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内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

このブログは、広い視野から内外諸問題を分析し、提言を試みます。
Policy Essayist

トランプ米大統領の対中通商交渉の基本姿勢を支持すべし!

2019-06-05 | Weblog
トランプ米大統領の対中通商交渉の基本姿勢を支持すべし!
 トランプ米大統領は、2018年3月、‘中国が米国の知的財産権を侵害している’として、最大で600億ドル(約6.3兆円)規模の中国製品に対し関税を課すことを目指す大統領覚書に署名した。またこの覚書中で、中国で米国を含め外国企業が合弁事業を行う際、現地企業への技術ライセンス供与が求められていることなどについて、世界貿易機関(WTO)に提訴するようUSTRに指示して以降、米・中間の通商交渉が継続している。
 なお、トランプ大統領(夫妻)の国賓としての訪日(5月25日ー28日)を心より歓迎し、有意義な滞在であることを期待する。
 両国間交渉において貿易分野では、2018年12月までに一定の進展があったと見られているが、中国の国営企業の中央管理や実質的補助、中国への企業進出に際する中国企業への技術ライセンス供与などについては中国側が原則の問題として反発し、膠着状態となっている。これに対し米国は、更なる協議の進展を促すため、25%の関税引き上げの対象を漸次広げほぼすべての中国製品にすることを表明し、6月1日出荷分より適用される見通しだ。更に米国は安全保障上の理由から、中国政府の影響が及ぶと見られるフアーウエイなどの電子機器を政府機関が使用しない方針を明らかにした。
これに対し中国側も、‘貿易戦争は希望しない’としつつも、‘攻められれば対抗する’として米国製品への報復関税を拡大する姿勢を示している。
 1、中国は対米貿易収支の大巾黒字を是正すべし
 米国の2018年の貿易赤字は全世界で8787億(約98兆円)と過去最大を更新したが、各国別ではその約48%が対中赤字となっている。中国は近年米国の最大の貿易相手国となっている上、米国の対中国貿易赤字が2000年に日本を抜いて以来、最大の赤字国の状態が継続しているので、米国が膨大な対中貿易赤字を是正したいとすることは当然と言えば当然であろう。
 トランプ大統領は、‘アメリカ・ファースト’を標榜し、国内の労働市場の確保を重視し、各国との通商関係において‘フェアーで相互の利益’の確保を主張している。これが行き過ぎると保護主義的な傾向に陥ることから批判の対象となっているが、‘フェアーで相互の利益’は通商関係だけでなく国家関係一般に通じる原則、基準であり、米国が膨大な貿易赤字の是正を求めるのも当然の姿勢と言えるところであるので、中国側として誠意ある対応が望まれる。
 米・中貿易交渉の動向は、中国ほどではないが対米貿易黒字国であるカナダ、メキシコ、EU、ドイツなどと共に日本への影響が直接、間接に予想されるが、中国が国内において実質的に中央統制経済を維持しつつ、世界の自由市場の利益を享受し続けることは公正でも公平でもなく、長期的に国際経済秩序を歪めることになるので、中国による是正を求める米国の姿勢を支持すべきであろう。
 しかしトランプ大統領も次の諸点は理解すべきであろう。
 1)米国のように成熟した市場経済では、物の貿易に加え、蓄積された膨大な資本を背景としてより多くの利潤が期待出来る海外に投資することが多くなり、貿易収支が赤字でも資本収支が黒字となりこれを補てんするので、貿易収支を切り離して見るのではなく、国際収支全体で考えるべきである。
 2)米国からの海外への資本投資や資本逃避は米国人ビジネスマン自身が行っているので、米国内への再投資を促すことは米国自身の問題である。
 3)米国の中国、アジア等への直接投資は、多くの場合本社機能やハイテク技術を備える生産工程全体で行われる形が多くみられ、いわば根こそぎ投資となり米国内にほとんど何も残らず、米国の企業家自身が米国労働者の雇用機会を奪っていると言える。それらの海外製品が米国にも輸出されると、米国の貿易収支の悪化要因となる一方、米国の投資家に多額の利益がもたらされていることを理解すべきであろう。
トランプ大統領は、米国内での製造活動を増進させたいというのであれば、輸出国を批判するだけではなく、米国自身の問題として企業家の投資態度の改善、転換も図るべきであろう。

 2、早すぎた中国の世界貿易機関(WTO)加入
 1990年代に入り急速に経済成長した中国は、2001年12月、WTOに加入した。当時のおおよその見方は、13億人の巨大市場である中国貿易が自由化され、世界市場が拡大する一方、中国経済自体も国際経済秩序に組み込まれ、市場経済化を加速させるものと期待された。
その期待の一部は達成されたが、WTOへの加入により最も利益を得たのが中国であり、いわば独り勝ちの状況となっている。
 中国は、WTO加入に際し金融の自由化、諸法制の整備などの是正が求められ、若干の改善は見られている。しかし中国は、体制上『社会主義市場経済』を標榜しそれを堅持しているので、先進工業諸国が採用している‘自由主義経済’や‘市場経済’とは異なり、国営基幹産業を含め、基本的に国家統制経済であり、国家の統制や国家補助、国家管理が強い。また実体上、元の為替レートや株価への統制や管理も行われ得る体制となっている。中国は、米国の通商交渉姿勢について、国際会議や記者会見等において、‘米国は保護主義的であり、自由市場を支持する’などとしているが、国内で中央統制経済を維持しつつ、世界では自由市場とは身勝手であり、中国はまだ国際市場における自由を論じる資格はなさそうだ。
 中国は、既に米国に次ぐ世界第2位の経済大国となり、成長率が低下したと言っても年率6~7%の成長を維持し、2019年の世界経済成長率3.2%(OECD予測)の倍以上の成長率が予想されている。しかし中国の経済体制は、2019年3月の全人代でも確認された通り、中国の特色ある『社会主義市場経済』であり、中央統制経済の実態は維持される。中国は、国内で中央統制経済を維持する一方、世界での自由市場を主張している。第2次世界戦争後の世界経済は、米国の経済力を軸とするものであり、70年代後半以降多極化の動きが見られるものの、基本的には米国経済が牽引力となって来た。しかしこのままでは、『社会主義市場経済』を採用している中国が、相対的に高い成長率を維持し続け、世界第1の経済大国となり、世界経済の中心となる可能性が高い。米国を中心とする国際経済秩序に、異質の経済体制を採る中国が加わり、単純化すれば、中国と米国という2つの経済圏による秩序に変容することになろう。
 トランプ政権はその変化を認識し、経済の分野のみならず、‘安全保障と外交政策’上の脅威ともなるとして、短期的な利益を犠牲にして中・長期の国際経済秩序を見据えて中国に対応し始めていると言えよう。
 米国が中国に対し、単に2国間貿易赤字の問題だけではなく、知的財産権保護や技術移転の強制問題、或いは為替管理の問題などを重要視し、中国側に是正を求めているのはそのためであろう。次世代通信5Gのトップを走る中国のファーウエイ社の通信機器の政府関係機関による購入や子会社を含め同社系列企業に電子機器部品の提供を禁止する措置も、米・中通商交渉における‘対中牽制’などという戦術的な対応ではなく、中・長期の影響を考慮しての対応であろう。
 2001年の中国のWTO加盟に際し、経済・金融改革、是正につき10年程度の期限を付すべきであった。国際社会の期待は裏切られた今日、加盟時に求められた是正・改革、諸条件につき、早急に厳密な審査を行うべきであろう。その上で、達成されていないか、不十分なものについては、5年から10年ほどの期限を付し、是正を求めるべきであろう。(2019.5.20.All Rights Reserved.)
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朝鮮半島の核なき平和と繁栄へ、踏み出された歴史的な第一歩!! (その2) -米・朝首脳会談の成果―

2019-06-05 | Weblog
朝鮮半島の核なき平和と繁栄へ、踏み出された歴史的な第一歩!! (その2)
      -米・朝首脳会談の成果―
 6月12日、シンガポールにおいてトランプ米国大統領と金正恩北朝鮮国務委員長が1953年6月の朝鮮戦争停戦後首脳同士で初めて握手し、会談した。そして同日午前9時過ぎから冒頭の写真撮影を含めて50分ほどの首脳だけの会談に次いで、両国の外相など関係要人を含めた拡大会議とワーキング・ランチの後、両国首脳により‘包括的な’共同声明に署名された。
 1、両国首脳の強い決意を包括的に示した共同声明       (その1で掲載)
 2、具体性を欠く‘決意’は決意で終わるのか          (その1で掲載)
 3、米国、北朝鮮両国は相互に事実上の国家承認していた
 トラン統領と金国務委員長との今回の初めての会合は、シンガポールでの会場となったホテルでの握手から始まった。敵対関係にあり、国家承認を行っていない首脳同士の初めての出会いとは思えない光景だった。
 その通りなのだ。トランプ米国大統領は、5月24日付にて金正恩北朝鮮国務委員長宛に予定されている首脳会談を中止する旨の書簡を発出したのに対し、6月1日、ポンペオ米国務長官との協議のため訪米した金英哲(キム・ヨンチョル)北朝鮮労働党副委員長より、ホワイトハウスにおいて金正恩委員長の返書をトランプ大統領に手渡し、トランプ大統領はこれを受けとった。これは米国と北朝鮮の首脳(国家元首)が書簡を交換したということであり、事実上の国家承認の行為となる。相互に国家として承認するとは明示はしていないが、国家元首同士の書簡の交換で、相互に米国合衆国、朝鮮民主人民共和国の国家元首として認め合うということであり、外交上、国家としての‘黙示の承認’とされるものである。事実5月24日付のトランプ大統領書簡の宛先は、‘朝鮮民主人民共和国国務委員会金正恩委員長閣下’となっており、米国合衆国大統領ドナルド・J・トランプよりと正式名称で署名、発出している。金正恩国務委員長よりの返書も同様の正式名称で発出されていたと見られる。トランプ大統領は、記者団の前で書簡が入った大きな封筒を手にしていたが、それはメデイアを通じ金正恩委員長に受け取ったことを見せるためのものだったのであろう。
 今回合意された共同声明も、同様の正式名称、タイトルで行われており、事実上国家承認されていることを物語っている。従って今後の米朝間協議、交渉は、従来のように敵対国間の交渉ではなく、相互に承認した国家間の交渉となるので従来よりも円滑で迅速なものになろう。恐らく水面下では、相互に事務所開設の準備交渉が行われていると思われる。核廃棄のプロセス一つをとっても、詳細な調査、交渉、実施、検証など複雑で長期を要するので相互に活動拠点を置くことが不可欠であろう。
 4、北朝鮮にとっては今回が外交的、平和的解決の最後の機会か
 北朝鮮が、米国のみならず、韓国との非核化、戦勝終結努力などの合意を誠実に実施せず、米・韓両国や国際世論を欺けば、米国は軍事的な措置を含む強硬措置に出ざるを得なくなるであろう。
 金正恩委員長もそのことは十分承知であろう。金委員長は、米国との首脳会談に踏み切るに際し、中国の習近平主席と2度に亘り会談している。恐らく非核化に踏み切った場合の安全の保障と北朝鮮国内での金正恩体制支援と経済制裁の緩和、解除などについて協議したのであろう。中国にとっては、北朝鮮の核保有は朝鮮半島の緊張を高め、米国の迎撃ミサイル(THAAD)の配備を含む軍事力増強となり、朝鮮半島の非核化を希望しているので、北朝鮮が今回の米朝合意を実行しなければ中国の期待にも背く結果となる。そうなれば金正恩体制への支持も得られなくなることは承知しているであろう。
 金正恩委員長は、今回軍部の造反、クーデターの危険を冒しても非核化の道を選択したものと見られる。同委員長としても今後国内の守旧派を抑えつつ事を進めなくてはならないので、紆余曲折はあろうし、時間は掛かると予想されるが、基本的には米国、韓国との合意に沿ってその実施を図るものと期待される。(2018.6.14.)(All Rights Reserved.)
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朝鮮半島の核なき平和と繁栄へ、踏み出された歴史的な第一歩!! (その1)-米・朝首脳会談の成果―

2019-06-05 | Weblog
朝鮮半島の核なき平和と繁栄へ、踏み出された歴史的な第一歩!! (その1)
      -米・朝首脳会談の成果―
 6月12日、シンガポールにおいてトランプ米国大統領と金正恩北朝鮮国務委員長が1953年6月の朝鮮戦争停戦後首脳同士で初めて握手し、会談した。そして同日午前9時過ぎから冒頭の写真撮影を含めて50分ほどの首脳だけの会談に次いで、両国の外相など関係要人を含めた拡大会議とワーキング・ランチの後、両国首脳により‘包括的な’共同声明に署名された。
 1、両国首脳の強い決意を包括的に示した共同声明
 共同声明において、トランプ大統領と金正恩国務委員長は、新たな米朝関係の確立と朝鮮半島における恒久的な平和体制の構築問題について、包括的かつ真摯な意見交換を行い、‘トランプ大統領は北朝鮮に安全保障を約束し、金委員長は朝鮮半島の完全な非核化への確固とした揺らぎのない決意(firm and unwavering commitment)を再確認し’、次の点を宣言した。
 1)米朝両国は、平和と繁栄の願いに従って、新たな米朝関係の確立を決意。
 2)両国は、朝鮮半島の持続的で安定した平和体制(peace regime)の構築に共に努力。
3)2018年4月27日の(南北首脳の)板門店宣言を再確認し、北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化(complete denuclearization)に取り組むことを決意。
 4)両国は、戦争捕虜/行方不明兵士の遺体回収を決意。既に特定された遺体の即時帰還を含む。
トランプ大統領と金委員長は、史上初の米朝首脳会談が新たな未来に道を開いた画期的な出来事だと認識し、この共同声明の条項を完全かつ迅速に履行することを決意した。首脳会談の結果を実行に移すべく、今後はできるだけ早期に、ポンペオ米国務長官と同レベルの北朝鮮当局者が協議を行うことを決意した。
両首脳は、新たな米朝関係の発展、そして朝鮮半島と世界の平和と繁栄、安全保障の促進に向け協力する決意である。
 2、具体性を欠く‘決意’は決意で終わるのか
 トランプ大統領と金委員長は、‘新たな米朝関係の確立’、‘朝鮮半島の持続的で安定した平和体制(peace regime)の構築’、及び今回最も注目された‘朝鮮半島の完全な非核化(complete denuclearization)への取り組み’に決意を表明した。これに対し一部メデイア等には、‘具体性に欠ける’、‘また騙されるのではないか’など懐疑的なコメントが見られる。
 しかしこれらの批評は、1994年以来の北朝鮮との核問題での数次の実務レベルでの交渉、積み上げが何故裏切られて来たのか、失敗の原因は何かを十分理解していないようだ。
 交渉の相手である北朝鮮は、朝鮮戦争が‘停戦’になったものの、米・韓両国との敵対関係は継続しており、それを梃子として軍事優先、先軍主義の独裁体制を維持しており、金日成国家主席、金正日北朝鮮労働党総書記(国防委員長)、この後を受けた金正恩国務委員長も絶対的な権能、発言力を持つ最高指導者である。重要決定は、ほとんどトップ・ダウンの形をとる。独裁国家を相手にする場合、最高指導者と基本合意して置くことが最も早道であり、確実である。
 1990年代のクリントン政権以降、米国等と北朝鮮との核問題での協議、交渉は、国務次官補など実務レベルでの交渉であり、合意であったが、ことごとく覆され、核兵器とミサイル開発のための時間と資金を与える結果となった。
 しかし米国が、北朝鮮と首脳レベルで会談、交渉したことは今までなかったことだ。北朝鮮の絶大な権力を握る首脳の意志や決意を直接確認したのは今回が初めてであり、その意義は従来の‘積み上げ方式(ボトム・アップ)’とは比べ物にならない程大きい。
 批判の一つとして、‘非核化’について‘完全、検証可能で不可逆的な非核化’通称‘CVID’に言及されていないことが指摘されているが、‘CVID’を含めるよう実務レベルで詰めていたら何年掛かっても合意に至っていない可能性がある。今回の共同宣言には、‛金委員長は朝鮮半島の完全な非核化への確固とした揺らぎのない決意’を再確認したとされており、その上で、‛この共同声明の条項を完全かつ迅速に履行することを決意し、首脳会談結果を実行に移すべく、できるだけ早期に、ポンペオ米国務長官と同レベルの北朝鮮当局者が協議を行うことを決意する‘とされている。北朝鮮において金正恩委員長より下部に指示が出され、それに基づいて詳細な協議、交渉が行われることが期待される。今後の米朝交渉においては、両国首脳の今回の合意が出発点であり、最終目標となる。そのプロセスが首脳レベルの決意に沿って開始される意義は大きい。北朝鮮との首脳レベルでの会談、決意の表明は歴史上初めてのことであり、この機会を逃すべきではなかろう。
 北朝鮮の金国務委員長は、トランプ大統領との1対1の会談の冒頭、‘今回、足を引っ張って来た過去と偏見を乗り越えてここに来た’と述べ、また最終段階での共同声明に署名した後、‘ここまで準備してくれたトランプ大統領に感謝する’、‘世界は大きな変化を見ることになるだろう’と述べている。
 
 3、米国、北朝鮮両国は相互に事実上の国家承認していた       (その2に掲載)
 4、北朝鮮にとっては今回が外交的、平和的解決の最後の機会か    (その2に掲載)
(2018.6.14.)(All Rights Reserved.)
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