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ファイト一発!税理士イワサの社長応援ブログ

税理士の岩佐孝彦が社長に“元気”と“勇気”をお届けするブログです。

「TRY AGAIN」する際の判断基準とは?  ~ サンクコストに要注意!

2013年01月30日 | 日記

経営者がお金の落とし穴にはまらないようにするために
知っておくべきなのは、

▼サンク・コスト(Sunk Cost=埋没費用)


これは、すでにコストを費やしてしまったが、回収が不可能に
なった資金のことをいう。

つまり、投資に失敗して取り返せないお金である。


有名なのは、超音速旅客機コンコルドの開発事例。

コンコルドとは鳥のくちばしのような尖端を持つ旅客機で、
英仏で共同開発され、最高速度マッハ2.0、パリとニュー
ヨーク間がわずか3時間45分のふれこみであった。

しかし、開発途中で不都合なことが判明。



航空ビジネスが旅客の大量輸送へとシフトしつつある外部環境
の中で、販売見込みに疑問が呈されただけでなく、開発費用が
当初見込みを大幅に超過する見通しが明らかに。

そして、今すぐ開発を中止して違約金を支払う方が続行した場合
よりも損失額がずっと軽微で済むという結論になった。


しかし…

こうした否定的な結論を「否定」し、計画は続行。

その後莫大な資金が投入され、1969年に機体完成。

最終的に当初の5倍にも開発費用が膨れ上がり、計画を中止
しなかったがゆえに巨額の赤字を生み出した。



これはあくまで一例だが、現代においても日常茶飯事にある
ことだ。

ギャンブルで負けを取り返そうとして一か八かの賭けに出る…

また、投資家が損をリカバリーしようと、また新たな株を買い
続ける…

すでに使ってしまったお金を正当化しようとして、
さらにお金をつぎ込むわけだ。



ビジネスをしていくうえで怖いのは、

▼追加投資すれば、その資金は必ず回収できると錯覚すること

これを【サンクコストの錯覚】という。


理屈では「生きガネと死にガネを見極め、このような錯覚に
陥らないようにすべし」といくらでも言える。

しかし、これも「言うは易し、行うは難し」。


つき込んだお金が百発百中生きガネにできれば、誰も苦労しない。

もし回収不能になったら、マインド的には、

「良い授業料になった。

 これは失敗ではない。学びだ!」

とプラス思考に捉えればよいだろう。


しかし、経営者は単なる気休めの精神論ではなく、何事も
合理的に判断すべきだ。


経営者としてキャッシュを投入する際に留意すべきなのは、

▼使ったお金が経費で落ちる(損金計上できる)かどうか

というモノサシである。

キャッシュアウトしているにもかかわらず、経理処理上、
損金計上をすぐできるとは限らない。

例えば、

▼銀行借入の元本返済

▼新事務所移転時の保証金

▼30万円以上の設備投資

といったものはそもそも損金計上できなかったり、できたとしても、
減価償却という形で経費計上が長期にわたるので、注意が必要だ。


裏を返せば、損金計上できる支出であれば、リカバリーは
可能である。


何故なら、

▼会社の赤字は9期繰越OK

であるからだ。

例えば、今期投入した資金が回収不能になり、1000万円の
赤字に陥り、翌期に500万円の黒字に立て直すことができ
たとしても、法人税や事業税は翌期もゼロでOK。

何故なら、今期の赤字1000万円は翌期以降9年繰り越せる
からだ。

通常黒字決算であれば、利益の約38%の法人税や事業税の
キャッシュアウトがあるが、過去の赤字があれば、その税負担
は防げる。

私は財務戦略上、過去の赤字は会社の“強み”と考えている。



「広告宣伝費」なら通常損金計上できるため、

仮説と検証を繰り返す中で、社内にマーケティングノウハウの
蓄積につなげることはいくらでも可能である。

ビジネスのいろんな場面で、

「TRY AGAIN」

をする際の判断基準に【損金計上できるか否か】を置くべし。


キャッシュアウトしているにもかかわらず、経費にならないと
社長の頭を混乱させる元凶になりやすい。

今日も社長業を楽しみましょう。


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