内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

このブログは、広い視野から内外諸問題を分析し、提言を試みます。
Policy Essayist

施策に活かされるべき統計数値            (その2ー1)

2014-09-04 | Weblog

施策に活かされるべき統計数値            (その2ー1)

 国土交通省は、3月28日、日本の人口は2050年に約9,700 万人に減少すると共に、全国の60%以上の地域で人口が2010年と比較して半分以下になるという試算を発表した。出生率の低下や外国人受け入れも進展しないことを前提としているのだろうが、警鐘を鳴らす数値だ。国交省は、これを前提として、東京、大阪間のリニアー新幹線を運行し、東京、名古屋、大阪の3大都市圏を「巨大都市圏(スーパー・メガリージョン)」として一体化することなどを将来の国土整備の基本方針として位置付けるとの考え方を明らかにしている。

 他方、居住地域の約60%について人口が半減し、無人地域は全土の約60%に広がるとしている。このような予測から、地方については「コンパクトシテイ」として集約する等としている。

 人口減に関連して、民間有識者で構成する日本創成会議の人口減少問題検討分科会は、全国1,800市区町村の50%弱の896自治体で「20歳から39歳の女性人口」が2010年以降の30年間で50%以上減少するとの検討結果を公表した。

そして2040年の人口が1万人を割る自治体が523、全体の30%弱は「消滅の可能性が高い都市」になるとしている。

 総務省統計局も、6月25日、2014年1月1日時点での人口調査を公表したが、全国1,748の市区町村の82%強の1,440の市区町村で前年より人口が減少したとしている。東京、名古屋、関西の3大都市圏が全体の約51%の人口を抱えており、都市圏への集中が明らかにされている。年齢別では2014年4月、65才以上の“高齢者”或いは‘老年人口’が歴史上始めて総人口の25%を越えた旨公表している。65才以上が3000万人超えとなる一方、生産労働人口(15~64才)は総人口の62%弱の7,836人と過去最低を更新しており、今後この傾向が継続するものと予想される。

 1、  活かされて来なかった官民の統計数値              (その1で掲載)

 2、人口減を見据えた行財政モデルと統治機構の簡素化が必要  

 少子化、人口の減少傾向により、現在の‘定年制’を前提とすると、将来的に労働力人口は減少し、国民の税負担能力は低下する一方、長寿化により年金受給者や受給期間が増える等、福祉関連の歳出は増加する。

 またこのような人口減は、全国一律に起こるのではなく、地方から人口が流出し、地方の人口減が起こる一方、首都圏等の大都市に人口が集中する傾向が民間の研究でも指摘されている。

 他方、経済については、グローバル化が進み、国内市場ではなく世界市場を目標として企業の大規模化、多国籍企業化が進む一方、裾野産業がそれを支えると共に、特異な技術や製品が世界市場に向かうなど、中小企業についても国際競争力が問われるものと見られる。

 このような変化の中で、2040年を一つの目標年として、中央及び地方の体制を次のように誘導して行くことが望まれる。なお、人口増について、出生率の増加や外国人労働力の受け入れなどが検討されているおり、それにより若干の効果はあろうが、日本人の人口減と長寿化は趨勢としては継続すると見られるので、それを前提とするべきであろう。

 (1)   中央、地方行政組織、議会それぞれにおける適正な定員管理

 人口減、労働力人口減が予測されている以上、行政組織を適正規模に調整して行くことが不可欠であろう。それを行っておけば、経済停滞期に行政組織で景気対策としての雇用増を行う余裕が出来ることになろう。そのためまず新規採用を着実に削減して行くことが望ましい。新卒者も減少していくのでその影響が緩和されよう。この場合、特殊法人や独立行政法人などの関連組織を含む。また、規制の原則撤廃や簡素化を進めることが望まれる。

 特に相対的に急速な人口減が予想されている市区町村については、新規採用の削減などの定員管理と共に、市区町村の統廃合を進め、持続可能な自治体規模としていく必要があろう。同様に選挙区についても定期的な整理・統合が必要となる。これを怠ると将来財政破綻となり住民は大きな被害を受けることになろう。

 なお全体の定員管理については、雇用機会の確保(ワークシェアリング)に重点を置き給与・報酬を抑える方法と、優先分野を明確にし、優先度の低い部局や効率の悪い部局やムダを削減すると共に、規制の撤廃を促進して定員を縮小する一方、給与・報酬など労働環境を改善する方法がある。将来的にはより豊かな家計、生活、即ち高所得、高消費の社会に導くことが望まれるので、後者の方法が望ましいが、それは中央は中央として、またそれぞれの自治体の規模や特性を踏まえ各自治体の選択に委ねられるものであろう。

 その上で、魅力あるコミュニテイ作りを進めることが望まれる。

  (2)   公共施設、社会インフラの適正な管理  と魅力あるコミュニテイ作り    (その2-2 に掲載)

   (3) 65才以上の年長者への対応                                   (その2-3 に掲載)

 (2014.7.1.)(All Rights Reserved.)


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 施策に活かされるべき統計数... | トップ | 施策に活かされるべき統計数... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事