ストレッチ講座を受けて家に帰りネットニュースを見ていたら次のような記事が目につきました。
講師は「どうしていくのか」の対策が必要…といわれていたのです。
これまで手話通訳者の全国組織 全国手話通訳問題研究会は5年おきに手話通訳者の現状や労働条件などを調査してきたのですが、手話通訳者の労働条件を上げる取り組みがなされていませんでした。
下の記事でも手話通訳者の設置している市町村がまだまだ少ないことを書いてはありますが、労働条件をよくしていくための取り組みの必要性については語られていません。
「自分のことも守れないのに、人のことをまもれませんよ」講師のことばがまた蘇ってきました。
これから何をどうしていくのかが必要ですね。
全通研や日本手話通訳士協会にとってまず一番に取り組むべきことは手話通訳者の労働条件の改善だと私は思います。
(以下は産経の記事のです)
2011年6月 5日
手話通訳 悩める肩凝り 2割、首などしびれ/中腰で2時間休憩なし
耳が聞こえない人に言葉を手話で伝える「手話通訳者」の約8割が肩凝りを訴え、5人に1人が「頸肩腕障害(けいけんわんしょうがい)」を発症している可能性が高いことが、「全国手話通訳問題研究会」(京都市)の調査で分かった。20年前と比べほとんど改善していない。手話通訳者は首相会見の同時通訳など専門性が高いが、見た目以上に仕事はハードだ。研究会は、仕事の質の割に待遇と人手が十分でないことが原因とみている。
頸肩腕障害は、同じ姿勢のまま繰り返し手を使い続けることで、凝りやしびれに加え体のだるさや吐き気、睡眠障害などを引き起こす職業病。手話通訳者のほか、保育士やOA機器を使う会社員も発症する。
調査は昨年9月、全国の手話通訳者1535人を対象に実施。首、肩、腕、手のどこかに常に痛みやしびれを感じている手話通訳者は20・2%で、10年前の調査(20・4%)の横ばい。20年前(24・2%)からも改善されていなかった。
また、痛みやしびれを伴う頸肩腕障害の前兆となる凝りは「いつも」と「時々」を合わせると肩79・8%、首68・0%にのぼったほか、目の疲れを訴える人も77・8%にのぼった。
研究会の森川美惠子理事は「専門的な仕事なのに、待遇が悪く、なり手がいないから、特定の人に仕事が集中する。健康問題を解決するには、社会の理解が欠かせない」と話している。
なり手少なく仕事集中
「肩や首の痛みを放っておいたら鬱状態になった。体も心もぼろぼろだった」。長崎県障害福祉課の元嘱託職員の女性(61)は頸肩腕障害になった苦しみを明かす。
発症したのは、手話通訳者として長崎県に採用され3~4年がたったころ。通訳を終えるたびに頭痛がし、夜は眠れなかった。目を閉じてもまぶたの裏に手話をする手がひらひらと映ったのがつらかったという。
夜間や休日も講習会やサークルに参加するなど「手話にどっぷりつかる生活を続けていた」。人の話を無意識のうちに頭の中で手話に変換するほどのめりこんだが、頸肩腕障害と診断された後、仕事以外の活動をやめて、ようやく楽になったという。
手話通訳者は、耳の聞こえない人に手話が見えやすいよう、基本の姿勢は中腰だ。手話の文法は日本語と異なり、外国語の通訳と同じほど神経も使うという。このため、続けられるのは通常、15~20分が限界だが、現状では、講演や会議で休憩なしに1~2時間通して通訳することもある。
ただでさえ重労働なうえに、人手も不足している。全国手話通訳問題研究会によると、平成18年10月に完全施行された障害者自立支援法は市町村に手話通訳者の設置を義務づけたが、22年度末で設置できた市町村は29%にとどまるという。
人手不足の背景には待遇の悪さがあるという。兵庫県内の団体職員の男性(31)は手話通訳者を養成する学校で手話を学び職についたが、月収は15万円。結婚して家族を養うという将来も描けない。「正職員でまだ恵まれている方だが、好きでないと続けられない仕事」という。
頸肩腕障害に詳しい垰田和史(たおだかずし)・滋賀医科大准教授(労働衛生学)は「手話通訳者は聴覚障害者の役に立ちたいという一心で際限なく働き続けようとする上に、簡単に休める環境になく、我慢を重ねて症状を悪化させることが多い。高度な専門技術が要請されることから、人手不足を解消するには計画的な養成と一定の処遇が必要になる」としている。