ラジヘリ空撮

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使用する機体(ヘリ)に最適なエンジンサイズの考察・・・パート3

2012-03-23 00:01:00 | ガソリンエンジン
使用する機体(ヘリ)に最適なエンジンサイズの考察・・・などと言って・・・今回がその3回目である。

何だかんだ・・・グダグダ言って・・・肝心な処に、なかなか話が及ばないと思っている方もいる事だろう。

本当は・・・そんな理由など無いのではないのか?・・・と、思われても困る。


そこで今回は・・・その確信的な部分に、少し切り込んで行こうと思っている。


何故・・・そんな問題が多い29ccのエンジンにしなければならなかったのか?
(本当は、本質を理解しない・・・使い手の問題だと思うのだが・・・)


この事には・・・皆さんも、多分・・・大いに興味がある筈だと思う。


そもそも、手動で(マニュアルで操縦)通常通り、操縦している場合は、26ccのエンジンで問題ない。


処が・・・DJIの様な制御系を搭載する事で、問題点が散見される様になった。


そこで、紆余曲折を経て・・・その対策として・・・29ccへと、エンジンの排気量を
上げる事にしたのである。


どう言う事かと、言えば・・・この26ccエンジン・・・実は、少々トルクが不足しているのである。
パワーは・・・十分なのだが・・・。

では・・・何故、トルクが少ないのか?

メーカーからは、その辺のデータが公表されていないので、実際に使用してみた結果、私が
勝手に考えている事なので・・・予めお断りしておきたい。


この26ccエンジン・・・分解してみると判るのだが・・・何故か?1本リングが採用されている。

23ccの時代は・・・2本リングであった。


では・・・何故、リングの数が違っているのだろうか?


又、リングの数が減ると・・・どうなるのか?・・・解説をして見たい。

昔から・・・通常、一般の2サイクルエンジンは、2本リングが主流であった。

その理由は・・・主に充填効率を上げる為と・・・ピストンリングの磨耗や、ピストンのカジリと言った
トラブルからエンジンを守り、長期に渡って好調を維持する事が出来る様に従来から採用されて来た。

2本リングだと、例え低回転でしか運転出来ないエンジンで有っても・・・十分な充填効率が得られる。

勿論・・・単純なピストンバルブのエンジンなので・・・吸排気のロスは否めないのだが・・・。

因みに・・・2サイクルエンジンよりも、依り低回転で使用する事が多い、4サイクルエンジンでは・・・
3本リングを採用している事が多い。


通常・・・一般に使用される実用機(車などの)では、エンジンなど、そうそう分解する事など無い。
又・・・その必要が無い様に・・・初めから耐久性を考慮して設計されているのである。


事実・・・皆さんが普段乗っている車のエンジンも・・・殆ど分解する事は無いですよね~。


では・・・何故1本リングなのか?

この1本リング・・・昔から、2サイクルのエンジンを搭載したレース用のバイク等の、
極限られた用途で多く使用されていた。

では1本リング・・・何故一般のバイクには使用されていなかったかと言うと・・・
主な理由は・・・繰り返しになるが・・・やはり耐久性が保てないからなのだ。


レース用のバイクに於いては・・・エンジンを常に分解してピストンリング等のパーツを換えている。

この訳は・・・レースの間だけ好調を維持出来れば良いとの考えから、耐久性をある程度、度外視して迄も
パワーを上げたいと言う事なのだ。

1本リングを採用する、その最大の理由とは・・・フリクションを低減して、より早くピストンを
上下に周動させたいと言う事なのだ。


その結果・・・エンジンを高回転させる事が可能になって、パワーが向上するのである。


通常、上下運動を回転運動に変換しているエンジンの場合には・・・必ずピストンの首振りが発生する。

ピストンには・・・スカートと呼ばれる裾の部分がある。

要は・・・ピストンピンより下側(クランク側)が長くなっていて・・・ある程度、首振りを防いでいる。


しかし、レーシングエンジンでは・・・極端にピストンの丈が短い。

スカート部分が・・・酷く短くなっているのである。

この理由は・・・ピストンの重量を軽減して・・・慣性マスの低減を行なう事で、より高回転で
回転させ極限までパワーを絞り出したいと言う、思いからなのだ。

要は・・・レースの間だけエンジンが持てば良いので、耐久性にはある程度、目を瞑っているのだ。

仮に・・・回転数が上がらないエンジンに1本リングを組み付けた場合には、圧縮工程で
ガス漏れが生じるので、充填効率が落ちてしまい・・・結果、パワーが上がらない。

まあ・・・その様なエンジンは・・・元々パワーなど無いのだが・・・。


以上の理由から・・・リングの磨耗も激しい事から・・・実用車には全く不向きなのである。


以上の事から判る事は・・・この1本リング・・・長期に渡って安定したエンジン性能を維持しようと
考えた時・・・全く良いところがないのである。


話を・・・26ccエンジンに・・・戻す。


このエンジン・・・汎用エンジンの割りに(失礼)随分前衛的な設計が随所に見られる。

さしずめ・・・一昔の、バイクのレーシングエンジンの様だ。(少し大袈裟だが・・・)


通常バイクのレースは・・・サーキットで行なわれる。

菅生の様なコースもあるが・・・通常、その手のコースにはアップダウンは少ない。

従って、レーシングエンジンに求められるモノは主に高いパワーであって、高いトルクではない。

より高いスピードを要求するレースでは、荷物を運ぶ必要が無いので、その必要も無い
と、言う事なのだろう。

故に・・・レーシングエンジンには、高いトルクは求められていない・・・と、言うか・・・
パワーを優先しているのである。


もし・・・酷いアップダウンがあるコースが存在すれば・・・そんな事も
言っていられなくなると思うが・・・。


そんな訳で・・・1本リングを採用した26ccエンジンのトルク不足は・・・DJIの様な制御系を、
搭載した機体に使用した場合には・・・問題になる事が多いのである。


そこで・・・その対策として・・・弊社では、29ccエンジンを採用した経緯がある。


29ccエンジンを採用した最大の理由は・・・パワーを求めた訳ではなくて・・・
排気量UPに伴ってUPする・・・トルクに期待したのである。


そして・・・その期待は・・・当然の様に・・・現実のモノになった。

因って・・・通常は、パワーを求めて29ccのエンジンを使う必要も無ければ・・・使用してみても
弊害が増えるばかりで・・・全くいいところがないのである。

百害有って・・・一利なし・・・とは、少し大袈裟だが・・・使い方を間違えれば・・・ロクな事はない。


そもそも・・・何処から?その手法が伝播したのかは定かではないのだが・・・

最近・・・安易に、その使用を煽る様な風潮もある様だ。

しかし・・・上記の理由から、29ccのエンジンを使用しないで頂きたい・・・と、私は考えている。


次回に・・・続く。

















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