内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

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Policy Essayist

シリーズ高まる消費税の福祉目的税化と大幅増税論―不可避となった行政大改革―

2008-05-22 | Weblog
シリーズ高まる消費税の福祉目的税化と大幅増税論―不可避となった行政大改革―
 5月19日、政府は、基礎年金を税方式にした場合の財政試算を公表した。それによると、追加的に必要な財源は2009年度時点で9兆円から33兆円で、これを全額消費税増税で賄うと、消費税率は9.5%から18%(現行の消費税率を含む)に引き上げる必要があるとしている。問題となっている医療や介護保険の給付増の手当てはこれには含まれていない。
 また同日、日本経団連の御手洗会長は、消費税を基礎年金だけでなく、医療・介護などの財源に充てるために社会保障目的税化した場合には、2020年とか25年頃には、「10%で収まるとは思っていない」と述べ、消費税の大幅増税の必要性を示唆している。
 政府の試算には、医療・福祉を含めていない上、9.5%から18%と可なりの幅があるが、最低限でも09年度に9.5%への消費税引き上げが必要との期待を示した形だ。
 10年間59兆円の道路特定財源を09年度から一般財源化するとの方針が示されている中で、関連法案が国会を通過した直後での消費税増税提案である。
 はっきりしたことは、現状の放漫財政のままでは、近々にも大幅な消費税増税が必要と政府自体が認め、財界が一定の理解を示していることだ。
 国民の側に立てば、それでなくても年金への信頼感が揺らぎ、将来設計がたち難くなっている上に、石油の高騰と小麦製品を始めとする物価の上昇と景気の停滞など、国民生活の先行きは明るくはない。将来的には少子・高齢化が一段と進むと政府当局自身も公表しており、年金、医療などの福祉関連予算は増加することが予想されている一方、税負担を担う若い世代は減少し、国民の税その他の納付能力は低下することになる。そのような中での消費税等の大幅増税は国民の消費意欲だけでなく、生活する活力まで削いでしまう恐れもある。
 過去のものとなっていた小説「蟹工船」が若い世代に流行っているという。若い世代が酷使されていると感じているからであろうか。働け、働けと言われても正当化やモチベーションが不可欠だ。ましてや少子化の中で一人っ子や子供2人程度の家庭で育ってきた世代には、高齢者のために福祉を担えと言われても、国や地方公共団体が無駄や浪費を徹底的に削減しなければ納得出来ないであろう。
 国や地方の行政を徹底的に簡素化、スリム化し効率化が不可欠だ。問題の先送りは許されず、行政の抜本的改革が必要になっている。それを今回の政府財政試算が明らかにしてくれた。現役世代が若い世代の負担感や高齢者の不安感を取り除く努力が必要のようだ。(08.05.)                    (Copy Right Reserved.)

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