内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

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Policy Essayist

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)11カ国による大筋合意を歓迎する!!

2017-11-13 | Weblog
TPP(環太平洋パートナーシップ協定)11カ国による大筋合意を歓迎する!!
 日本や豪州、メキシコ他太平洋を囲む12か国で構成する環太平洋パートナーシップ協定(TPP)は、2016年2月、米国を含む12か国で署名され、日本は同年12月に異例の速さで国会承認された。同時に、牛肉や豚肉の生産者が全体で赤字経営になった場合の赤字額を補てんする制度の拡充、一定の輸入量を超えた場合の関税を引き上げ(セーフガード)
などについての関連法の改正が行われた。
TPP署名12か国の世界に占める割合は、人口約11%(約8億人)で、国内総生産(GDP)が約36%、貿易が約26%であり、協定が発効すれば、世界最大規模の自由貿易圏が実現することになる上、太平洋を囲むこの地域は政治的にも比較的安定しており、世界の成長センターとして期待されている。
 しかし米国のトランプ大統領は、就任早々の2017年1月23日、米国における雇用機会を奪うなどの理由から、‘TPP協定から永久に離脱する’旨の大統領令に署名をした。またトランプ政権は北米自由貿易協定(NAFTA)についても再交渉を指示し、カナダ、メキシコとの協議を重ねてきたが、同年10月の協議でも、米国が自国製品の優遇を強く主張し、カナダ、メキシコが反発したため妥結に至っていない。
 このような中でTPP11カ国は、米国抜きでの協定発効を協議して来たところ、11月9日、ベトナムで開催された経済貿易閣僚会議において、離脱を表明している米国に関連する条項を凍結(関連条項の実施先送り)する形で11カ国による新協定「TPP11」に大筋合意し、11月10日、APEC首脳会議に際し首脳により確認される。
 11カ国による新協定「TPP11」の大筋合意を歓迎すると共に、早期の発効を期待する。
 「TPP11」は米国抜きとはなるが、世界に占める割合は、人口約7%(約5億人)で、国内総生産(GDP)が約%14、貿易が約15%であり、協定が発効すれば欧州連合(EU)に匹敵する自由貿易圏が実現する。
将来米国が何らかの形で参加することが期待されるところであるが、いずれにしても開かれた自由貿易圏を目指すべきであり、環太平洋諸国の新規加入も期待される。
なお中国については、‘中国の特色ある社会主義’を目指すことが本年10月の全人代でも再確認され、基本的には為替管理を含め、国家管理経済、統制経済体制であり、私有財産制に基づく‘自由経済’、‘自由市場’とは体制が異なる。従って中国の国内経済体制が為替管理を含めて自由経済市場に移行するまで参加は困難であろう。世界貿易機構(WTO)が、 社会主義経済である中国の参加をそのまま認めたことは時期尚早であり、これによりWTOの下での世界規模の自由化の流れが停滞したことに留意すべきであろう。(2017.11.10.)(All Rights Reserved.)

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