内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

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Policy Essayist

胸に落ちない判決、江東区の女性誘拐、殺人、死体損壊、死体遺棄事件

2009-02-20 | Weblog
胸に落ちない判決、江東区の女性誘拐、殺人、死体損壊、死体遺棄事件
 2008年4月、東京都江東区のマンションで、星島被告が2部屋隣に住む女性を自室に拉致した後殺害した事件で、2月18日、東京地裁は同被告に「無期懲役」を言い渡した。
 この事件は、の誘拐(拉致)、監禁、婦女暴行(未遂とされている)、殺人、死体損壊、死体遺棄という、性的欲望を満たすための身勝手な、常軌を逸した残忍な重罪である。
 「死刑」は刑法上「殺人」にのみ適用される極刑であるが、裁判官によると、残虐であるとしつつも、「のどを一突きにして殺した」ことは「死をもって償わせるに値しない」としている。殺害後に遺体を切り刻みトイレに流すなどの「死体遺棄」の行為も、法律上「殺人行為」とは区別される行為であり、「死刑には値しない」などとしている。まことにもっとも、法律上は、殺人の他、個々の犯罪行為にたいして各々量刑を課しており、紙の上では「殺人行為」だけが死刑判断の対象になっている。また、「殺人」については、判例により、計画性や残虐性などの定性的な「基準」なるものがあり、判例(前例)の横並びで判決が下されることになっている。
 今回の犯罪は、同一人による誘拐・監禁・婦女暴行(未遂)と殺人・死体損壊・死体遺棄というそれぞれ重い刑が課され得る複合犯罪であり、特に「一突きにして、切り刻む」行為については連続した比類ない残虐非道な行為であり、それだけで無期懲役に値するとも言える。その上、身勝手で短絡的な誘拐・監禁・婦女暴行(未遂)・死体遺棄という重罪を犯しているので、それぞれの罪が加算されるべきであろう。日本も複合した犯罪行為については刑を加算する量刑加算方式を導入すべきであり、その方が分かり易い。今回の事件も、一つ一つの行為毎に思い止まる機会があったはずである。それにも拘わらず残虐な行為をエスカレートさせて行った。無期懲役を遥かに越える重罪は死刑でも仕方がないのではないか。そうでなければ、被害者が浮かばれない。犯人は、一生獄中でどうやって償うのであろうか。「償い」の心の中は誰にも読めない。
 本稿は、「死刑」という刑罰自体を擁護するものではない。生命の尊さを考えれば無くなって欲しいものだ。しかし、「死刑」という刑罰以前に、多くの殺人事件が繰り返され、命が奪われ、最近では「身勝手さ」や「残虐性」などに歯止めが掛かっていないように見える。まず終わらせなくてはならないのはこの残虐な殺人行為であろう。
 法律上死刑と言う刑罰があることを前提とすれば、「のどを一突きにして殺す」ことも「遺体(その時点では生きていたかもしれない)を切り刻む」ことも「死刑に値しない」との判決には強い違和感を感じる。これが潜在的な犯罪者にどのようなメッセージとなるかを考えるとおぞましくもある。
人の命を何と考えているのだろうか。複数の殺人でなければ極刑はあり得ないのであろうか。1人の命であっても、命の尊さはそのものとして尊重されるべきであろう。殺人罪の「時効」についても、DNA鑑定など科学技術が長足の進歩をしている今日、必要性は疑わしい。(09.02.19.)    (Copy Right Reserved.)

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