ラジヘリ空撮

空撮用マテリアルの開発状況に係る情報発信や、現場での出来事及び、日常の情報発信を致します。

26cc改28.5ccボアアップエンジン

2011-11-10 20:08:49 | ガソリンエンジン
最近、某メーカーのガソリンエンジンのボアアップ(排気量を増やす事)の、作業依頼が多い。

弊社ではヘリ用に、他用途エンジンのシリンダーとピストンを加工した上で、組み付けて、販売している。

メーカーで組立済みの新しいエンジンを分解して、シリンダーとピストンを外し、加工済みの、そのシリンダーと ピストンを交換して組み付けるのである。

本来からすれば、もうひと手間掛けて、手作業でクランクのバランスどりを行えば、もっとスムーズに回転して
良いのだが、そこまでの必要性を感じないし、実際に使用上でも問題は無い。

又、エンジン単体でパワーを上げた場合には、機体に多大な負荷を強いる事になり、度を過ぎるとマイナス要素
の方が多くなるので、この改造エンジン以上のパワーの必要もない。

もしも、機体を壊したいなら・・・
その様な改造エンジンも販売されている様なので、その手のエンジンを使えば良いだろう。

模型ならいざ知らず、特に産業用ヘリには、バランスと耐久性が必要なのである。

そのバランスが崩れ、どちらかが勝れば・・・・予想もしない事に・・・(/ω\)

また、偶にユーザーが使用中の既存のエンジンを、ボアアップする事もあるが・・・
色々な意味から、弊社ではお薦めしていないし、基本的にキット販売も行なっていないので御了承願いたい。

それから、この改造エンジンを製作するに当たり、あくまでも全ての結果は自己責任で・・・と言う前提で、
お引き受けしている。

それから、弊社では、この改造エンジンを搭載する上で、ノーマルの機体に搭載する事は、固くお断りしている。

この事は以前から度々指摘している事なのだが、僅か3cc程度の排気量UPで、想像以上にパワーも上がるし、
ペイロードも上がる・・・ペイロードが上がれば、もっとペーロードを掛けたくなるのが、人情と言うモノ。

その結果、機体にも過大なストレスが掛かり、度を越せば当然事故に発展する可能性があるからである。

従って、機体が持ち上がるからと言って、過大なペーロードを掛ける事は慎むべきで有ろう。



前置きが長くなってしまったが、今回は、極稀なケースだとは思うのだが、その改造作業中に偶々遭遇した事例をお話ししたいと思う。

先ず、ボアアップを行う前に、新品のエンジンA’ssyからシリンダーを外した。

次に、ピストンをコンロッドから外す・・・???ピストンを外そうとした時の事である。

ここで、重大なメーカーの瑕疵に遭遇した。

ピストンとコンロッドと言う部品は、ピストンピンと言う部品で連結されている。

しかし、そのままでは、ピストンが往復運動を繰返す内に、ピストンピンがシリンダーの内壁に当たってしまい、
そのままでは、エンジンは破損する。

それを防ぐ為に、サークリップと言う小さなC型スプリングで、ピストンの両側から、ピストンピンを固定して、
シリンダーの内壁に当たらない様にしているのだが・・・・。

しかし、このエンジンは、そのサークリップがピストンの溝に入っていなかった。
そこで、マイナスドライバーを使って、試しにその端を少しこじてみた。

すかさずサークリップは・・・・予想通り、弾けて飛んだ・・・・(;´Д`)

このエンジンが梱包されていたダンボール箱には、エンジンと一緒に、メーカーの完成検査票が入っており、
そこに検査印が捺印されてはいたのだが・・・???一体何を検査したのか???

これは草刈機のエンジンではない。
例え同系列のエンジンであったとしても、組立工程で特段の配慮をするべきだと・・・私は考える。

仮りにも、ヘリコプターの動力用として空中を飛び回る為の、へり用のエンジンなのである。


通常ユーザーは、そのままヘリに搭載して使用するのが普通だろう・・・と考える。

エンジンが始動すれば、当然それは外れるだろう・・・エンジンの中で・・・・その後の結末は、
火を見るより明らかである。

もしも、弊社でボアアップをしなかったら・・・と、考えると・・・末恐ろしい。


今回のケースは、本当に稀なケースである事を願わずにはいられないし、今後は改善して(゜д゜)ホスィ…のである。

この様なヒューマンエラーは、何処にでも、誰にでも発生する可能性がある。

しかし、このような事が無い様に、メーカーには、対策を講じて頂きたい・・・と願う・・・ばかりである。

この手の事は、勿論人事ではない。当然私にも・・・・その可能性はある。

従って、日々のチェック&チェックは欠かせないし、安易な行動は慎むべきで有ろう・・・と考える。

それは安全に、撮影作業を行う為に・・・


最新の画像もっと見る

コメントを投稿