内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

このブログは、広い視野から内外諸問題を分析し、提言を試みます。
Policy Essayist

大阪市再建かギリシャ的破綻か、問われる市長選挙 (全編) -地方再活性化応援寄稿

2011-11-25 | Weblog
大阪市再建かギリシャ的破綻か、問われる市長選挙 (全編) -地方再活性化応援寄稿
 11月13日、大阪市長選挙が告示され、現職の平松市長と任期を3か月残して大阪府知事を辞職した橋本前知事が立候補した。27日に投票となる。一地方選挙ではあるが、その結果は日本政治に大きな意味を持つことになろう。
 1、大阪市再建かギリシャ的破綻への道かの選択
 大阪市は、かねてより財政悪化に直面しており、改革が進まなければ財政再建団体に転落するのではないかと懸念されている。平松候補は、同市はアジアで最も住みやすい市としているが、大阪市は全国で生活保護受給者が最多の14.4万にも達し、給付総額は2,916億円になる。その多くは国が負担するが、同市負担も153億円にのぼる。人口に対する受給率も5.6%強で、全国平均の1.6%と全国平均の3倍半になる。犯罪率も高い。その一方で、大阪府の浄水場とは別に市の浄水場を持っているなど、府との重複施設、制度があり、無駄が指摘されている。
 これに対し、橋本候補は大阪府としてこれら施設や制度を統合、整理し、経費節減を訴えているが、市側は応じていない。地方公共団体が保有している施設や公有地などは、国有地同様、維持管理費、人件費などが掛かる上、民間に売却・移管すれば不動産税等が入ってくるが税金収入の機会を逸していることになるので、財政が潤沢であれば別だが、財政負担軽減のため極力少なくすることが望ましい。成長期やバブル期に蓄えた公用地や施設等を停滞期に民間に払い下げ、その資金を景気対策等に回すことこそが、財政政策と言えるものであり、増税に先駆けて行うべきことであろう。このままでは4、5年で財政破綻することが懸念されている。生活保護についても、国の負担、従って納税者である一般国民の負担となっており、また大阪市が財政破綻となれば国、国民の負担となるばかりか日本経済に与える影響も大きい。大阪市民がこのような広い視点に立って新市長を選択されることが望まれる。
 この点は大阪市だけの問題ではなく、国はもとより、各地方公共団体が総点検すべきことであろう。
 2、地方自治の促進か既成制度の維持か
 平松候補は、下からの積み上げ(ボトムアップ)による従来型の行政手法を主張しており、民主、自民両党と共産党が支援している。他方橋本候補は、大阪都構想を掲げ、大阪府全体としての再建と地方自治の促進を掲げ、その中での市政の簡素化、改善を主張している。その実現のため強いリーダーシップ(トップダウン)を主張し、自らが率いる大阪維新の会が支援している。大阪都構想については精査を要するが、いずれが市長となるかは知事選にも影響すると共に、地方行政のみならず国政に大きな影響を与えることになろう。
 下からの積み上げ自体は、方針を実施に移す際などに必要なことはあるが、稟議制と言われ、決定の遅さや政策の硬直性などが指摘されて来た。また各行政組織内での「積み上げ」方式が民意を受けて選ばれた首長の基本方針や政策上の優先度を阻む結果となる可能性がある。審議会や委員会等があるが、それらは各行政組織が選んだ委員により行政組織の考え方を反映するためのものであることが多い。他方、「独裁者が必要」との橋本候補の発言は、リーダーシップの強さを強調した発言と見られるが、基本的な方針、ヴィジョンや政策上の優先度を明確に示し、その結果に対し責任を取ることがリーダーシップなのであり、それを選ぶのは有権者ということになる。従って、本来であれば民意を受けて新市長や新政権が誕生した際には、諸審議会や委員会は一旦解散し、必要に応じ新たな体制で行うか、或いは新首長や新政権の下で諮問機関や政策グループなどを発足させることが望ましい。人と人、組織と組織の間の選挙であるので、何らかのしこりが残ることは仕方が無いが、敗者側も負けは負けとして敗因を分析、調整し、次の選挙で出直すしかない。スポーツ界でもそうである。どのような選手でも常に勝つとは限らない。それがゲームのルールだ。
 また平松候補は与野党の2大政党他に支持されており、基本的には中央と地方の関係を含め、既成の制度に立脚しているのに対し、橋本候補は非既成政党の大阪維新の会を背景として地方行政の細部に亘る中央の関与、規制を簡素化し、地方自治の拡大する目標としている。既成制度を変更しようとするのであるから強力なリーダーシップとそれを支える民意か支持層を必要とするのは無理からぬところである。どちらを選ぶかは大阪市民の選択となろうが、橋本候補が選択されれば行政手法や中央と地方の関係、地方自治のあり方に変化が出て来よう。特に大阪知事も維新の会の候補が当選すれば地方自治の拡大に大きな動きが出ることになろう。橋本候補はいわば大阪のプーチンとなる。
 大阪は東京に次ぐ日本の大都市であり経済圏であるので、同市の市長選は知事選と相俟って日本全体にも大きな影響を与えよう。日本の将来にとって強く活気に満ちた地方を作ることが強く望まれるところであり、それにより日本の社会経済の厚みと総合力を高めて行けば、日本はまだまだ発展・成長の余地があるし、恐らくそれが各地方の願いであろう。そのためには大阪を含め地方が、中央依存から卒業して地方自治を拡大し、自らの努力で発展出来るようにして行くことが望まれる。それは結果への責任も地方が取るということに他ならないが、それが発展、成長の原動力になろう。
 大阪市と大阪府の市民が賢明な選択をされることを願っている。(2011.11.11.) (All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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大阪市再建かギリシャ的破綻か、問われる市長選挙 (全編) -地方再活性化応援寄稿

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大阪市再建かギリシャ的破綻か、問われる市長選挙 (全編) -地方再活性化応援寄稿
 11月13日、大阪市長選挙が告示され、現職の平松市長と任期を3か月残して大阪府知事を辞職した橋本前知事が立候補した。27日に投票となる。一地方選挙ではあるが、その結果は日本政治に大きな意味を持つことになろう。
 1、大阪市再建かギリシャ的破綻への道かの選択
 大阪市は、かねてより財政悪化に直面しており、改革が進まなければ財政再建団体に転落するのではないかと懸念されている。平松候補は、同市はアジアで最も住みやすい市としているが、大阪市は全国で生活保護受給者が最多の14.4万にも達し、給付総額は2,916億円になる。その多くは国が負担するが、同市負担も153億円にのぼる。人口に対する受給率も5.6%強で、全国平均の1.6%と全国平均の3倍半になる。犯罪率も高い。その一方で、大阪府の浄水場とは別に市の浄水場を持っているなど、府との重複施設、制度があり、無駄が指摘されている。
 これに対し、橋本候補は大阪府としてこれら施設や制度を統合、整理し、経費節減を訴えているが、市側は応じていない。地方公共団体が保有している施設や公有地などは、国有地同様、維持管理費、人件費などが掛かる上、民間に売却・移管すれば不動産税等が入ってくるが税金収入の機会を逸していることになるので、財政が潤沢であれば別だが、財政負担軽減のため極力少なくすることが望ましい。成長期やバブル期に蓄えた公用地や施設等を停滞期に民間に払い下げ、その資金を景気対策等に回すことこそが、財政政策と言えるものであり、増税に先駆けて行うべきことであろう。このままでは4、5年で財政破綻することが懸念されている。生活保護についても、国の負担、従って納税者である一般国民の負担となっており、また大阪市が財政破綻となれば国、国民の負担となるばかりか日本経済に与える影響も大きい。大阪市民がこのような広い視点に立って新市長を選択されることが望まれる。
 この点は大阪市だけの問題ではなく、国はもとより、各地方公共団体が総点検すべきことであろう。
 2、地方自治の促進か既成制度の維持か
 平松候補は、下からの積み上げ(ボトムアップ)による従来型の行政手法を主張しており、民主、自民両党と共産党が支援している。他方橋本候補は、大阪都構想を掲げ、大阪府全体としての再建と地方自治の促進を掲げ、その中での市政の簡素化、改善を主張している。その実現のため強いリーダーシップ(トップダウン)を主張し、自らが率いる大阪維新の会が支援している。大阪都構想については精査を要するが、いずれが市長となるかは知事選にも影響すると共に、地方行政のみならず国政に大きな影響を与えることになろう。
 下からの積み上げ自体は、方針を実施に移す際などに必要なことはあるが、稟議制と言われ、決定の遅さや政策の硬直性などが指摘されて来た。また各行政組織内での「積み上げ」方式が民意を受けて選ばれた首長の基本方針や政策上の優先度を阻む結果となる可能性がある。審議会や委員会等があるが、それらは各行政組織が選んだ委員により行政組織の考え方を反映するためのものであることが多い。他方、「独裁者が必要」との橋本候補の発言は、リーダーシップの強さを強調した発言と見られるが、基本的な方針、ヴィジョンや政策上の優先度を明確に示し、その結果に対し責任を取ることがリーダーシップなのであり、それを選ぶのは有権者ということになる。従って、本来であれば民意を受けて新市長や新政権が誕生した際には、諸審議会や委員会は一旦解散し、必要に応じ新たな体制で行うか、或いは新首長や新政権の下で諮問機関や政策グループなどを発足させることが望ましい。人と人、組織と組織の間の選挙であるので、何らかのしこりが残ることは仕方が無いが、敗者側も負けは負けとして敗因を分析、調整し、次の選挙で出直すしかない。スポーツ界でもそうである。どのような選手でも常に勝つとは限らない。それがゲームのルールだ。
 また平松候補は与野党の2大政党他に支持されており、基本的には中央と地方の関係を含め、既成の制度に立脚しているのに対し、橋本候補は非既成政党の大阪維新の会を背景として地方行政の細部に亘る中央の関与、規制を簡素化し、地方自治の拡大する目標としている。既成制度を変更しようとするのであるから強力なリーダーシップとそれを支える民意か支持層を必要とするのは無理からぬところである。どちらを選ぶかは大阪市民の選択となろうが、橋本候補が選択されれば行政手法や中央と地方の関係、地方自治のあり方に変化が出て来よう。特に大阪知事も維新の会の候補が当選すれば地方自治の拡大に大きな動きが出ることになろう。橋本候補はいわば大阪のプーチンとなる。
 大阪は東京に次ぐ日本の大都市であり経済圏であるので、同市の市長選は知事選と相俟って日本全体にも大きな影響を与えよう。日本の将来にとって強く活気に満ちた地方を作ることが強く望まれるところであり、それにより日本の社会経済の厚みと総合力を高めて行けば、日本はまだまだ発展・成長の余地があるし、恐らくそれが各地方の願いであろう。そのためには大阪を含め地方が、中央依存から卒業して地方自治を拡大し、自らの努力で発展出来るようにして行くことが望まれる。それは結果への責任も地方が取るということに他ならないが、それが発展、成長の原動力になろう。
 大阪市と大阪府の市民が賢明な選択をされることを願っている。(2011.11.11.) (All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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 11月13日、大阪市長選挙が告示され、現職の平松市長と任期を3か月残して大阪府知事を辞職した橋本前知事が立候補した。27日に投票となる。一地方選挙ではあるが、その結果は日本政治に大きな意味を持つことになろう。
 1、大阪市再建かギリシャ的破綻への道かの選択
 大阪市は、かねてより財政悪化に直面しており、改革が進まなければ財政再建団体に転落するのではないかと懸念されている。平松候補は、同市はアジアで最も住みやすい市としているが、大阪市は全国で生活保護受給者が最多の14.4万にも達し、給付総額は2,916億円になる。その多くは国が負担するが、同市負担も153億円にのぼる。人口に対する受給率も5.6%強で、全国平均の1.6%と全国平均の3倍半になる。犯罪率も高い。その一方で、大阪府の浄水場とは別に市の浄水場を持っているなど、府との重複施設、制度があり、無駄が指摘されている。
 これに対し、橋本候補は大阪府としてこれら施設や制度を統合、整理し、経費節減を訴えているが、市側は応じていない。地方公共団体が保有している施設や公有地などは、国有地同様、維持管理費、人件費などが掛かる上、民間に売却・移管すれば不動産税等が入ってくるが税金収入の機会を逸していることになるので、財政が潤沢であれば別だが、財政負担軽減のため極力少なくすることが望ましい。成長期やバブル期に蓄えた公用地や施設等を停滞期に民間に払い下げ、その資金を景気対策等に回すことこそが、財政政策と言えるものであり、増税に先駆けて行うべきことであろう。このままでは4、5年で財政破綻することが懸念されている。生活保護についても、国の負担、従って納税者である一般国民の負担となっており、また大阪市が財政破綻となれば国、国民の負担となるばかりか日本経済に与える影響も大きい。大阪市民がこのような広い視点に立って新市長を選択されることが望まれる。
 この点は大阪市だけの問題ではなく、国はもとより、各地方公共団体が総点検すべきことであろう。
 2、地方自治の促進か既成制度の維持か
 平松候補は、下からの積み上げ(ボトムアップ)による従来型の行政手法を主張しており、民主、自民両党と共産党が支援している。他方橋本候補は、大阪都構想を掲げ、大阪府全体としての再建と地方自治の促進を掲げ、その中での市政の簡素化、改善を主張している。その実現のため強いリーダーシップ(トップダウン)を主張し、自らが率いる大阪維新の会が支援している。大阪都構想については精査を要するが、いずれが市長となるかは知事選にも影響すると共に、地方行政のみならず国政に大きな影響を与えることになろう。
 下からの積み上げ自体は、方針を実施に移す際などに必要なことはあるが、稟議制と言われ、決定の遅さや政策の硬直性などが指摘されて来た。また各行政組織内での「積み上げ」方式が民意を受けて選ばれた首長の基本方針や政策上の優先度を阻む結果となる可能性がある。審議会や委員会等があるが、それらは各行政組織が選んだ委員により行政組織の考え方を反映するためのものであることが多い。他方、「独裁者が必要」との橋本候補の発言は、リーダーシップの強さを強調した発言と見られるが、基本的な方針、ヴィジョンや政策上の優先度を明確に示し、その結果に対し責任を取ることがリーダーシップなのであり、それを選ぶのは有権者ということになる。従って、本来であれば民意を受けて新市長や新政権が誕生した際には、諸審議会や委員会は一旦解散し、必要に応じ新たな体制で行うか、或いは新首長や新政権の下で諮問機関や政策グループなどを発足させることが望ましい。人と人、組織と組織の間の選挙であるので、何らかのしこりが残ることは仕方が無いが、敗者側も負けは負けとして敗因を分析、調整し、次の選挙で出直すしかない。スポーツ界でもそうである。どのような選手でも常に勝つとは限らない。それがゲームのルールだ。
 また平松候補は与野党の2大政党他に支持されており、基本的には中央と地方の関係を含め、既成の制度に立脚しているのに対し、橋本候補は非既成政党の大阪維新の会を背景として地方行政の細部に亘る中央の関与、規制を簡素化し、地方自治の拡大する目標としている。既成制度を変更しようとするのであるから強力なリーダーシップとそれを支える民意か支持層を必要とするのは無理からぬところである。どちらを選ぶかは大阪市民の選択となろうが、橋本候補が選択されれば行政手法や中央と地方の関係、地方自治のあり方に変化が出て来よう。特に大阪知事も維新の会の候補が当選すれば地方自治の拡大に大きな動きが出ることになろう。橋本候補はいわば大阪のプーチンとなる。
 大阪は東京に次ぐ日本の大都市であり経済圏であるので、同市の市長選は知事選と相俟って日本全体にも大きな影響を与えよう。日本の将来にとって強く活気に満ちた地方を作ることが強く望まれるところであり、それにより日本の社会経済の厚みと総合力を高めて行けば、日本はまだまだ発展・成長の余地があるし、恐らくそれが各地方の願いであろう。そのためには大阪を含め地方が、中央依存から卒業して地方自治を拡大し、自らの努力で発展出来るようにして行くことが望まれる。それは結果への責任も地方が取るということに他ならないが、それが発展、成長の原動力になろう。
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 11月13日、大阪市長選挙が告示され、現職の平松市長と任期を3か月残して大阪府知事を辞職した橋本前知事が立候補した。27日に投票となる。一地方選挙ではあるが、その結果は日本政治に大きな意味を持つことになろう。
 1、大阪市再建かギリシャ的破綻への道かの選択
 大阪市は、かねてより財政悪化に直面しており、改革が進まなければ財政再建団体に転落するのではないかと懸念されている。平松候補は、同市はアジアで最も住みやすい市としているが、大阪市は全国で生活保護受給者が最多の14.4万にも達し、給付総額は2,916億円になる。その多くは国が負担するが、同市負担も153億円にのぼる。人口に対する受給率も5.6%強で、全国平均の1.6%と全国平均の3倍半になる。犯罪率も高い。その一方で、大阪府の浄水場とは別に市の浄水場を持っているなど、府との重複施設、制度があり、無駄が指摘されている。
 これに対し、橋本候補は大阪府としてこれら施設や制度を統合、整理し、経費節減を訴えているが、市側は応じていない。地方公共団体が保有している施設や公有地などは、国有地同様、維持管理費、人件費などが掛かる上、民間に売却・移管すれば不動産税等が入ってくるが税金収入の機会を逸していることになるので、財政が潤沢であれば別だが、財政負担軽減のため極力少なくすることが望ましい。成長期やバブル期に蓄えた公用地や施設等を停滞期に民間に払い下げ、その資金を景気対策等に回すことこそが、財政政策と言えるものであり、増税に先駆けて行うべきことであろう。このままでは4、5年で財政破綻することが懸念されている。生活保護についても、国の負担、従って納税者である一般国民の負担となっており、また大阪市が財政破綻となれば国、国民の負担となるばかりか日本経済に与える影響も大きい。大阪市民がこのような広い視点に立って新市長を選択されることが望まれる。
 この点は大阪市だけの問題ではなく、国はもとより、各地方公共団体が総点検すべきことであろう。
 2、地方自治の促進か既成制度の維持か
 平松候補は、下からの積み上げ(ボトムアップ)による従来型の行政手法を主張しており、民主、自民両党と共産党が支援している。他方橋本候補は、大阪都構想を掲げ、大阪府全体としての再建と地方自治の促進を掲げ、その中での市政の簡素化、改善を主張している。その実現のため強いリーダーシップ(トップダウン)を主張し、自らが率いる大阪維新の会が支援している。大阪都構想については精査を要するが、いずれが市長となるかは知事選にも影響すると共に、地方行政のみならず国政に大きな影響を与えることになろう。
 下からの積み上げ自体は、方針を実施に移す際などに必要なことはあるが、稟議制と言われ、決定の遅さや政策の硬直性などが指摘されて来た。また各行政組織内での「積み上げ」方式が民意を受けて選ばれた首長の基本方針や政策上の優先度を阻む結果となる可能性がある。審議会や委員会等があるが、それらは各行政組織が選んだ委員により行政組織の考え方を反映するためのものであることが多い。他方、「独裁者が必要」との橋本候補の発言は、リーダーシップの強さを強調した発言と見られるが、基本的な方針、ヴィジョンや政策上の優先度を明確に示し、その結果に対し責任を取ることがリーダーシップなのであり、それを選ぶのは有権者ということになる。従って、本来であれば民意を受けて新市長や新政権が誕生した際には、諸審議会や委員会は一旦解散し、必要に応じ新たな体制で行うか、或いは新首長や新政権の下で諮問機関や政策グループなどを発足させることが望ましい。人と人、組織と組織の間の選挙であるので、何らかのしこりが残ることは仕方が無いが、敗者側も負けは負けとして敗因を分析、調整し、次の選挙で出直すしかない。スポーツ界でもそうである。どのような選手でも常に勝つとは限らない。それがゲームのルールだ。
 また平松候補は与野党の2大政党他に支持されており、基本的には中央と地方の関係を含め、既成の制度に立脚しているのに対し、橋本候補は非既成政党の大阪維新の会を背景として地方行政の細部に亘る中央の関与、規制を簡素化し、地方自治の拡大する目標としている。既成制度を変更しようとするのであるから強力なリーダーシップとそれを支える民意か支持層を必要とするのは無理からぬところである。どちらを選ぶかは大阪市民の選択となろうが、橋本候補が選択されれば行政手法や中央と地方の関係、地方自治のあり方に変化が出て来よう。特に大阪知事も維新の会の候補が当選すれば地方自治の拡大に大きな動きが出ることになろう。橋本候補はいわば大阪のプーチンとなる。
 大阪は東京に次ぐ日本の大都市であり経済圏であるので、同市の市長選は知事選と相俟って日本全体にも大きな影響を与えよう。日本の将来にとって強く活気に満ちた地方を作ることが強く望まれるところであり、それにより日本の社会経済の厚みと総合力を高めて行けば、日本はまだまだ発展・成長の余地があるし、恐らくそれが各地方の願いであろう。そのためには大阪を含め地方が、中央依存から卒業して地方自治を拡大し、自らの努力で発展出来るようにして行くことが望まれる。それは結果への責任も地方が取るということに他ならないが、それが発展、成長の原動力になろう。
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 11月13日、大阪市長選挙が告示され、現職の平松市長と任期を3か月残して大阪府知事を辞職した橋本前知事が立候補した。27日に投票となる。一地方選挙ではあるが、その結果は日本政治に大きな意味を持つことになろう。
 1、大阪市再建かギリシャ的破綻への道かの選択
 大阪市は、かねてより財政悪化に直面しており、改革が進まなければ財政再建団体に転落するのではないかと懸念されている。平松候補は、同市はアジアで最も住みやすい市としているが、大阪市は全国で生活保護受給者が最多の14.4万にも達し、給付総額は2,916億円になる。その多くは国が負担するが、同市負担も153億円にのぼる。人口に対する受給率も5.6%強で、全国平均の1.6%と全国平均の3倍半になる。犯罪率も高い。その一方で、大阪府の浄水場とは別に市の浄水場を持っているなど、府との重複施設、制度があり、無駄が指摘されている。
 これに対し、橋本候補は大阪府としてこれら施設や制度を統合、整理し、経費節減を訴えているが、市側は応じていない。地方公共団体が保有している施設や公有地などは、国有地同様、維持管理費、人件費などが掛かる上、民間に売却・移管すれば不動産税等が入ってくるが税金収入の機会を逸していることになるので、財政が潤沢であれば別だが、財政負担軽減のため極力少なくすることが望ましい。成長期やバブル期に蓄えた公用地や施設等を停滞期に民間に払い下げ、その資金を景気対策等に回すことこそが、財政政策と言えるものであり、増税に先駆けて行うべきことであろう。このままでは4、5年で財政破綻することが懸念されている。生活保護についても、国の負担、従って納税者である一般国民の負担となっており、また大阪市が財政破綻となれば国、国民の負担となるばかりか日本経済に与える影響も大きい。大阪市民がこのような広い視点に立って新市長を選択されることが望まれる。
 この点は大阪市だけの問題ではなく、国はもとより、各地方公共団体が総点検すべきことであろう。
 2、地方自治の促進か既成制度の維持か
 平松候補は、下からの積み上げ(ボトムアップ)による従来型の行政手法を主張しており、民主、自民両党と共産党が支援している。他方橋本候補は、大阪都構想を掲げ、大阪府全体としての再建と地方自治の促進を掲げ、その中での市政の簡素化、改善を主張している。その実現のため強いリーダーシップ(トップダウン)を主張し、自らが率いる大阪維新の会が支援している。大阪都構想については精査を要するが、いずれが市長となるかは知事選にも影響すると共に、地方行政のみならず国政に大きな影響を与えることになろう。
 下からの積み上げ自体は、方針を実施に移す際などに必要なことはあるが、稟議制と言われ、決定の遅さや政策の硬直性などが指摘されて来た。また各行政組織内での「積み上げ」方式が民意を受けて選ばれた首長の基本方針や政策上の優先度を阻む結果となる可能性がある。審議会や委員会等があるが、それらは各行政組織が選んだ委員により行政組織の考え方を反映するためのものであることが多い。他方、「独裁者が必要」との橋本候補の発言は、リーダーシップの強さを強調した発言と見られるが、基本的な方針、ヴィジョンや政策上の優先度を明確に示し、その結果に対し責任を取ることがリーダーシップなのであり、それを選ぶのは有権者ということになる。従って、本来であれば民意を受けて新市長や新政権が誕生した際には、諸審議会や委員会は一旦解散し、必要に応じ新たな体制で行うか、或いは新首長や新政権の下で諮問機関や政策グループなどを発足させることが望ましい。人と人、組織と組織の間の選挙であるので、何らかのしこりが残ることは仕方が無いが、敗者側も負けは負けとして敗因を分析、調整し、次の選挙で出直すしかない。スポーツ界でもそうである。どのような選手でも常に勝つとは限らない。それがゲームのルールだ。
 また平松候補は与野党の2大政党他に支持されており、基本的には中央と地方の関係を含め、既成の制度に立脚しているのに対し、橋本候補は非既成政党の大阪維新の会を背景として地方行政の細部に亘る中央の関与、規制を簡素化し、地方自治の拡大する目標としている。既成制度を変更しようとするのであるから強力なリーダーシップとそれを支える民意か支持層を必要とするのは無理からぬところである。どちらを選ぶかは大阪市民の選択となろうが、橋本候補が選択されれば行政手法や中央と地方の関係、地方自治のあり方に変化が出て来よう。特に大阪知事も維新の会の候補が当選すれば地方自治の拡大に大きな動きが出ることになろう。橋本候補はいわば大阪のプーチンとなる。
 大阪は東京に次ぐ日本の大都市であり経済圏であるので、同市の市長選は知事選と相俟って日本全体にも大きな影響を与えよう。日本の将来にとって強く活気に満ちた地方を作ることが強く望まれるところであり、それにより日本の社会経済の厚みと総合力を高めて行けば、日本はまだまだ発展・成長の余地があるし、恐らくそれが各地方の願いであろう。そのためには大阪を含め地方が、中央依存から卒業して地方自治を拡大し、自らの努力で発展出来るようにして行くことが望まれる。それは結果への責任も地方が取るということに他ならないが、それが発展、成長の原動力になろう。
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 11月13日、大阪市長選挙が告示され、現職の平松市長と任期を3か月残して大阪府知事を辞職した橋本前知事が立候補した。27日に投票となる。一地方選挙ではあるが、その結果は日本政治に大きな意味を持つことになろう。
 1、大阪市再建かギリシャ的破綻への道かの選択
 大阪市は、かねてより財政悪化に直面しており、改革が進まなければ財政再建団体に転落するのではないかと懸念されている。平松候補は、同市はアジアで最も住みやすい市としているが、大阪市は全国で生活保護受給者が最多の14.4万にも達し、給付総額は2,916億円になる。その多くは国が負担するが、同市負担も153億円にのぼる。人口に対する受給率も5.6%強で、全国平均の1.6%と全国平均の3倍半になる。犯罪率も高い。その一方で、大阪府の浄水場とは別に市の浄水場を持っているなど、府との重複施設、制度があり、無駄が指摘されている。
 これに対し、橋本候補は大阪府としてこれら施設や制度を統合、整理し、経費節減を訴えているが、市側は応じていない。地方公共団体が保有している施設や公有地などは、国有地同様、維持管理費、人件費などが掛かる上、民間に売却・移管すれば不動産税等が入ってくるが税金収入の機会を逸していることになるので、財政が潤沢であれば別だが、財政負担軽減のため極力少なくすることが望ましい。成長期やバブル期に蓄えた公用地や施設等を停滞期に民間に払い下げ、その資金を景気対策等に回すことこそが、財政政策と言えるものであり、増税に先駆けて行うべきことであろう。このままでは4、5年で財政破綻することが懸念されている。生活保護についても、国の負担、従って納税者である一般国民の負担となっており、また大阪市が財政破綻となれば国、国民の負担となるばかりか日本経済に与える影響も大きい。大阪市民がこのような広い視点に立って新市長を選択されることが望まれる。
 この点は大阪市だけの問題ではなく、国はもとより、各地方公共団体が総点検すべきことであろう。
 2、地方自治の促進か既成制度の維持か
 平松候補は、下からの積み上げ(ボトムアップ)による従来型の行政手法を主張しており、民主、自民両党と共産党が支援している。他方橋本候補は、大阪都構想を掲げ、大阪府全体としての再建と地方自治の促進を掲げ、その中での市政の簡素化、改善を主張している。その実現のため強いリーダーシップ(トップダウン)を主張し、自らが率いる大阪維新の会が支援している。大阪都構想については精査を要するが、いずれが市長となるかは知事選にも影響すると共に、地方行政のみならず国政に大きな影響を与えることになろう。
 下からの積み上げ自体は、方針を実施に移す際などに必要なことはあるが、稟議制と言われ、決定の遅さや政策の硬直性などが指摘されて来た。また各行政組織内での「積み上げ」方式が民意を受けて選ばれた首長の基本方針や政策上の優先度を阻む結果となる可能性がある。審議会や委員会等があるが、それらは各行政組織が選んだ委員により行政組織の考え方を反映するためのものであることが多い。他方、「独裁者が必要」との橋本候補の発言は、リーダーシップの強さを強調した発言と見られるが、基本的な方針、ヴィジョンや政策上の優先度を明確に示し、その結果に対し責任を取ることがリーダーシップなのであり、それを選ぶのは有権者ということになる。従って、本来であれば民意を受けて新市長や新政権が誕生した際には、諸審議会や委員会は一旦解散し、必要に応じ新たな体制で行うか、或いは新首長や新政権の下で諮問機関や政策グループなどを発足させることが望ましい。人と人、組織と組織の間の選挙であるので、何らかのしこりが残ることは仕方が無いが、敗者側も負けは負けとして敗因を分析、調整し、次の選挙で出直すしかない。スポーツ界でもそうである。どのような選手でも常に勝つとは限らない。それがゲームのルールだ。
 また平松候補は与野党の2大政党他に支持されており、基本的には中央と地方の関係を含め、既成の制度に立脚しているのに対し、橋本候補は非既成政党の大阪維新の会を背景として地方行政の細部に亘る中央の関与、規制を簡素化し、地方自治の拡大する目標としている。既成制度を変更しようとするのであるから強力なリーダーシップとそれを支える民意か支持層を必要とするのは無理からぬところである。どちらを選ぶかは大阪市民の選択となろうが、橋本候補が選択されれば行政手法や中央と地方の関係、地方自治のあり方に変化が出て来よう。特に大阪知事も維新の会の候補が当選すれば地方自治の拡大に大きな動きが出ることになろう。橋本候補はいわば大阪のプーチンとなる。
 大阪は東京に次ぐ日本の大都市であり経済圏であるので、同市の市長選は知事選と相俟って日本全体にも大きな影響を与えよう。日本の将来にとって強く活気に満ちた地方を作ることが強く望まれるところであり、それにより日本の社会経済の厚みと総合力を高めて行けば、日本はまだまだ発展・成長の余地があるし、恐らくそれが各地方の願いであろう。そのためには大阪を含め地方が、中央依存から卒業して地方自治を拡大し、自らの努力で発展出来るようにして行くことが望まれる。それは結果への責任も地方が取るということに他ならないが、それが発展、成長の原動力になろう。
 大阪市と大阪府の市民が賢明な選択をされることを願っている。(2011.11.11.) (All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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大阪市再建かギリシャ的破綻か、問われる市長選挙 (全編) -地方再活性化応援寄稿

2011-11-25 | Weblog
大阪市再建かギリシャ的破綻か、問われる市長選挙 (全編) -地方再活性化応援寄稿
 11月13日、大阪市長選挙が告示され、現職の平松市長と任期を3か月残して大阪府知事を辞職した橋本前知事が立候補した。27日に投票となる。一地方選挙ではあるが、その結果は日本政治に大きな意味を持つことになろう。
 1、大阪市再建かギリシャ的破綻への道かの選択
 大阪市は、かねてより財政悪化に直面しており、改革が進まなければ財政再建団体に転落するのではないかと懸念されている。平松候補は、同市はアジアで最も住みやすい市としているが、大阪市は全国で生活保護受給者が最多の14.4万にも達し、給付総額は2,916億円になる。その多くは国が負担するが、同市負担も153億円にのぼる。人口に対する受給率も5.6%強で、全国平均の1.6%と全国平均の3倍半になる。犯罪率も高い。その一方で、大阪府の浄水場とは別に市の浄水場を持っているなど、府との重複施設、制度があり、無駄が指摘されている。
 これに対し、橋本候補は大阪府としてこれら施設や制度を統合、整理し、経費節減を訴えているが、市側は応じていない。地方公共団体が保有している施設や公有地などは、国有地同様、維持管理費、人件費などが掛かる上、民間に売却・移管すれば不動産税等が入ってくるが税金収入の機会を逸していることになるので、財政が潤沢であれば別だが、財政負担軽減のため極力少なくすることが望ましい。成長期やバブル期に蓄えた公用地や施設等を停滞期に民間に払い下げ、その資金を景気対策等に回すことこそが、財政政策と言えるものであり、増税に先駆けて行うべきことであろう。このままでは4、5年で財政破綻することが懸念されている。生活保護についても、国の負担、従って納税者である一般国民の負担となっており、また大阪市が財政破綻となれば国、国民の負担となるばかりか日本経済に与える影響も大きい。大阪市民がこのような広い視点に立って新市長を選択されることが望まれる。
 この点は大阪市だけの問題ではなく、国はもとより、各地方公共団体が総点検すべきことであろう。
 2、地方自治の促進か既成制度の維持か
 平松候補は、下からの積み上げ(ボトムアップ)による従来型の行政手法を主張しており、民主、自民両党と共産党が支援している。他方橋本候補は、大阪都構想を掲げ、大阪府全体としての再建と地方自治の促進を掲げ、その中での市政の簡素化、改善を主張している。その実現のため強いリーダーシップ(トップダウン)を主張し、自らが率いる大阪維新の会が支援している。大阪都構想については精査を要するが、いずれが市長となるかは知事選にも影響すると共に、地方行政のみならず国政に大きな影響を与えることになろう。
 下からの積み上げ自体は、方針を実施に移す際などに必要なことはあるが、稟議制と言われ、決定の遅さや政策の硬直性などが指摘されて来た。また各行政組織内での「積み上げ」方式が民意を受けて選ばれた首長の基本方針や政策上の優先度を阻む結果となる可能性がある。審議会や委員会等があるが、それらは各行政組織が選んだ委員により行政組織の考え方を反映するためのものであることが多い。他方、「独裁者が必要」との橋本候補の発言は、リーダーシップの強さを強調した発言と見られるが、基本的な方針、ヴィジョンや政策上の優先度を明確に示し、その結果に対し責任を取ることがリーダーシップなのであり、それを選ぶのは有権者ということになる。従って、本来であれば民意を受けて新市長や新政権が誕生した際には、諸審議会や委員会は一旦解散し、必要に応じ新たな体制で行うか、或いは新首長や新政権の下で諮問機関や政策グループなどを発足させることが望ましい。人と人、組織と組織の間の選挙であるので、何らかのしこりが残ることは仕方が無いが、敗者側も負けは負けとして敗因を分析、調整し、次の選挙で出直すしかない。スポーツ界でもそうである。どのような選手でも常に勝つとは限らない。それがゲームのルールだ。
 また平松候補は与野党の2大政党他に支持されており、基本的には中央と地方の関係を含め、既成の制度に立脚しているのに対し、橋本候補は非既成政党の大阪維新の会を背景として地方行政の細部に亘る中央の関与、規制を簡素化し、地方自治の拡大する目標としている。既成制度を変更しようとするのであるから強力なリーダーシップとそれを支える民意か支持層を必要とするのは無理からぬところである。どちらを選ぶかは大阪市民の選択となろうが、橋本候補が選択されれば行政手法や中央と地方の関係、地方自治のあり方に変化が出て来よう。特に大阪知事も維新の会の候補が当選すれば地方自治の拡大に大きな動きが出ることになろう。橋本候補はいわば大阪のプーチンとなる。
 大阪は東京に次ぐ日本の大都市であり経済圏であるので、同市の市長選は知事選と相俟って日本全体にも大きな影響を与えよう。日本の将来にとって強く活気に満ちた地方を作ることが強く望まれるところであり、それにより日本の社会経済の厚みと総合力を高めて行けば、日本はまだまだ発展・成長の余地があるし、恐らくそれが各地方の願いであろう。そのためには大阪を含め地方が、中央依存から卒業して地方自治を拡大し、自らの努力で発展出来るようにして行くことが望まれる。それは結果への責任も地方が取るということに他ならないが、それが発展、成長の原動力になろう。
 大阪市と大阪府の市民が賢明な選択をされることを願っている。(2011.11.11.) (All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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大阪市再建かギリシャ的破綻か、問われる市長選挙 (全編) -地方再活性化応援寄稿

2011-11-25 | Weblog
大阪市再建かギリシャ的破綻か、問われる市長選挙 (全編) -地方再活性化応援寄稿
 11月13日、大阪市長選挙が告示され、現職の平松市長と任期を3か月残して大阪府知事を辞職した橋本前知事が立候補した。27日に投票となる。一地方選挙ではあるが、その結果は日本政治に大きな意味を持つことになろう。
 1、大阪市再建かギリシャ的破綻への道かの選択
 大阪市は、かねてより財政悪化に直面しており、改革が進まなければ財政再建団体に転落するのではないかと懸念されている。平松候補は、同市はアジアで最も住みやすい市としているが、大阪市は全国で生活保護受給者が最多の14.4万にも達し、給付総額は2,916億円になる。その多くは国が負担するが、同市負担も153億円にのぼる。人口に対する受給率も5.6%強で、全国平均の1.6%と全国平均の3倍半になる。犯罪率も高い。その一方で、大阪府の浄水場とは別に市の浄水場を持っているなど、府との重複施設、制度があり、無駄が指摘されている。
 これに対し、橋本候補は大阪府としてこれら施設や制度を統合、整理し、経費節減を訴えているが、市側は応じていない。地方公共団体が保有している施設や公有地などは、国有地同様、維持管理費、人件費などが掛かる上、民間に売却・移管すれば不動産税等が入ってくるが税金収入の機会を逸していることになるので、財政が潤沢であれば別だが、財政負担軽減のため極力少なくすることが望ましい。成長期やバブル期に蓄えた公用地や施設等を停滞期に民間に払い下げ、その資金を景気対策等に回すことこそが、財政政策と言えるものであり、増税に先駆けて行うべきことであろう。このままでは4、5年で財政破綻することが懸念されている。生活保護についても、国の負担、従って納税者である一般国民の負担となっており、また大阪市が財政破綻となれば国、国民の負担となるばかりか日本経済に与える影響も大きい。大阪市民がこのような広い視点に立って新市長を選択されることが望まれる。
 この点は大阪市だけの問題ではなく、国はもとより、各地方公共団体が総点検すべきことであろう。
 2、地方自治の促進か既成制度の維持か
 平松候補は、下からの積み上げ(ボトムアップ)による従来型の行政手法を主張しており、民主、自民両党と共産党が支援している。他方橋本候補は、大阪都構想を掲げ、大阪府全体としての再建と地方自治の促進を掲げ、その中での市政の簡素化、改善を主張している。その実現のため強いリーダーシップ(トップダウン)を主張し、自らが率いる大阪維新の会が支援している。大阪都構想については精査を要するが、いずれが市長となるかは知事選にも影響すると共に、地方行政のみならず国政に大きな影響を与えることになろう。
 下からの積み上げ自体は、方針を実施に移す際などに必要なことはあるが、稟議制と言われ、決定の遅さや政策の硬直性などが指摘されて来た。また各行政組織内での「積み上げ」方式が民意を受けて選ばれた首長の基本方針や政策上の優先度を阻む結果となる可能性がある。審議会や委員会等があるが、それらは各行政組織が選んだ委員により行政組織の考え方を反映するためのものであることが多い。他方、「独裁者が必要」との橋本候補の発言は、リーダーシップの強さを強調した発言と見られるが、基本的な方針、ヴィジョンや政策上の優先度を明確に示し、その結果に対し責任を取ることがリーダーシップなのであり、それを選ぶのは有権者ということになる。従って、本来であれば民意を受けて新市長や新政権が誕生した際には、諸審議会や委員会は一旦解散し、必要に応じ新たな体制で行うか、或いは新首長や新政権の下で諮問機関や政策グループなどを発足させることが望ましい。人と人、組織と組織の間の選挙であるので、何らかのしこりが残ることは仕方が無いが、敗者側も負けは負けとして敗因を分析、調整し、次の選挙で出直すしかない。スポーツ界でもそうである。どのような選手でも常に勝つとは限らない。それがゲームのルールだ。
 また平松候補は与野党の2大政党他に支持されており、基本的には中央と地方の関係を含め、既成の制度に立脚しているのに対し、橋本候補は非既成政党の大阪維新の会を背景として地方行政の細部に亘る中央の関与、規制を簡素化し、地方自治の拡大する目標としている。既成制度を変更しようとするのであるから強力なリーダーシップとそれを支える民意か支持層を必要とするのは無理からぬところである。どちらを選ぶかは大阪市民の選択となろうが、橋本候補が選択されれば行政手法や中央と地方の関係、地方自治のあり方に変化が出て来よう。特に大阪知事も維新の会の候補が当選すれば地方自治の拡大に大きな動きが出ることになろう。橋本候補はいわば大阪のプーチンとなる。
 大阪は東京に次ぐ日本の大都市であり経済圏であるので、同市の市長選は知事選と相俟って日本全体にも大きな影響を与えよう。日本の将来にとって強く活気に満ちた地方を作ることが強く望まれるところであり、それにより日本の社会経済の厚みと総合力を高めて行けば、日本はまだまだ発展・成長の余地があるし、恐らくそれが各地方の願いであろう。そのためには大阪を含め地方が、中央依存から卒業して地方自治を拡大し、自らの努力で発展出来るようにして行くことが望まれる。それは結果への責任も地方が取るということに他ならないが、それが発展、成長の原動力になろう。
 大阪市と大阪府の市民が賢明な選択をされることを願っている。(2011.11.11.) (All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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2011-11-25 | Weblog
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 11月13日、大阪市長選挙が告示され、現職の平松市長と任期を3か月残して大阪府知事を辞職した橋本前知事が立候補した。27日に投票となる。一地方選挙ではあるが、その結果は日本政治に大きな意味を持つことになろう。
 1、大阪市再建かギリシャ的破綻への道かの選択
 大阪市は、かねてより財政悪化に直面しており、改革が進まなければ財政再建団体に転落するのではないかと懸念されている。平松候補は、同市はアジアで最も住みやすい市としているが、大阪市は全国で生活保護受給者が最多の14.4万にも達し、給付総額は2,916億円になる。その多くは国が負担するが、同市負担も153億円にのぼる。人口に対する受給率も5.6%強で、全国平均の1.6%と全国平均の3倍半になる。犯罪率も高い。その一方で、大阪府の浄水場とは別に市の浄水場を持っているなど、府との重複施設、制度があり、無駄が指摘されている。
 これに対し、橋本候補は大阪府としてこれら施設や制度を統合、整理し、経費節減を訴えているが、市側は応じていない。地方公共団体が保有している施設や公有地などは、国有地同様、維持管理費、人件費などが掛かる上、民間に売却・移管すれば不動産税等が入ってくるが税金収入の機会を逸していることになるので、財政が潤沢であれば別だが、財政負担軽減のため極力少なくすることが望ましい。成長期やバブル期に蓄えた公用地や施設等を停滞期に民間に払い下げ、その資金を景気対策等に回すことこそが、財政政策と言えるものであり、増税に先駆けて行うべきことであろう。このままでは4、5年で財政破綻することが懸念されている。生活保護についても、国の負担、従って納税者である一般国民の負担となっており、また大阪市が財政破綻となれば国、国民の負担となるばかりか日本経済に与える影響も大きい。大阪市民がこのような広い視点に立って新市長を選択されることが望まれる。
 この点は大阪市だけの問題ではなく、国はもとより、各地方公共団体が総点検すべきことであろう。
 2、地方自治の促進か既成制度の維持か
 平松候補は、下からの積み上げ(ボトムアップ)による従来型の行政手法を主張しており、民主、自民両党と共産党が支援している。他方橋本候補は、大阪都構想を掲げ、大阪府全体としての再建と地方自治の促進を掲げ、その中での市政の簡素化、改善を主張している。その実現のため強いリーダーシップ(トップダウン)を主張し、自らが率いる大阪維新の会が支援している。大阪都構想については精査を要するが、いずれが市長となるかは知事選にも影響すると共に、地方行政のみならず国政に大きな影響を与えることになろう。
 下からの積み上げ自体は、方針を実施に移す際などに必要なことはあるが、稟議制と言われ、決定の遅さや政策の硬直性などが指摘されて来た。また各行政組織内での「積み上げ」方式が民意を受けて選ばれた首長の基本方針や政策上の優先度を阻む結果となる可能性がある。審議会や委員会等があるが、それらは各行政組織が選んだ委員により行政組織の考え方を反映するためのものであることが多い。他方、「独裁者が必要」との橋本候補の発言は、リーダーシップの強さを強調した発言と見られるが、基本的な方針、ヴィジョンや政策上の優先度を明確に示し、その結果に対し責任を取ることがリーダーシップなのであり、それを選ぶのは有権者ということになる。従って、本来であれば民意を受けて新市長や新政権が誕生した際には、諸審議会や委員会は一旦解散し、必要に応じ新たな体制で行うか、或いは新首長や新政権の下で諮問機関や政策グループなどを発足させることが望ましい。人と人、組織と組織の間の選挙であるので、何らかのしこりが残ることは仕方が無いが、敗者側も負けは負けとして敗因を分析、調整し、次の選挙で出直すしかない。スポーツ界でもそうである。どのような選手でも常に勝つとは限らない。それがゲームのルールだ。
 また平松候補は与野党の2大政党他に支持されており、基本的には中央と地方の関係を含め、既成の制度に立脚しているのに対し、橋本候補は非既成政党の大阪維新の会を背景として地方行政の細部に亘る中央の関与、規制を簡素化し、地方自治の拡大する目標としている。既成制度を変更しようとするのであるから強力なリーダーシップとそれを支える民意か支持層を必要とするのは無理からぬところである。どちらを選ぶかは大阪市民の選択となろうが、橋本候補が選択されれば行政手法や中央と地方の関係、地方自治のあり方に変化が出て来よう。特に大阪知事も維新の会の候補が当選すれば地方自治の拡大に大きな動きが出ることになろう。橋本候補はいわば大阪のプーチンとなる。
 大阪は東京に次ぐ日本の大都市であり経済圏であるので、同市の市長選は知事選と相俟って日本全体にも大きな影響を与えよう。日本の将来にとって強く活気に満ちた地方を作ることが強く望まれるところであり、それにより日本の社会経済の厚みと総合力を高めて行けば、日本はまだまだ発展・成長の余地があるし、恐らくそれが各地方の願いであろう。そのためには大阪を含め地方が、中央依存から卒業して地方自治を拡大し、自らの努力で発展出来るようにして行くことが望まれる。それは結果への責任も地方が取るということに他ならないが、それが発展、成長の原動力になろう。
 大阪市と大阪府の市民が賢明な選択をされることを願っている。(2011.11.11.) (All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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ギリシャの財政・金融破綻に学べ!―復旧・復興応援寄稿ー (その4)

2011-11-25 | Weblog
ギリシャの財政・金融破綻に学べ!―復旧・復興応援寄稿ー (その4)
 1、欧州連合ユーロ・グループによる当面の危機回避 (その1に掲載)
 2、ギリシャは対岸の大火             (その2に掲載)
 3、予算の節減、組み換えか増税か         (その3に掲載)
 4、国会は与野党対決の場か協議・調整の場か
 抜本的な行・財政の簡素化には、予算案と共に関連法案の国会での審議、採択が不可欠である。参議院で与党が過半数を制していないいわゆる衆・参ねじれ状態にあるので、与野党が国会で対立していては国政は円滑に進まない。復旧・復興や当面の円高対策、その財源を捻出するための財政の節減・簡素化など、速やかな対策実施が必要な時に、国会が与野党対立の場となっていては被災者や救済を必要としている人々が置き去りにされる恐れがある。
 他方復興庁のあり方については、野党自民党は関係省庁をより強く纏められるよう権限の強化を求めているのに対し、与党民主党も弾力的に協議に応じる姿勢を示すなど、国会の場での協議、調整に前向きな姿勢を示している。従来も表面上与野党対立を演出しつつ、背後で若干の取引が行われていたが、予算案などは修正に応じられたことが無い。国会には、各種の与野党間協議の場や衆・参両院の協議会など与野党間、衆・参両院間の意見の相違を調整、協議する場がある。意見の相違は相違として、国家、国民の利益のために意見調整することが出来ないのであろうか。
 EUの今回の対応は不十分との評もあるが、ユーロ・グループ17か国が、EU金融危機を回避すべく、それぞれ主権国家として国家利益を背負って首脳が連日連夜利害を調整し、ギリシャ救済策を纏め上げた粘り強い努力は賞賛に値する。国会での与野党協議による調整は、同じ日本国民の利益のためであり、その意志さえあれば可能であろう。国会が与野党の対立、対決の場から、与野党間、衆・参両院間の意見の調整の場にすることが望まれる。
 日本の国会が今日のような対立の場となったのは、野党が政府・与党提案に常に反対し、反対党と言われ、健全な国民政党に成長出来ず、自民党の半世紀以上に亘る長期政権を許したことにもよる。政府予算案が戦後、印字による印刷で作成、提案され、それを修正するためには印字を組み替えて印刷し直すために膨大な人手と時間を要することから、当時の大蔵省が一字なりとも修正させないとの技術的な理由も手伝ったが、今日では技術的には短時間で加筆、修正、組み換えが可能である。野党議員も与党議員と等しく国民により選ばれ、国民の一部の利益、関心を代弁するものであるので、主要野党の意見をすべて排除することは適当では無く、主要与野党がより多くの国民の利益を増進するよう、国会での協議、調整機能を高めて行くことが望まれる。
 国民の4割以上は無党派であり、主要政党のいずれが政権に就くかは第一義的な関心ではない。国家、国民の利益のために具体的に何をしてくれるかであり、その国民の関心や利益を調整できるのは、国民から信託されている国会でしかない。行政組織は設置法で権限が相互に明確に保護されていることもあり、そのような国家、国民の利益を調整する役割はなかなか出来ない。それは国会であり、国会で指名された政権が担っているのであろう。
 同時に衆議院の解散権は首相にある一方、野党も不信任等で解散を迫ることは出来るが、与野党議員とも4年間の任期で国民より国政を信託されている。任期中にみだりに解散をすることは国民の投票、信託を軽視する結果となるので、原則として4年間の任期になるべく近い形で、少なくても3年以上は議員が活動出来るように慣習を構築して行くことが、安定的な民主主義政治を構築して行く上で望ましい。(2011.11.11.) (All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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ギリシャの財政・金融破綻に学べ!―復旧・復興応援寄稿ー (その4)

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ギリシャの財政・金融破綻に学べ!―復旧・復興応援寄稿ー (その4)
 1、欧州連合ユーロ・グループによる当面の危機回避 (その1に掲載)
 2、ギリシャは対岸の大火             (その2に掲載)
 3、予算の節減、組み換えか増税か         (その3に掲載)
 4、国会は与野党対決の場か協議・調整の場か
 抜本的な行・財政の簡素化には、予算案と共に関連法案の国会での審議、採択が不可欠である。参議院で与党が過半数を制していないいわゆる衆・参ねじれ状態にあるので、与野党が国会で対立していては国政は円滑に進まない。復旧・復興や当面の円高対策、その財源を捻出するための財政の節減・簡素化など、速やかな対策実施が必要な時に、国会が与野党対立の場となっていては被災者や救済を必要としている人々が置き去りにされる恐れがある。
 他方復興庁のあり方については、野党自民党は関係省庁をより強く纏められるよう権限の強化を求めているのに対し、与党民主党も弾力的に協議に応じる姿勢を示すなど、国会の場での協議、調整に前向きな姿勢を示している。従来も表面上与野党対立を演出しつつ、背後で若干の取引が行われていたが、予算案などは修正に応じられたことが無い。国会には、各種の与野党間協議の場や衆・参両院の協議会など与野党間、衆・参両院間の意見の相違を調整、協議する場がある。意見の相違は相違として、国家、国民の利益のために意見調整することが出来ないのであろうか。
 EUの今回の対応は不十分との評もあるが、ユーロ・グループ17か国が、EU金融危機を回避すべく、それぞれ主権国家として国家利益を背負って首脳が連日連夜利害を調整し、ギリシャ救済策を纏め上げた粘り強い努力は賞賛に値する。国会での与野党協議による調整は、同じ日本国民の利益のためであり、その意志さえあれば可能であろう。国会が与野党の対立、対決の場から、与野党間、衆・参両院間の意見の調整の場にすることが望まれる。
 日本の国会が今日のような対立の場となったのは、野党が政府・与党提案に常に反対し、反対党と言われ、健全な国民政党に成長出来ず、自民党の半世紀以上に亘る長期政権を許したことにもよる。政府予算案が戦後、印字による印刷で作成、提案され、それを修正するためには印字を組み替えて印刷し直すために膨大な人手と時間を要することから、当時の大蔵省が一字なりとも修正させないとの技術的な理由も手伝ったが、今日では技術的には短時間で加筆、修正、組み換えが可能である。野党議員も与党議員と等しく国民により選ばれ、国民の一部の利益、関心を代弁するものであるので、主要野党の意見をすべて排除することは適当では無く、主要与野党がより多くの国民の利益を増進するよう、国会での協議、調整機能を高めて行くことが望まれる。
 国民の4割以上は無党派であり、主要政党のいずれが政権に就くかは第一義的な関心ではない。国家、国民の利益のために具体的に何をしてくれるかであり、その国民の関心や利益を調整できるのは、国民から信託されている国会でしかない。行政組織は設置法で権限が相互に明確に保護されていることもあり、そのような国家、国民の利益を調整する役割はなかなか出来ない。それは国会であり、国会で指名された政権が担っているのであろう。
 同時に衆議院の解散権は首相にある一方、野党も不信任等で解散を迫ることは出来るが、与野党議員とも4年間の任期で国民より国政を信託されている。任期中にみだりに解散をすることは国民の投票、信託を軽視する結果となるので、原則として4年間の任期になるべく近い形で、少なくても3年以上は議員が活動出来るように慣習を構築して行くことが、安定的な民主主義政治を構築して行く上で望ましい。(2011.11.11.) (All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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ギリシャの財政・金融破綻に学べ!―復旧・復興応援寄稿ー (その4)

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ギリシャの財政・金融破綻に学べ!―復旧・復興応援寄稿ー (その4)
 1、欧州連合ユーロ・グループによる当面の危機回避 (その1に掲載)
 2、ギリシャは対岸の大火             (その2に掲載)
 3、予算の節減、組み換えか増税か         (その3に掲載)
 4、国会は与野党対決の場か協議・調整の場か
 抜本的な行・財政の簡素化には、予算案と共に関連法案の国会での審議、採択が不可欠である。参議院で与党が過半数を制していないいわゆる衆・参ねじれ状態にあるので、与野党が国会で対立していては国政は円滑に進まない。復旧・復興や当面の円高対策、その財源を捻出するための財政の節減・簡素化など、速やかな対策実施が必要な時に、国会が与野党対立の場となっていては被災者や救済を必要としている人々が置き去りにされる恐れがある。
 他方復興庁のあり方については、野党自民党は関係省庁をより強く纏められるよう権限の強化を求めているのに対し、与党民主党も弾力的に協議に応じる姿勢を示すなど、国会の場での協議、調整に前向きな姿勢を示している。従来も表面上与野党対立を演出しつつ、背後で若干の取引が行われていたが、予算案などは修正に応じられたことが無い。国会には、各種の与野党間協議の場や衆・参両院の協議会など与野党間、衆・参両院間の意見の相違を調整、協議する場がある。意見の相違は相違として、国家、国民の利益のために意見調整することが出来ないのであろうか。
 EUの今回の対応は不十分との評もあるが、ユーロ・グループ17か国が、EU金融危機を回避すべく、それぞれ主権国家として国家利益を背負って首脳が連日連夜利害を調整し、ギリシャ救済策を纏め上げた粘り強い努力は賞賛に値する。国会での与野党協議による調整は、同じ日本国民の利益のためであり、その意志さえあれば可能であろう。国会が与野党の対立、対決の場から、与野党間、衆・参両院間の意見の調整の場にすることが望まれる。
 日本の国会が今日のような対立の場となったのは、野党が政府・与党提案に常に反対し、反対党と言われ、健全な国民政党に成長出来ず、自民党の半世紀以上に亘る長期政権を許したことにもよる。政府予算案が戦後、印字による印刷で作成、提案され、それを修正するためには印字を組み替えて印刷し直すために膨大な人手と時間を要することから、当時の大蔵省が一字なりとも修正させないとの技術的な理由も手伝ったが、今日では技術的には短時間で加筆、修正、組み換えが可能である。野党議員も与党議員と等しく国民により選ばれ、国民の一部の利益、関心を代弁するものであるので、主要野党の意見をすべて排除することは適当では無く、主要与野党がより多くの国民の利益を増進するよう、国会での協議、調整機能を高めて行くことが望まれる。
 国民の4割以上は無党派であり、主要政党のいずれが政権に就くかは第一義的な関心ではない。国家、国民の利益のために具体的に何をしてくれるかであり、その国民の関心や利益を調整できるのは、国民から信託されている国会でしかない。行政組織は設置法で権限が相互に明確に保護されていることもあり、そのような国家、国民の利益を調整する役割はなかなか出来ない。それは国会であり、国会で指名された政権が担っているのであろう。
 同時に衆議院の解散権は首相にある一方、野党も不信任等で解散を迫ることは出来るが、与野党議員とも4年間の任期で国民より国政を信託されている。任期中にみだりに解散をすることは国民の投票、信託を軽視する結果となるので、原則として4年間の任期になるべく近い形で、少なくても3年以上は議員が活動出来るように慣習を構築して行くことが、安定的な民主主義政治を構築して行く上で望ましい。(2011.11.11.) (All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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ギリシャの財政・金融破綻に学べ!―復旧・復興応援寄稿ー (その3)

2011-11-25 | Weblog
ギリシャの財政・金融破綻に学べ!―復旧・復興応援寄稿ー (その3)
 1、欧州連合ユーロ・グループによる当面の危機回避 (その1に掲載)
 2、ギリシャは対岸の大火 (その2に掲載)
 3、予算の節減、組み換えか増税か
 財政健全化を行うには、歳出の節減や無駄の排除と優先度に基づく予算の組み換えか、増税による増収によることになる。
野田首相は、G20 首脳会議の全体会合で、日本の経済・財政状況に言及し、「2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げる方針」を表明した。これを一部紙が、“国際公約”として報じている。G20 首脳会議は、各国が取るべき具体的な措置を約束する場ではない上、租税は各国の主権に委ねられている国内事項であり、野田政権としての方針を説明したとしても“国際公約”などになりようがない。しかし同時に関係法案を今年度中に提出する意向を表明したことは、同政権として消費税増税に大きく傾斜したことを意味する。
 同首相は、今臨時国会での施政方針演説において、増税の一方で予算の節減をとことん行う旨表明しているので、消費税増税までに歳出の節減や無駄の排除がとことん行われると期待して良いのであろう。他方、これが十分に行われないまま復興税や消費税増税が次々と出されれば、ギリシャのように旧来の放漫財政が引き継がれ、それが増税により更に歳出が膨らむ恐れがある。ギリシャの財政・金融破綻に学ぶべきであろう。現状であれば、日本の将来ビジョンを描きながら、日本の政・官・民の努力で財政健全化と合わせて経済の再建の道を選択出来る。歳出の節減や無駄の排除と優先度に基づく予算の組み換えにより、局部的な痛みはあろうが、今回のギリシャのように管理デフォルトに陥り、国際金融社会の監視の下での緊縮財政となれば財政、金融全般に亘る抑制が義務付けられるので、日常生活全般に亘り悲惨な緊縮を強いられることになろう。
 ここはギリシャの破綻に学び、政・官・民が英知と力を結集してまず抜本的な財政の簡素化に道筋をつけることが強く望まれる。
(2011.11.11.) (All Rights Reserved.)(不許無断引用
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ギリシャの財政・金融破綻に学べ!―復旧・復興応援寄稿ー (その3)

2011-11-25 | Weblog
ギリシャの財政・金融破綻に学べ!―復旧・復興応援寄稿ー (その3)
 1、欧州連合ユーロ・グループによる当面の危機回避 (その1に掲載)
 2、ギリシャは対岸の大火 (その2に掲載)
 3、予算の節減、組み換えか増税か
 財政健全化を行うには、歳出の節減や無駄の排除と優先度に基づく予算の組み換えか、増税による増収によることになる。
野田首相は、G20 首脳会議の全体会合で、日本の経済・財政状況に言及し、「2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げる方針」を表明した。これを一部紙が、“国際公約”として報じている。G20 首脳会議は、各国が取るべき具体的な措置を約束する場ではない上、租税は各国の主権に委ねられている国内事項であり、野田政権としての方針を説明したとしても“国際公約”などになりようがない。しかし同時に関係法案を今年度中に提出する意向を表明したことは、同政権として消費税増税に大きく傾斜したことを意味する。
 同首相は、今臨時国会での施政方針演説において、増税の一方で予算の節減をとことん行う旨表明しているので、消費税増税までに歳出の節減や無駄の排除がとことん行われると期待して良いのであろう。他方、これが十分に行われないまま復興税や消費税増税が次々と出されれば、ギリシャのように旧来の放漫財政が引き継がれ、それが増税により更に歳出が膨らむ恐れがある。ギリシャの財政・金融破綻に学ぶべきであろう。現状であれば、日本の将来ビジョンを描きながら、日本の政・官・民の努力で財政健全化と合わせて経済の再建の道を選択出来る。歳出の節減や無駄の排除と優先度に基づく予算の組み換えにより、局部的な痛みはあろうが、今回のギリシャのように管理デフォルトに陥り、国際金融社会の監視の下での緊縮財政となれば財政、金融全般に亘る抑制が義務付けられるので、日常生活全般に亘り悲惨な緊縮を強いられることになろう。
 ここはギリシャの破綻に学び、政・官・民が英知と力を結集してまず抜本的な財政の簡素化に道筋をつけることが強く望まれる。
(2011.11.11.) (All Rights Reserved.)(不許無断引用
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ギリシャの財政・金融破綻に学べ!―復旧・復興応援寄稿ー (その3)

2011-11-25 | Weblog
ギリシャの財政・金融破綻に学べ!―復旧・復興応援寄稿ー (その3)
 1、欧州連合ユーロ・グループによる当面の危機回避 (その1に掲載)
 2、ギリシャは対岸の大火 (その2に掲載)
 3、予算の節減、組み換えか増税か
 財政健全化を行うには、歳出の節減や無駄の排除と優先度に基づく予算の組み換えか、増税による増収によることになる。
野田首相は、G20 首脳会議の全体会合で、日本の経済・財政状況に言及し、「2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げる方針」を表明した。これを一部紙が、“国際公約”として報じている。G20 首脳会議は、各国が取るべき具体的な措置を約束する場ではない上、租税は各国の主権に委ねられている国内事項であり、野田政権としての方針を説明したとしても“国際公約”などになりようがない。しかし同時に関係法案を今年度中に提出する意向を表明したことは、同政権として消費税増税に大きく傾斜したことを意味する。
 同首相は、今臨時国会での施政方針演説において、増税の一方で予算の節減をとことん行う旨表明しているので、消費税増税までに歳出の節減や無駄の排除がとことん行われると期待して良いのであろう。他方、これが十分に行われないまま復興税や消費税増税が次々と出されれば、ギリシャのように旧来の放漫財政が引き継がれ、それが増税により更に歳出が膨らむ恐れがある。ギリシャの財政・金融破綻に学ぶべきであろう。現状であれば、日本の将来ビジョンを描きながら、日本の政・官・民の努力で財政健全化と合わせて経済の再建の道を選択出来る。歳出の節減や無駄の排除と優先度に基づく予算の組み換えにより、局部的な痛みはあろうが、今回のギリシャのように管理デフォルトに陥り、国際金融社会の監視の下での緊縮財政となれば財政、金融全般に亘る抑制が義務付けられるので、日常生活全般に亘り悲惨な緊縮を強いられることになろう。
 ここはギリシャの破綻に学び、政・官・民が英知と力を結集してまず抜本的な財政の簡素化に道筋をつけることが強く望まれる。
(2011.11.11.) (All Rights Reserved.)(不許無断引用
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