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大阪市は今年度の新人事評価制度の試行実施を断念!完全な撤回まで取り組みを強めよう!

2019-08-04 18:11:32 | 全国学力テスト
(1)松井市長は、8月1日の定例記者会見で、吉村前市長が主導した学力テスト結果を校長評価・給与に反映させる新人事評価制度について、今年度の試行実施を断念することを表明しました。これは、12.22集会の成功、政策立案過程の情報開示と市教委交渉、大阪市会教育子ども委員会での「新人事評価制度の見直しを求める」陳情書採択、チャレンジテストへの批判活動、大阪市役所ヒューマンチェーンやさまざまな立場からの批判の声の高まりによる大きな成果です。何よりも、3月中に試行案を作成させず、4月からの試行実施を遅らせてきたことが決定的でした。まずは、運動の成果として喜びたいと思います。
 同時に、松井市長は、今年度中に新人事評価制度案を修正し、来年度から試行実施に入ることも表明しました。松井市長は諦めていません。私たちは、完全に新人事評価制度を撤回するまで運動を継続したいと思います。

(2)会見で松井市長は、1月29日の総合教育会議で提案された新人事評価制度案を修正するとしました。会見での松井市長の発言から修正案の問題点を明らかにしたいと思います。

①松井市長は、1月総合教育会議で提案された新人事評価制度と同じ物にならないとしつつも、評価基準に学力向上を設定していく制度の根幹部分は、吉村前市長の考えを踏襲していくとしました。テスト結果を人事評価に活用する方針に変わりないことを明らかにしたもので、私たちは強く抗議したいと思います。

②松井市長は、「各校長の責任を重視することは大事なことだが、教育委員会本体にいるブロック責任者が一番結果を作っていかなければならない」として、校長だけでなく市教委のブロック責任者もテスト結果による評価の対象者にするとしました。そして4つに分けるブロックは「特別区のエリアで設定するのがわかりやすい」と、大阪都構想を見据えていることもあかしました。
 実は、テスト結果でブロック責任者も評価する案は、昨年9月14日の総合教育会議で大森特別顧問が提案していたものでした。しかし、その後の教育委員会議では、もっぱら教員・校長の人事評価評価制度について議論がなされ、ブロック責任者の議論はほとんど行われていませんでした。
 吉村市長はブロック化を「バーチャル教育委員会が4つあるようなもの」と述べ、ブロックごとに予算と権限を与えようとしています。ブロック責任者をテスト結果での評価対象にすることは、ブロックごとに学力競争をあおり、ブロック責任者は校長に、校長は教員へとテスト結果向上圧力を強めていくことを狙っています。これは大森特別顧問が考えていた構想そのものです。
 松井市長は、制度設計を1年遅らせる代わりに、大森特別顧問の提案を復活させたのです。今後は、事実上吉村前市長と大森特別顧問の作成した新制度案(1月総合教育会議で提案されたもの)を修正する過程で、大森特別顧問がどのような影響力を行使してくるのか注視する必要があります。

③松井市長は、「校長評価を単年度の点数だけで評価していくのは難しい」と指摘し、複数年で学力の「伸び」を評価する方向を打ち出しました。複数年であってもテスト結果を校長評価・給与に反映させることに変わりなく、私たちは認めることはできません。

(3)私たちは、今年度の試行実施断念を新制度そのものの撤回に向けた運動につなげていきたいと思います。そのためにも、人事評価制度修正に向けた動きの開示請求と市教委の追及、吉村・大森メールの公文書隠匿問題点や吉村・大森の不当な教育介入の暴露、チャレンジテスト廃止に向けた取り組み、現在の大阪でのテスト至上主義に対する教員、保護者、生徒の声を集める取り組み、大阪で進んでいる教育破壊の現状を明らかにする取り組みなどを進めていきたいと思います。