tokyo_mirage

東京在住・在勤、40代、男。
孤独に慣れ、馴れ、熟れながらも、まあまあ人生を楽しむの記。

村上春樹 上下巻に生まれた差は

2017-11-29 13:32:32 | 雑感
図書館で予約していた村上春樹の『騎士団長殺し』

上下巻の2巻構成で、今年2月の発売時期にリクエストをして100人以上待ち、
上巻は8月終わりに受け取れていたのだが、下巻がようやく今受け取れた。
上巻から遅れること3か月だ。

予約した時期が同じなのに受け取りの時期にこれだけ差が生まれるのはなぜなのか?
理由は簡単に推測できる。

上巻は、読むのに途中で挫折して、さっさと返却した人が多かったのだろう。
自分も正直なところ、読んでいてさほど面白いとは思わなかった。
身も蓋もないことを言ってしまえば、「ファッションだから読んでいる」のである。
でも、ファッションの読み方だから間違っているとも言えない。
僕は村上春樹は初期の作品の方が瑞々しいと思うし、文章に才気も感じた。
比喩表現なども今より圧倒的に光っていたと思う。
近年の作品はそれに比べると退屈なわけだが、「退屈を愛でる」空気も、
それはそれで贅沢なのである。
ともかく、読んでみて合わないと感じた人は上巻途中で早々に離脱するだろうが、
下巻まで手を伸ばそうとする人は、最後まで読破しようとするだろう。
だから下巻は返却に時間がかかり、順番も回ってこない。

3か月も間が開いたから上巻の内容はかなり忘れてしまっている。
でも、図書館で借りる以上、文句は言えまい。

常々、図書館は市民の「本を読みたい」という欲求には応えるべきだと思うが、
「本を“早く”読みたい」という欲求には闇雲に応える必要はないと思っている。
所詮は「タダ読み」なんだから、謙虚さは必要。
「売れて」こそ保たれる出版文化、ってのはあるわけだし。