せっかち散歩

ゆっくり急げ、時間がないから

春を待つアカメガシワ 

2014-02-13 | 日記
先週末は久しぶりで大雪が降り、人は除雪作業に追われた。これほどの雪は北国では当たり前のことでも関東のこの辺りでは珍しい。中学、高校時代は北の雪国に住んでいた。高校3年の冬、受験も間近にせまったある日、深く雪の積もった道を帰る途中、その小さな道から20mほど先に木製の古い電柱が雪の中で真黒にそびえ立っているのを見た。誰も踏み込んでいない新雪の彼方でその柱はこちらを挑発しているかのようだ。その頃、日々の受験勉強による睡眠不足や不安、ストレスなどにより心に中には絶えず暗雲が垂れこめていた。あとひと月で受験という未知の体験が控えていた。あの電柱は遠くて近づくことを拒んでいる。あの敵を打ちのめすまではこの暗闇を抜けることは出来ない気がした。積もった雪を手でつかみ握りこぶしよりも大きく堅い雪玉を作った。これがあの電柱に命中すればこの勝負は勝ちだ、と心で決めた。大きく腕を振りかざして全力をこめて投げると、玉は放物線を描いて大きな音を立てて電柱のど真ん中に当たり粉々になって飛び散った。黒い柱には白い雪の跡がくっきりと残った。身震いするような感激と運も味方につけた気がして不思議な達成感を感じた。受験の不安はもう消えていた。うまく命中したからそれを意味深いと、当時自分で解釈したのだろう。あれからどれほどの時がたったことか。新雪を目にすると電柱に向かって雪玉を投げた日の自分に今も重なり、その時の緊張と安堵が蘇る。




2/8から降り始め雪が積もった。


2/9は晴れた。旧街道の近くで松が点々と残っている。


広場の新雪。


アカメガシワの冬芽と葉痕



広場の横の小さなアカメガシワ(トウダイグサ科)はいつも厄介者として刈り取られてしまう。でも生命力が強くて毎年枝が伸び今年も冬芽が出来ている。