えている。

面白さで軍配が上がるのは『住住』だな。

当初期待していたのは、自分の同世代が登場する『住住』より、
自分のひとまわり将来の世代が登場する『バイ―』の方だった。
人間としても、また男としても魅力的な、いぶし銀の役者がそろっており、
50代・60代の有り様のロールモデル(「手本」としての、では決してなく、「見本」としての、だ)を見せてほしいと思っていたのだ。
それなのに、なんだかなあ…『バイ―』の男たちはみな、
円熟味や滋味に欠け、ただただ「ガキっぽい」のだ。
「大人になっても少年らしさを失わない」といういい意味ではなく、単純に「軽く、薄っぺらい」。

役者が悪いのではない。彼らの存在感や演技力に難を見る人はいないだろう。
脚本と演出の方向性が間違っているのだ。

「みんなが矢継ぎ早に喋ればコメディーになる」とでも言いたげな、安直な脚本。
描かれるエピソード、起こるハプニング、匂わせるミステリーもとてもチープ。
「テレ東だろ!」など、業界ウケ狙い・楽屋落ちの台詞も鼻につく。
それぞれの役者のポテンシャルを存分に引き出しているのではなく、
ただ単に、作為的に「役割をあてがってる」だけ。
“アイドル未満”クラスのティーンのタレントにでもやらせておけばいいような芝居を、
この贅沢なベテラン勢にやらせており、そこがなんともイタいのだ。
この「イタさ」をもって「コメディーの表現」だとするには、無理がある。

それに比べると、『住住』はなかなか絶妙だ。
台詞がこなれており、自然で、リアリティーがある。
この手のドラマは、重箱の隅を突くような話題をわざとしつこく喋り続けることで
「どうです?おかしいでしょ?」と悦に入る、押しつけがましい脚本があったりするのだが、
このドラマはそういう陥穽からはきちんと逃れている。
しかも、バカリズムとオードリー若林の演技が実に巧いのだ。
脚本なのか、アドリブなのか、はたまた、素なのか、そのあわいを見事に突いている。
しかも、舞台が「若林の自宅リビング」から一歩も出ず、
台詞回しだけで場を持たせるというハードルの高さ。

僕から言わせると、
・芸人が芝居をしているのが『住住』
・俳優がコントをしているのが『バイ―』
である。
コントを芝居より下に見るつもりなど毛頭ないが、コントは芝居とは言えないことは確かだ。

『バイ―』は、いっそ監督も脚本も外して、本気の「共同生活ドキュメンタリー」にしてくれたら、
よっぽど面白くなるんじゃないかと思う。


<後日追記>

どちらのドラマの「男の部屋」も、すごく居心地良さそうだな…と思って観察すると、
両方ともこたつがある。
こたつは大好きである。こたつが馴染んでいる部屋というのはいい部屋だ。

ちなみに、『バイプレイヤーズ』は第4話を最後に見るのをもうやめた。