内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

このブログは、広い視野から内外諸問題を分析し、提言を試みます。
Policy Essayist

シリーズ 安全神話は取り戻せるか? (その3)

2011-08-28 | Weblog
シリーズ 安全神話は取り戻せるか? (その3)
  1、基本的な防災対策強化の必要性         (その1に掲載)
2、崩れた原子力発電の「安全神話」        (その1に掲載)
  3、今後の原子力発電の安全性確保の上で何が必要か (その2に掲載)
 4、原子力安全庁はどの組織に置くべきか
このように見てくると新設される原子力安全庁については、環境への影響が大きい放射性物質を管理、監督するという側面に着目すれば環境省の下に置くことが検討されている趣であるが、何処に設置されるか以上に、次のような基本的な問題がある。
(1)安全性確保のためのコストは誰が負担するのか
 上記1、のようなハード、ソフト双方の面に亘る広範な安全措置を何処ま
で実施させるかという問題とコストを全て電力会社に負わせるかという問題がある。保険を何処まで掛けるかの問題に類似するが、それを余りにも綿密に要求し、企業負担とすれば採算性を超え事業継続は事実上困難になる。稼動継続・再開に当たってのテストについても同様だ。企業側からすれば、それを国が要求するのであるから、国が一定の費用負担をするか、料金を引き上げるかを要請することが予想される。いずれも国民の負担となり、微妙な選択となろう。
 (2) 「事業所外のリスクを伴う事故」以上への対応
最大の問題は、今回のような事故などが発生した場合、事故の深刻度がレベル4の「事業所内のリスクを伴う事故」までであれば企業を中心とした対応で良かろうが、「事業所外」への放射性物質の飛散リスクを伴うレベル5以上、特にレベル6、7の「大事故」や「深刻な事故」レベルと判断される場合は、高度な放射能防護、対策が必要となり、企業レベルでは対応困難となるので、直ちに国家緊急時対策センターを立ち上げ、官邸レベルでの対応が不可欠となろう。テロなどの攻撃が発生した場合は直ちに国家レベルでの対応が不可避となる。
このような原子力施設の安全確保の意味合いを勘案すると、本来であれば原子力安全庁は内閣府に置くことが望ましい。しかし内閣府の総合調整機能が増える一方で、事務体制は関係省庁からの寄合い所帯で出身官庁を見て仕事をする傾向となることなどが危惧されている。
現在の各省庁体制の最大の問題は、それぞれが設置法などで所掌を明確化し、
各省庁が相互に干渉、介入させない縦割りの体制になっていることであり、省庁間の調整や省庁の枠を超えたニーズや対応に内閣や官邸が一丸となって取り組める体制を築くことが望まれる。原子力安全庁を環境省に置く場合、長官を副大臣クラスとするなど、広範な安全対策につき省庁間の調整・指揮が十分に出来るようにしなくてはならない。
 特に事故の深刻度が「事業所外のリスクを伴う事故」のレベル以上になった場合は直ちに対応の権限を官邸に移すこととすべきであろう。「大事故」以上の危機時には、警察、消防などの出動だけでなく、自衛隊の核防護ユニットの緊急出動など一省庁では対応出来ない事態も予想されるので、何処に設置されるにせよ、内閣全体としての効果的な調整・指揮機能が発揮出来る模範例とすることが望まれる。
 なお大臣の数を18に制限することについては、それはそれで良いが、新たなニーズに応えて行くためには、全体の大臣の報酬、予算の範囲内で、一人当たりの報酬を下げる、或いは各省庁に複数配置されている副大臣や政務官を整理し、内閣の総合調整機能を強化する方向で政務3役全体として検討することは可能であろう。(2011.08.11)
(All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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2011-08-28 | Weblog
シリーズ 安全神話は取り戻せるか? (その3)
  1、基本的な防災対策強化の必要性         (その1に掲載)
2、崩れた原子力発電の「安全神話」        (その1に掲載)
  3、今後の原子力発電の安全性確保の上で何が必要か (その2に掲載)
 4、原子力安全庁はどの組織に置くべきか
このように見てくると新設される原子力安全庁については、環境への影響が大きい放射性物質を管理、監督するという側面に着目すれば環境省の下に置くことが検討されている趣であるが、何処に設置されるか以上に、次のような基本的な問題がある。
(1)安全性確保のためのコストは誰が負担するのか
 上記1、のようなハード、ソフト双方の面に亘る広範な安全措置を何処ま
で実施させるかという問題とコストを全て電力会社に負わせるかという問題がある。保険を何処まで掛けるかの問題に類似するが、それを余りにも綿密に要求し、企業負担とすれば採算性を超え事業継続は事実上困難になる。稼動継続・再開に当たってのテストについても同様だ。企業側からすれば、それを国が要求するのであるから、国が一定の費用負担をするか、料金を引き上げるかを要請することが予想される。いずれも国民の負担となり、微妙な選択となろう。
 (2) 「事業所外のリスクを伴う事故」以上への対応
最大の問題は、今回のような事故などが発生した場合、事故の深刻度がレベル4の「事業所内のリスクを伴う事故」までであれば企業を中心とした対応で良かろうが、「事業所外」への放射性物質の飛散リスクを伴うレベル5以上、特にレベル6、7の「大事故」や「深刻な事故」レベルと判断される場合は、高度な放射能防護、対策が必要となり、企業レベルでは対応困難となるので、直ちに国家緊急時対策センターを立ち上げ、官邸レベルでの対応が不可欠となろう。テロなどの攻撃が発生した場合は直ちに国家レベルでの対応が不可避となる。
このような原子力施設の安全確保の意味合いを勘案すると、本来であれば原子力安全庁は内閣府に置くことが望ましい。しかし内閣府の総合調整機能が増える一方で、事務体制は関係省庁からの寄合い所帯で出身官庁を見て仕事をする傾向となることなどが危惧されている。
現在の各省庁体制の最大の問題は、それぞれが設置法などで所掌を明確化し、
各省庁が相互に干渉、介入させない縦割りの体制になっていることであり、省庁間の調整や省庁の枠を超えたニーズや対応に内閣や官邸が一丸となって取り組める体制を築くことが望まれる。原子力安全庁を環境省に置く場合、長官を副大臣クラスとするなど、広範な安全対策につき省庁間の調整・指揮が十分に出来るようにしなくてはならない。
 特に事故の深刻度が「事業所外のリスクを伴う事故」のレベル以上になった場合は直ちに対応の権限を官邸に移すこととすべきであろう。「大事故」以上の危機時には、警察、消防などの出動だけでなく、自衛隊の核防護ユニットの緊急出動など一省庁では対応出来ない事態も予想されるので、何処に設置されるにせよ、内閣全体としての効果的な調整・指揮機能が発揮出来る模範例とすることが望まれる。
 なお大臣の数を18に制限することについては、それはそれで良いが、新たなニーズに応えて行くためには、全体の大臣の報酬、予算の範囲内で、一人当たりの報酬を下げる、或いは各省庁に複数配置されている副大臣や政務官を整理し、内閣の総合調整機能を強化する方向で政務3役全体として検討することは可能であろう。(2011.08.11)
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  1、基本的な防災対策強化の必要性         (その1に掲載)
2、崩れた原子力発電の「安全神話」        (その1に掲載)
  3、今後の原子力発電の安全性確保の上で何が必要か (その2に掲載)
 4、原子力安全庁はどの組織に置くべきか
このように見てくると新設される原子力安全庁については、環境への影響が大きい放射性物質を管理、監督するという側面に着目すれば環境省の下に置くことが検討されている趣であるが、何処に設置されるか以上に、次のような基本的な問題がある。
(1)安全性確保のためのコストは誰が負担するのか
 上記1、のようなハード、ソフト双方の面に亘る広範な安全措置を何処ま
で実施させるかという問題とコストを全て電力会社に負わせるかという問題がある。保険を何処まで掛けるかの問題に類似するが、それを余りにも綿密に要求し、企業負担とすれば採算性を超え事業継続は事実上困難になる。稼動継続・再開に当たってのテストについても同様だ。企業側からすれば、それを国が要求するのであるから、国が一定の費用負担をするか、料金を引き上げるかを要請することが予想される。いずれも国民の負担となり、微妙な選択となろう。
 (2) 「事業所外のリスクを伴う事故」以上への対応
最大の問題は、今回のような事故などが発生した場合、事故の深刻度がレベル4の「事業所内のリスクを伴う事故」までであれば企業を中心とした対応で良かろうが、「事業所外」への放射性物質の飛散リスクを伴うレベル5以上、特にレベル6、7の「大事故」や「深刻な事故」レベルと判断される場合は、高度な放射能防護、対策が必要となり、企業レベルでは対応困難となるので、直ちに国家緊急時対策センターを立ち上げ、官邸レベルでの対応が不可欠となろう。テロなどの攻撃が発生した場合は直ちに国家レベルでの対応が不可避となる。
このような原子力施設の安全確保の意味合いを勘案すると、本来であれば原子力安全庁は内閣府に置くことが望ましい。しかし内閣府の総合調整機能が増える一方で、事務体制は関係省庁からの寄合い所帯で出身官庁を見て仕事をする傾向となることなどが危惧されている。
現在の各省庁体制の最大の問題は、それぞれが設置法などで所掌を明確化し、
各省庁が相互に干渉、介入させない縦割りの体制になっていることであり、省庁間の調整や省庁の枠を超えたニーズや対応に内閣や官邸が一丸となって取り組める体制を築くことが望まれる。原子力安全庁を環境省に置く場合、長官を副大臣クラスとするなど、広範な安全対策につき省庁間の調整・指揮が十分に出来るようにしなくてはならない。
 特に事故の深刻度が「事業所外のリスクを伴う事故」のレベル以上になった場合は直ちに対応の権限を官邸に移すこととすべきであろう。「大事故」以上の危機時には、警察、消防などの出動だけでなく、自衛隊の核防護ユニットの緊急出動など一省庁では対応出来ない事態も予想されるので、何処に設置されるにせよ、内閣全体としての効果的な調整・指揮機能が発揮出来る模範例とすることが望まれる。
 なお大臣の数を18に制限することについては、それはそれで良いが、新たなニーズに応えて行くためには、全体の大臣の報酬、予算の範囲内で、一人当たりの報酬を下げる、或いは各省庁に複数配置されている副大臣や政務官を整理し、内閣の総合調整機能を強化する方向で政務3役全体として検討することは可能であろう。(2011.08.11)
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2、崩れた原子力発電の「安全神話」        (その1に掲載)
  3、今後の原子力発電の安全性確保の上で何が必要か (その2に掲載)
 4、原子力安全庁はどの組織に置くべきか
このように見てくると新設される原子力安全庁については、環境への影響が大きい放射性物質を管理、監督するという側面に着目すれば環境省の下に置くことが検討されている趣であるが、何処に設置されるか以上に、次のような基本的な問題がある。
(1)安全性確保のためのコストは誰が負担するのか
 上記1、のようなハード、ソフト双方の面に亘る広範な安全措置を何処ま
で実施させるかという問題とコストを全て電力会社に負わせるかという問題がある。保険を何処まで掛けるかの問題に類似するが、それを余りにも綿密に要求し、企業負担とすれば採算性を超え事業継続は事実上困難になる。稼動継続・再開に当たってのテストについても同様だ。企業側からすれば、それを国が要求するのであるから、国が一定の費用負担をするか、料金を引き上げるかを要請することが予想される。いずれも国民の負担となり、微妙な選択となろう。
 (2) 「事業所外のリスクを伴う事故」以上への対応
最大の問題は、今回のような事故などが発生した場合、事故の深刻度がレベル4の「事業所内のリスクを伴う事故」までであれば企業を中心とした対応で良かろうが、「事業所外」への放射性物質の飛散リスクを伴うレベル5以上、特にレベル6、7の「大事故」や「深刻な事故」レベルと判断される場合は、高度な放射能防護、対策が必要となり、企業レベルでは対応困難となるので、直ちに国家緊急時対策センターを立ち上げ、官邸レベルでの対応が不可欠となろう。テロなどの攻撃が発生した場合は直ちに国家レベルでの対応が不可避となる。
このような原子力施設の安全確保の意味合いを勘案すると、本来であれば原子力安全庁は内閣府に置くことが望ましい。しかし内閣府の総合調整機能が増える一方で、事務体制は関係省庁からの寄合い所帯で出身官庁を見て仕事をする傾向となることなどが危惧されている。
現在の各省庁体制の最大の問題は、それぞれが設置法などで所掌を明確化し、
各省庁が相互に干渉、介入させない縦割りの体制になっていることであり、省庁間の調整や省庁の枠を超えたニーズや対応に内閣や官邸が一丸となって取り組める体制を築くことが望まれる。原子力安全庁を環境省に置く場合、長官を副大臣クラスとするなど、広範な安全対策につき省庁間の調整・指揮が十分に出来るようにしなくてはならない。
 特に事故の深刻度が「事業所外のリスクを伴う事故」のレベル以上になった場合は直ちに対応の権限を官邸に移すこととすべきであろう。「大事故」以上の危機時には、警察、消防などの出動だけでなく、自衛隊の核防護ユニットの緊急出動など一省庁では対応出来ない事態も予想されるので、何処に設置されるにせよ、内閣全体としての効果的な調整・指揮機能が発揮出来る模範例とすることが望まれる。
 なお大臣の数を18に制限することについては、それはそれで良いが、新たなニーズに応えて行くためには、全体の大臣の報酬、予算の範囲内で、一人当たりの報酬を下げる、或いは各省庁に複数配置されている副大臣や政務官を整理し、内閣の総合調整機能を強化する方向で政務3役全体として検討することは可能であろう。(2011.08.11)
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2、崩れた原子力発電の「安全神話」        (その1に掲載)
  3、今後の原子力発電の安全性確保の上で何が必要か (その2に掲載)
 4、原子力安全庁はどの組織に置くべきか
このように見てくると新設される原子力安全庁については、環境への影響が大きい放射性物質を管理、監督するという側面に着目すれば環境省の下に置くことが検討されている趣であるが、何処に設置されるか以上に、次のような基本的な問題がある。
(1)安全性確保のためのコストは誰が負担するのか
 上記1、のようなハード、ソフト双方の面に亘る広範な安全措置を何処ま
で実施させるかという問題とコストを全て電力会社に負わせるかという問題がある。保険を何処まで掛けるかの問題に類似するが、それを余りにも綿密に要求し、企業負担とすれば採算性を超え事業継続は事実上困難になる。稼動継続・再開に当たってのテストについても同様だ。企業側からすれば、それを国が要求するのであるから、国が一定の費用負担をするか、料金を引き上げるかを要請することが予想される。いずれも国民の負担となり、微妙な選択となろう。
 (2) 「事業所外のリスクを伴う事故」以上への対応
最大の問題は、今回のような事故などが発生した場合、事故の深刻度がレベル4の「事業所内のリスクを伴う事故」までであれば企業を中心とした対応で良かろうが、「事業所外」への放射性物質の飛散リスクを伴うレベル5以上、特にレベル6、7の「大事故」や「深刻な事故」レベルと判断される場合は、高度な放射能防護、対策が必要となり、企業レベルでは対応困難となるので、直ちに国家緊急時対策センターを立ち上げ、官邸レベルでの対応が不可欠となろう。テロなどの攻撃が発生した場合は直ちに国家レベルでの対応が不可避となる。
このような原子力施設の安全確保の意味合いを勘案すると、本来であれば原子力安全庁は内閣府に置くことが望ましい。しかし内閣府の総合調整機能が増える一方で、事務体制は関係省庁からの寄合い所帯で出身官庁を見て仕事をする傾向となることなどが危惧されている。
現在の各省庁体制の最大の問題は、それぞれが設置法などで所掌を明確化し、
各省庁が相互に干渉、介入させない縦割りの体制になっていることであり、省庁間の調整や省庁の枠を超えたニーズや対応に内閣や官邸が一丸となって取り組める体制を築くことが望まれる。原子力安全庁を環境省に置く場合、長官を副大臣クラスとするなど、広範な安全対策につき省庁間の調整・指揮が十分に出来るようにしなくてはならない。
 特に事故の深刻度が「事業所外のリスクを伴う事故」のレベル以上になった場合は直ちに対応の権限を官邸に移すこととすべきであろう。「大事故」以上の危機時には、警察、消防などの出動だけでなく、自衛隊の核防護ユニットの緊急出動など一省庁では対応出来ない事態も予想されるので、何処に設置されるにせよ、内閣全体としての効果的な調整・指揮機能が発揮出来る模範例とすることが望まれる。
 なお大臣の数を18に制限することについては、それはそれで良いが、新たなニーズに応えて行くためには、全体の大臣の報酬、予算の範囲内で、一人当たりの報酬を下げる、或いは各省庁に複数配置されている副大臣や政務官を整理し、内閣の総合調整機能を強化する方向で政務3役全体として検討することは可能であろう。(2011.08.11)
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2、崩れた原子力発電の「安全神話」        (その1に掲載)
  3、今後の原子力発電の安全性確保の上で何が必要か (その2に掲載)
 4、原子力安全庁はどの組織に置くべきか
このように見てくると新設される原子力安全庁については、環境への影響が大きい放射性物質を管理、監督するという側面に着目すれば環境省の下に置くことが検討されている趣であるが、何処に設置されるか以上に、次のような基本的な問題がある。
(1)安全性確保のためのコストは誰が負担するのか
 上記1、のようなハード、ソフト双方の面に亘る広範な安全措置を何処ま
で実施させるかという問題とコストを全て電力会社に負わせるかという問題がある。保険を何処まで掛けるかの問題に類似するが、それを余りにも綿密に要求し、企業負担とすれば採算性を超え事業継続は事実上困難になる。稼動継続・再開に当たってのテストについても同様だ。企業側からすれば、それを国が要求するのであるから、国が一定の費用負担をするか、料金を引き上げるかを要請することが予想される。いずれも国民の負担となり、微妙な選択となろう。
 (2) 「事業所外のリスクを伴う事故」以上への対応
最大の問題は、今回のような事故などが発生した場合、事故の深刻度がレベル4の「事業所内のリスクを伴う事故」までであれば企業を中心とした対応で良かろうが、「事業所外」への放射性物質の飛散リスクを伴うレベル5以上、特にレベル6、7の「大事故」や「深刻な事故」レベルと判断される場合は、高度な放射能防護、対策が必要となり、企業レベルでは対応困難となるので、直ちに国家緊急時対策センターを立ち上げ、官邸レベルでの対応が不可欠となろう。テロなどの攻撃が発生した場合は直ちに国家レベルでの対応が不可避となる。
このような原子力施設の安全確保の意味合いを勘案すると、本来であれば原子力安全庁は内閣府に置くことが望ましい。しかし内閣府の総合調整機能が増える一方で、事務体制は関係省庁からの寄合い所帯で出身官庁を見て仕事をする傾向となることなどが危惧されている。
現在の各省庁体制の最大の問題は、それぞれが設置法などで所掌を明確化し、
各省庁が相互に干渉、介入させない縦割りの体制になっていることであり、省庁間の調整や省庁の枠を超えたニーズや対応に内閣や官邸が一丸となって取り組める体制を築くことが望まれる。原子力安全庁を環境省に置く場合、長官を副大臣クラスとするなど、広範な安全対策につき省庁間の調整・指揮が十分に出来るようにしなくてはならない。
 特に事故の深刻度が「事業所外のリスクを伴う事故」のレベル以上になった場合は直ちに対応の権限を官邸に移すこととすべきであろう。「大事故」以上の危機時には、警察、消防などの出動だけでなく、自衛隊の核防護ユニットの緊急出動など一省庁では対応出来ない事態も予想されるので、何処に設置されるにせよ、内閣全体としての効果的な調整・指揮機能が発揮出来る模範例とすることが望まれる。
 なお大臣の数を18に制限することについては、それはそれで良いが、新たなニーズに応えて行くためには、全体の大臣の報酬、予算の範囲内で、一人当たりの報酬を下げる、或いは各省庁に複数配置されている副大臣や政務官を整理し、内閣の総合調整機能を強化する方向で政務3役全体として検討することは可能であろう。(2011.08.11)
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2、崩れた原子力発電の「安全神話」        (その1に掲載)
  3、今後の原子力発電の安全性確保の上で何が必要か (その2に掲載)
 4、原子力安全庁はどの組織に置くべきか
このように見てくると新設される原子力安全庁については、環境への影響が大きい放射性物質を管理、監督するという側面に着目すれば環境省の下に置くことが検討されている趣であるが、何処に設置されるか以上に、次のような基本的な問題がある。
(1)安全性確保のためのコストは誰が負担するのか
 上記1、のようなハード、ソフト双方の面に亘る広範な安全措置を何処ま
で実施させるかという問題とコストを全て電力会社に負わせるかという問題がある。保険を何処まで掛けるかの問題に類似するが、それを余りにも綿密に要求し、企業負担とすれば採算性を超え事業継続は事実上困難になる。稼動継続・再開に当たってのテストについても同様だ。企業側からすれば、それを国が要求するのであるから、国が一定の費用負担をするか、料金を引き上げるかを要請することが予想される。いずれも国民の負担となり、微妙な選択となろう。
 (2) 「事業所外のリスクを伴う事故」以上への対応
最大の問題は、今回のような事故などが発生した場合、事故の深刻度がレベル4の「事業所内のリスクを伴う事故」までであれば企業を中心とした対応で良かろうが、「事業所外」への放射性物質の飛散リスクを伴うレベル5以上、特にレベル6、7の「大事故」や「深刻な事故」レベルと判断される場合は、高度な放射能防護、対策が必要となり、企業レベルでは対応困難となるので、直ちに国家緊急時対策センターを立ち上げ、官邸レベルでの対応が不可欠となろう。テロなどの攻撃が発生した場合は直ちに国家レベルでの対応が不可避となる。
このような原子力施設の安全確保の意味合いを勘案すると、本来であれば原子力安全庁は内閣府に置くことが望ましい。しかし内閣府の総合調整機能が増える一方で、事務体制は関係省庁からの寄合い所帯で出身官庁を見て仕事をする傾向となることなどが危惧されている。
現在の各省庁体制の最大の問題は、それぞれが設置法などで所掌を明確化し、
各省庁が相互に干渉、介入させない縦割りの体制になっていることであり、省庁間の調整や省庁の枠を超えたニーズや対応に内閣や官邸が一丸となって取り組める体制を築くことが望まれる。原子力安全庁を環境省に置く場合、長官を副大臣クラスとするなど、広範な安全対策につき省庁間の調整・指揮が十分に出来るようにしなくてはならない。
 特に事故の深刻度が「事業所外のリスクを伴う事故」のレベル以上になった場合は直ちに対応の権限を官邸に移すこととすべきであろう。「大事故」以上の危機時には、警察、消防などの出動だけでなく、自衛隊の核防護ユニットの緊急出動など一省庁では対応出来ない事態も予想されるので、何処に設置されるにせよ、内閣全体としての効果的な調整・指揮機能が発揮出来る模範例とすることが望まれる。
 なお大臣の数を18に制限することについては、それはそれで良いが、新たなニーズに応えて行くためには、全体の大臣の報酬、予算の範囲内で、一人当たりの報酬を下げる、或いは各省庁に複数配置されている副大臣や政務官を整理し、内閣の総合調整機能を強化する方向で政務3役全体として検討することは可能であろう。(2011.08.11)
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シリーズ 安全神話は取り戻せるか? (その2)

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シリーズ 安全神話は取り戻せるか? (その2)

 1、基本的な防災対策強化の必要性 (その1で掲載)
 2、崩れた原子力発電の「安全神話」(その1で掲載)

 3、今後の原子力発電の安全性確保の上で何が必要か
 (1)全般的な原子力発電施設への防災インフラの強化
 今回の経験からマグニチュード9レベル、震度7前後の地震は起こり得るところであり、特に沿岸地域では大津波の可能性を考慮した防波堤や避難施設の強化など、基礎的防災インフラの改善、強化が必要であろう。なお海際に多い原子力発電所への防波堤などの強化については、私企業の敷地内ということであれば、高額な投資が必要としても国家が負担するというわけにないかないので工夫が必要となろう。
(2) 原子力発電所施設の防災対策の改善
 ほとんどの原子力発電所施設は沿岸部にあるので、耐震性だけではなく大津波への対策を含む防災対策の改善が必要であろう。
具体的には原子炉には燃料棒と使用済み燃料棒を水で冷却する装置があるが、大規模地震により停電となり、それをバックアップする自家発電装置も津波によりこれも作動しなくなり、冷却装置が完全に作動しなくなった。高度で危険性のある技術設備でありながら基礎的な安全対策が不十分であったと言えよう。
 また原子炉の構造においても、使用済み燃料棒を冷却するプールが原子炉本体の上部に隣接する形で設置されており、一方に障害が出ると他方にも重大な影響を与える構造となっており、安全上に問題があったと言えよう。
 放射線漏れの事故が起きた場合の備えについても、作業員の放射線防護服や防護車・防護盾、防護マスク・酸素マスク、自動消火装置や無人消火装置・ロボットなどの基本的な備えがなかったことも驚きである。防災インフラや施設などのハード面だけでなく、ソフト面での対応も不十分であったと言えよう。
 原子力施設の点検や整備、操業再開のための安全テストなど、日常的な業務もある。
 (3)災害発生時のソフト面の改善
どのように防災インフラを改善・強化しても自然の力が上回る可能性があるので、大災害発生時の避難方法などのソフト面の備えが不可欠であることが明らかになっている。
それらは単に国や地方公共団体が規則やマニュアルなどを作れば良いというものではない。個々人の自らの、そして家族・子孫の生命・財産は自らが守るという自己責任意識がなければ、国や地方公共団体が多額の予算と人員を動員したとしても全ての国民の生命・財産を守れるものでもない。古来から沿岸村落では津波の経験や知恵が脈々と言い伝えられており、今回も「大地震が起こったら船を沖に出せ」、「地震後潮が大きく引いたら高台に逃げろ」という古来からの教訓で被害を逃れた事例は少なくない。それは一例でしかないが、その教訓は被災地のこれからの復興、町造りにも生かすことが望まれる。
更に最大の問題は、頻繁に起こるものではないが、ある日突然に襲ってくる大規模災害や事故、場合によってはテロ攻撃等に直面した場合の対応振りなど、危機時のソフト面の備えを改善する必要があろう。
因みに、安全規則やマニュアル、或いは大規模災害・事故時の対応マニュアルなどを作ることも良いが、これまで良くありがちな余りにも詳細、緻密で分厚い規則、マニュアルを作っても、大災害が発生したら瞬時の対応が必要となると共に、大災害は各種の要素が複合して引き起こされシナリオは無いので、大部の規則・マニュアル類はほとんど役には立たないことが多い。まず一つ二つの迅速な判断と、自分たちの生命、財産は自らで守るという意識を持ち、まず難を逃れた後対応することが大切だ。(2011.08.11)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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シリーズ 安全神話は取り戻せるか? (その2)

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シリーズ 安全神話は取り戻せるか? (その2)

 1、基本的な防災対策強化の必要性 (その1で掲載)
 2、崩れた原子力発電の「安全神話」(その1で掲載)

 3、今後の原子力発電の安全性確保の上で何が必要か
 (1)全般的な原子力発電施設への防災インフラの強化
 今回の経験からマグニチュード9レベル、震度7前後の地震は起こり得るところであり、特に沿岸地域では大津波の可能性を考慮した防波堤や避難施設の強化など、基礎的防災インフラの改善、強化が必要であろう。なお海際に多い原子力発電所への防波堤などの強化については、私企業の敷地内ということであれば、高額な投資が必要としても国家が負担するというわけにないかないので工夫が必要となろう。
(2) 原子力発電所施設の防災対策の改善
 ほとんどの原子力発電所施設は沿岸部にあるので、耐震性だけではなく大津波への対策を含む防災対策の改善が必要であろう。
具体的には原子炉には燃料棒と使用済み燃料棒を水で冷却する装置があるが、大規模地震により停電となり、それをバックアップする自家発電装置も津波によりこれも作動しなくなり、冷却装置が完全に作動しなくなった。高度で危険性のある技術設備でありながら基礎的な安全対策が不十分であったと言えよう。
 また原子炉の構造においても、使用済み燃料棒を冷却するプールが原子炉本体の上部に隣接する形で設置されており、一方に障害が出ると他方にも重大な影響を与える構造となっており、安全上に問題があったと言えよう。
 放射線漏れの事故が起きた場合の備えについても、作業員の放射線防護服や防護車・防護盾、防護マスク・酸素マスク、自動消火装置や無人消火装置・ロボットなどの基本的な備えがなかったことも驚きである。防災インフラや施設などのハード面だけでなく、ソフト面での対応も不十分であったと言えよう。
 原子力施設の点検や整備、操業再開のための安全テストなど、日常的な業務もある。
 (3)災害発生時のソフト面の改善
どのように防災インフラを改善・強化しても自然の力が上回る可能性があるので、大災害発生時の避難方法などのソフト面の備えが不可欠であることが明らかになっている。
それらは単に国や地方公共団体が規則やマニュアルなどを作れば良いというものではない。個々人の自らの、そして家族・子孫の生命・財産は自らが守るという自己責任意識がなければ、国や地方公共団体が多額の予算と人員を動員したとしても全ての国民の生命・財産を守れるものでもない。古来から沿岸村落では津波の経験や知恵が脈々と言い伝えられており、今回も「大地震が起こったら船を沖に出せ」、「地震後潮が大きく引いたら高台に逃げろ」という古来からの教訓で被害を逃れた事例は少なくない。それは一例でしかないが、その教訓は被災地のこれからの復興、町造りにも生かすことが望まれる。
更に最大の問題は、頻繁に起こるものではないが、ある日突然に襲ってくる大規模災害や事故、場合によってはテロ攻撃等に直面した場合の対応振りなど、危機時のソフト面の備えを改善する必要があろう。
因みに、安全規則やマニュアル、或いは大規模災害・事故時の対応マニュアルなどを作ることも良いが、これまで良くありがちな余りにも詳細、緻密で分厚い規則、マニュアルを作っても、大災害が発生したら瞬時の対応が必要となると共に、大災害は各種の要素が複合して引き起こされシナリオは無いので、大部の規則・マニュアル類はほとんど役には立たないことが多い。まず一つ二つの迅速な判断と、自分たちの生命、財産は自らで守るという意識を持ち、まず難を逃れた後対応することが大切だ。(2011.08.11)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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シリーズ 安全神話は取り戻せるか? (その3)

2011-08-27 | Weblog
シリーズ 安全神話は取り戻せるか? (その3)
  1、基本的な防災対策強化の必要性         (その1に掲載)
2、崩れた原子力発電の「安全神話」        (その1に掲載)
  3、今後の原子力発電の安全性確保の上で何が必要か (その2に掲載)
 4、原子力安全庁はどの組織に置くべきか
このように見てくると新設される原子力安全庁については、環境への影響が大きい放射性物質を管理、監督するという側面に着目すれば環境省の下に置くことが検討されている趣であるが、何処に設置されるか以上に、次のような基本的な問題がある。
(1)安全性確保のためのコストは誰が負担するのか
 上記1、のようなハード、ソフト双方の面に亘る広範な安全措置を何処ま
で実施させるかという問題とコストを全て電力会社に負わせるかという問題がある。保険を何処まで掛けるかの問題に類似するが、それを余りにも綿密に要求し、企業負担とすれば採算性を超え事業継続は事実上困難になる。稼動継続・再開に当たってのテストについても同様だ。企業側からすれば、それを国が要求するのであるから、国が一定の費用負担をするか、料金を引き上げるかを要請することが予想される。いずれも国民の負担となり、微妙な選択となろう。
 (2) 「事業所外のリスクを伴う事故」以上への対応
最大の問題は、今回のような事故などが発生した場合、事故の深刻度がレベル4の「事業所内のリスクを伴う事故」までであれば企業を中心とした対応で良かろうが、「事業所外」への放射性物質の飛散リスクを伴うレベル5以上、特にレベル6、7の「大事故」や「深刻な事故」レベルと判断される場合は、高度な放射能防護、対策が必要となり、企業レベルでは対応困難となるので、直ちに国家緊急時対策センターを立ち上げ、官邸レベルでの対応が不可欠となろう。テロなどの攻撃が発生した場合は直ちに国家レベルでの対応が不可避となる。
このような原子力施設の安全確保の意味合いを勘案すると、本来であれば原子力安全庁は内閣府に置くことが望ましい。しかし内閣府の総合調整機能が増える一方で、事務体制は関係省庁からの寄合い所帯で出身官庁を見て仕事をする傾向となることなどが危惧されている。
現在の各省庁体制の最大の問題は、それぞれが設置法などで所掌を明確化し、
各省庁が相互に干渉、介入させない縦割りの体制になっていることであり、省庁間の調整や省庁の枠を超えたニーズや対応に内閣や官邸が一丸となって取り組める体制を築くことが望まれる。原子力安全庁を環境省に置く場合、長官を副大臣クラスとするなど、広範な安全対策につき省庁間の調整・指揮が十分に出来るようにしなくてはならない。
 特に事故の深刻度が「事業所外のリスクを伴う事故」のレベル以上になった場合は直ちに対応の権限を官邸に移すこととすべきであろう。「大事故」以上の危機時には、警察、消防などの出動だけでなく、自衛隊の核防護ユニットの緊急出動など一省庁では対応出来ない事態も予想されるので、何処に設置されるにせよ、内閣全体としての効果的な調整・指揮機能が発揮出来る模範例とすることが望まれる。
 なお大臣の数を18に制限することについては、それはそれで良いが、新たなニーズに応えて行くためには、全体の大臣の報酬、予算の範囲内で、一人当たりの報酬を下げる、或いは各省庁に複数配置されている副大臣や政務官を整理し、内閣の総合調整機能を強化する方向で政務3役全体として検討することは可能であろう。(2011.08.11)
(All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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シリーズ 安全神話は取り戻せるか? (その3)

2011-08-27 | Weblog
シリーズ 安全神話は取り戻せるか? (その3)
  1、基本的な防災対策強化の必要性         (その1に掲載)
2、崩れた原子力発電の「安全神話」        (その1に掲載)
  3、今後の原子力発電の安全性確保の上で何が必要か (その2に掲載)
 4、原子力安全庁はどの組織に置くべきか
このように見てくると新設される原子力安全庁については、環境への影響が大きい放射性物質を管理、監督するという側面に着目すれば環境省の下に置くことが検討されている趣であるが、何処に設置されるか以上に、次のような基本的な問題がある。
(1)安全性確保のためのコストは誰が負担するのか
 上記1、のようなハード、ソフト双方の面に亘る広範な安全措置を何処ま
で実施させるかという問題とコストを全て電力会社に負わせるかという問題がある。保険を何処まで掛けるかの問題に類似するが、それを余りにも綿密に要求し、企業負担とすれば採算性を超え事業継続は事実上困難になる。稼動継続・再開に当たってのテストについても同様だ。企業側からすれば、それを国が要求するのであるから、国が一定の費用負担をするか、料金を引き上げるかを要請することが予想される。いずれも国民の負担となり、微妙な選択となろう。
 (2) 「事業所外のリスクを伴う事故」以上への対応
最大の問題は、今回のような事故などが発生した場合、事故の深刻度がレベル4の「事業所内のリスクを伴う事故」までであれば企業を中心とした対応で良かろうが、「事業所外」への放射性物質の飛散リスクを伴うレベル5以上、特にレベル6、7の「大事故」や「深刻な事故」レベルと判断される場合は、高度な放射能防護、対策が必要となり、企業レベルでは対応困難となるので、直ちに国家緊急時対策センターを立ち上げ、官邸レベルでの対応が不可欠となろう。テロなどの攻撃が発生した場合は直ちに国家レベルでの対応が不可避となる。
このような原子力施設の安全確保の意味合いを勘案すると、本来であれば原子力安全庁は内閣府に置くことが望ましい。しかし内閣府の総合調整機能が増える一方で、事務体制は関係省庁からの寄合い所帯で出身官庁を見て仕事をする傾向となることなどが危惧されている。
現在の各省庁体制の最大の問題は、それぞれが設置法などで所掌を明確化し、
各省庁が相互に干渉、介入させない縦割りの体制になっていることであり、省庁間の調整や省庁の枠を超えたニーズや対応に内閣や官邸が一丸となって取り組める体制を築くことが望まれる。原子力安全庁を環境省に置く場合、長官を副大臣クラスとするなど、広範な安全対策につき省庁間の調整・指揮が十分に出来るようにしなくてはならない。
 特に事故の深刻度が「事業所外のリスクを伴う事故」のレベル以上になった場合は直ちに対応の権限を官邸に移すこととすべきであろう。「大事故」以上の危機時には、警察、消防などの出動だけでなく、自衛隊の核防護ユニットの緊急出動など一省庁では対応出来ない事態も予想されるので、何処に設置されるにせよ、内閣全体としての効果的な調整・指揮機能が発揮出来る模範例とすることが望まれる。
 なお大臣の数を18に制限することについては、それはそれで良いが、新たなニーズに応えて行くためには、全体の大臣の報酬、予算の範囲内で、一人当たりの報酬を下げる、或いは各省庁に複数配置されている副大臣や政務官を整理し、内閣の総合調整機能を強化する方向で政務3役全体として検討することは可能であろう。(2011.08.11)
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  1、基本的な防災対策強化の必要性         (その1に掲載)
2、崩れた原子力発電の「安全神話」        (その1に掲載)
  3、今後の原子力発電の安全性確保の上で何が必要か (その2に掲載)
 4、原子力安全庁はどの組織に置くべきか
このように見てくると新設される原子力安全庁については、環境への影響が大きい放射性物質を管理、監督するという側面に着目すれば環境省の下に置くことが検討されている趣であるが、何処に設置されるか以上に、次のような基本的な問題がある。
(1)安全性確保のためのコストは誰が負担するのか
 上記1、のようなハード、ソフト双方の面に亘る広範な安全措置を何処ま
で実施させるかという問題とコストを全て電力会社に負わせるかという問題がある。保険を何処まで掛けるかの問題に類似するが、それを余りにも綿密に要求し、企業負担とすれば採算性を超え事業継続は事実上困難になる。稼動継続・再開に当たってのテストについても同様だ。企業側からすれば、それを国が要求するのであるから、国が一定の費用負担をするか、料金を引き上げるかを要請することが予想される。いずれも国民の負担となり、微妙な選択となろう。
 (2) 「事業所外のリスクを伴う事故」以上への対応
最大の問題は、今回のような事故などが発生した場合、事故の深刻度がレベル4の「事業所内のリスクを伴う事故」までであれば企業を中心とした対応で良かろうが、「事業所外」への放射性物質の飛散リスクを伴うレベル5以上、特にレベル6、7の「大事故」や「深刻な事故」レベルと判断される場合は、高度な放射能防護、対策が必要となり、企業レベルでは対応困難となるので、直ちに国家緊急時対策センターを立ち上げ、官邸レベルでの対応が不可欠となろう。テロなどの攻撃が発生した場合は直ちに国家レベルでの対応が不可避となる。
このような原子力施設の安全確保の意味合いを勘案すると、本来であれば原子力安全庁は内閣府に置くことが望ましい。しかし内閣府の総合調整機能が増える一方で、事務体制は関係省庁からの寄合い所帯で出身官庁を見て仕事をする傾向となることなどが危惧されている。
現在の各省庁体制の最大の問題は、それぞれが設置法などで所掌を明確化し、
各省庁が相互に干渉、介入させない縦割りの体制になっていることであり、省庁間の調整や省庁の枠を超えたニーズや対応に内閣や官邸が一丸となって取り組める体制を築くことが望まれる。原子力安全庁を環境省に置く場合、長官を副大臣クラスとするなど、広範な安全対策につき省庁間の調整・指揮が十分に出来るようにしなくてはならない。
 特に事故の深刻度が「事業所外のリスクを伴う事故」のレベル以上になった場合は直ちに対応の権限を官邸に移すこととすべきであろう。「大事故」以上の危機時には、警察、消防などの出動だけでなく、自衛隊の核防護ユニットの緊急出動など一省庁では対応出来ない事態も予想されるので、何処に設置されるにせよ、内閣全体としての効果的な調整・指揮機能が発揮出来る模範例とすることが望まれる。
 なお大臣の数を18に制限することについては、それはそれで良いが、新たなニーズに応えて行くためには、全体の大臣の報酬、予算の範囲内で、一人当たりの報酬を下げる、或いは各省庁に複数配置されている副大臣や政務官を整理し、内閣の総合調整機能を強化する方向で政務3役全体として検討することは可能であろう。(2011.08.11)
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  1、基本的な防災対策強化の必要性         (その1に掲載)
2、崩れた原子力発電の「安全神話」        (その1に掲載)
  3、今後の原子力発電の安全性確保の上で何が必要か (その2に掲載)
 4、原子力安全庁はどの組織に置くべきか
このように見てくると新設される原子力安全庁については、環境への影響が大きい放射性物質を管理、監督するという側面に着目すれば環境省の下に置くことが検討されている趣であるが、何処に設置されるか以上に、次のような基本的な問題がある。
(1)安全性確保のためのコストは誰が負担するのか
 上記1、のようなハード、ソフト双方の面に亘る広範な安全措置を何処ま
で実施させるかという問題とコストを全て電力会社に負わせるかという問題がある。保険を何処まで掛けるかの問題に類似するが、それを余りにも綿密に要求し、企業負担とすれば採算性を超え事業継続は事実上困難になる。稼動継続・再開に当たってのテストについても同様だ。企業側からすれば、それを国が要求するのであるから、国が一定の費用負担をするか、料金を引き上げるかを要請することが予想される。いずれも国民の負担となり、微妙な選択となろう。
 (2) 「事業所外のリスクを伴う事故」以上への対応
最大の問題は、今回のような事故などが発生した場合、事故の深刻度がレベル4の「事業所内のリスクを伴う事故」までであれば企業を中心とした対応で良かろうが、「事業所外」への放射性物質の飛散リスクを伴うレベル5以上、特にレベル6、7の「大事故」や「深刻な事故」レベルと判断される場合は、高度な放射能防護、対策が必要となり、企業レベルでは対応困難となるので、直ちに国家緊急時対策センターを立ち上げ、官邸レベルでの対応が不可欠となろう。テロなどの攻撃が発生した場合は直ちに国家レベルでの対応が不可避となる。
このような原子力施設の安全確保の意味合いを勘案すると、本来であれば原子力安全庁は内閣府に置くことが望ましい。しかし内閣府の総合調整機能が増える一方で、事務体制は関係省庁からの寄合い所帯で出身官庁を見て仕事をする傾向となることなどが危惧されている。
現在の各省庁体制の最大の問題は、それぞれが設置法などで所掌を明確化し、
各省庁が相互に干渉、介入させない縦割りの体制になっていることであり、省庁間の調整や省庁の枠を超えたニーズや対応に内閣や官邸が一丸となって取り組める体制を築くことが望まれる。原子力安全庁を環境省に置く場合、長官を副大臣クラスとするなど、広範な安全対策につき省庁間の調整・指揮が十分に出来るようにしなくてはならない。
 特に事故の深刻度が「事業所外のリスクを伴う事故」のレベル以上になった場合は直ちに対応の権限を官邸に移すこととすべきであろう。「大事故」以上の危機時には、警察、消防などの出動だけでなく、自衛隊の核防護ユニットの緊急出動など一省庁では対応出来ない事態も予想されるので、何処に設置されるにせよ、内閣全体としての効果的な調整・指揮機能が発揮出来る模範例とすることが望まれる。
 なお大臣の数を18に制限することについては、それはそれで良いが、新たなニーズに応えて行くためには、全体の大臣の報酬、予算の範囲内で、一人当たりの報酬を下げる、或いは各省庁に複数配置されている副大臣や政務官を整理し、内閣の総合調整機能を強化する方向で政務3役全体として検討することは可能であろう。(2011.08.11)
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  1、基本的な防災対策強化の必要性         (その1に掲載)
2、崩れた原子力発電の「安全神話」        (その1に掲載)
  3、今後の原子力発電の安全性確保の上で何が必要か (その2に掲載)
 4、原子力安全庁はどの組織に置くべきか
このように見てくると新設される原子力安全庁については、環境への影響が大きい放射性物質を管理、監督するという側面に着目すれば環境省の下に置くことが検討されている趣であるが、何処に設置されるか以上に、次のような基本的な問題がある。
(1)安全性確保のためのコストは誰が負担するのか
 上記1、のようなハード、ソフト双方の面に亘る広範な安全措置を何処ま
で実施させるかという問題とコストを全て電力会社に負わせるかという問題がある。保険を何処まで掛けるかの問題に類似するが、それを余りにも綿密に要求し、企業負担とすれば採算性を超え事業継続は事実上困難になる。稼動継続・再開に当たってのテストについても同様だ。企業側からすれば、それを国が要求するのであるから、国が一定の費用負担をするか、料金を引き上げるかを要請することが予想される。いずれも国民の負担となり、微妙な選択となろう。
 (2) 「事業所外のリスクを伴う事故」以上への対応
最大の問題は、今回のような事故などが発生した場合、事故の深刻度がレベル4の「事業所内のリスクを伴う事故」までであれば企業を中心とした対応で良かろうが、「事業所外」への放射性物質の飛散リスクを伴うレベル5以上、特にレベル6、7の「大事故」や「深刻な事故」レベルと判断される場合は、高度な放射能防護、対策が必要となり、企業レベルでは対応困難となるので、直ちに国家緊急時対策センターを立ち上げ、官邸レベルでの対応が不可欠となろう。テロなどの攻撃が発生した場合は直ちに国家レベルでの対応が不可避となる。
このような原子力施設の安全確保の意味合いを勘案すると、本来であれば原子力安全庁は内閣府に置くことが望ましい。しかし内閣府の総合調整機能が増える一方で、事務体制は関係省庁からの寄合い所帯で出身官庁を見て仕事をする傾向となることなどが危惧されている。
現在の各省庁体制の最大の問題は、それぞれが設置法などで所掌を明確化し、
各省庁が相互に干渉、介入させない縦割りの体制になっていることであり、省庁間の調整や省庁の枠を超えたニーズや対応に内閣や官邸が一丸となって取り組める体制を築くことが望まれる。原子力安全庁を環境省に置く場合、長官を副大臣クラスとするなど、広範な安全対策につき省庁間の調整・指揮が十分に出来るようにしなくてはならない。
 特に事故の深刻度が「事業所外のリスクを伴う事故」のレベル以上になった場合は直ちに対応の権限を官邸に移すこととすべきであろう。「大事故」以上の危機時には、警察、消防などの出動だけでなく、自衛隊の核防護ユニットの緊急出動など一省庁では対応出来ない事態も予想されるので、何処に設置されるにせよ、内閣全体としての効果的な調整・指揮機能が発揮出来る模範例とすることが望まれる。
 なお大臣の数を18に制限することについては、それはそれで良いが、新たなニーズに応えて行くためには、全体の大臣の報酬、予算の範囲内で、一人当たりの報酬を下げる、或いは各省庁に複数配置されている副大臣や政務官を整理し、内閣の総合調整機能を強化する方向で政務3役全体として検討することは可能であろう。(2011.08.11)
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シリーズ 安全神話は取り戻せるか? (その2)

2011-08-27 | Weblog
シリーズ 安全神話は取り戻せるか? (その2)

 1、基本的な防災対策強化の必要性 (その1で掲載)
 2、崩れた原子力発電の「安全神話」(その1で掲載)

 3、今後の原子力発電の安全性確保の上で何が必要か
 (1)全般的な原子力発電施設への防災インフラの強化
 今回の経験からマグニチュード9レベル、震度7前後の地震は起こり得るところであり、特に沿岸地域では大津波の可能性を考慮した防波堤や避難施設の強化など、基礎的防災インフラの改善、強化が必要であろう。なお海際に多い原子力発電所への防波堤などの強化については、私企業の敷地内ということであれば、高額な投資が必要としても国家が負担するというわけにないかないので工夫が必要となろう。
(2) 原子力発電所施設の防災対策の改善
 ほとんどの原子力発電所施設は沿岸部にあるので、耐震性だけではなく大津波への対策を含む防災対策の改善が必要であろう。
具体的には原子炉には燃料棒と使用済み燃料棒を水で冷却する装置があるが、大規模地震により停電となり、それをバックアップする自家発電装置も津波によりこれも作動しなくなり、冷却装置が完全に作動しなくなった。高度で危険性のある技術設備でありながら基礎的な安全対策が不十分であったと言えよう。
 また原子炉の構造においても、使用済み燃料棒を冷却するプールが原子炉本体の上部に隣接する形で設置されており、一方に障害が出ると他方にも重大な影響を与える構造となっており、安全上に問題があったと言えよう。
 放射線漏れの事故が起きた場合の備えについても、作業員の放射線防護服や防護車・防護盾、防護マスク・酸素マスク、自動消火装置や無人消火装置・ロボットなどの基本的な備えがなかったことも驚きである。防災インフラや施設などのハード面だけでなく、ソフト面での対応も不十分であったと言えよう。
 原子力施設の点検や整備、操業再開のための安全テストなど、日常的な業務もある。
 (3)災害発生時のソフト面の改善
どのように防災インフラを改善・強化しても自然の力が上回る可能性があるので、大災害発生時の避難方法などのソフト面の備えが不可欠であることが明らかになっている。
それらは単に国や地方公共団体が規則やマニュアルなどを作れば良いというものではない。個々人の自らの、そして家族・子孫の生命・財産は自らが守るという自己責任意識がなければ、国や地方公共団体が多額の予算と人員を動員したとしても全ての国民の生命・財産を守れるものでもない。古来から沿岸村落では津波の経験や知恵が脈々と言い伝えられており、今回も「大地震が起こったら船を沖に出せ」、「地震後潮が大きく引いたら高台に逃げろ」という古来からの教訓で被害を逃れた事例は少なくない。それは一例でしかないが、その教訓は被災地のこれからの復興、町造りにも生かすことが望まれる。
更に最大の問題は、頻繁に起こるものではないが、ある日突然に襲ってくる大規模災害や事故、場合によってはテロ攻撃等に直面した場合の対応振りなど、危機時のソフト面の備えを改善する必要があろう。
因みに、安全規則やマニュアル、或いは大規模災害・事故時の対応マニュアルなどを作ることも良いが、これまで良くありがちな余りにも詳細、緻密で分厚い規則、マニュアルを作っても、大災害が発生したら瞬時の対応が必要となると共に、大災害は各種の要素が複合して引き起こされシナリオは無いので、大部の規則・マニュアル類はほとんど役には立たないことが多い。まず一つ二つの迅速な判断と、自分たちの生命、財産は自らで守るという意識を持ち、まず難を逃れた後対応することが大切だ。(2011.08.11)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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