教科書問題を考える市民ネットワーク・ひろしまの事務局~からのお知らせです。
呉教科書裁判NEWS 第10号(2018年3月1日)
発 行:教科書ネット・呉
ゆうちょ口座:01380-9-104750 加入者名:教科書ネット・呉
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■相変わらずの裁判長
2月27日(火)13:30から第9回口頭弁論が開かれ14:00には閉廷した。相変わらず裁判長は、「独り言を勝手にしゃべって、さっさと閉廷して、逃げるように姿を消し」たため、次回の内容はいつで、内容は何なのか正確に把握できず、後で書記官に会って確かめるという一幕もあった。
■原告は上申書を陳述
(1)裁判長は原告の採択過程の不正の主張を無視し、被告の主張である最高裁判決(1日校長事件)判例のみを本件に当てはめようとしていること。
(2)原告が申請した教科書検定、採択の実態に通じている高嶋証人、また法学の権威であり教育委員会のあり方について専門的な見識を持った浪本証人の証人申請を却下し、その理由を求めても明らかにしなかったこと。
(3)口頭弁論調書へ裁判長、原告、被告の発言要旨を記録する要望にたいしても「しません。やりません。」と押し切ったこと。
(4)原告の被告への釈明要求に対し、被告が「争点でない」として説明しない部分があり、再度、原告が釈明要求を求めても裁判長は「必要ない」としたことなど、強権的な訴訟指揮の改善を求めた。また、本件裁判は教科書採択の手順や過程の実態を明らかにすることが重要な課題であり、公平・公正な訴訟指揮を求めた。しかし、これに何も答えることなく、また改める様子も見られなかった。
■証人申請について意見を陳述
前回(2月6日)、小山元指導主事を証人尋問して、採択規程14条を使って任期の切れた調査・研究委員、選定委員を委嘱したことについて「知らない」。また、「採択に影響あり」ということは想定もしてなく、3月1日の選定委員会を教育委員が傍聴して3月3日の臨時会のやり取りを予習していたことについても「記憶にない」など、呉教育委員会全体として「採択結果に影響なし」という隠ぺい工作をしていたのではないかという疑惑が深まった。それを追及するために、実務の指揮を執った高橋課長補佐(当時)を申請。また、「2人で評価案を協議した」
(小山証言)とされる、もう一人の選定委員である藤原社会科部会部会長(当時)を申請した。しかし、裁判長は「必要ない、意見が重複する」として却下した。
■被告は「呉市長の指揮監督上の義務違反はない」と・・・
被告は、これまでの教科書採択は支出負担行為ではないから却下せよ(第1準備書面)、さらに最高裁一日校長事件の判令を出して「先行行為(採択行為)に著しい瑕疵がないのだから、後行行為(支出負担行為)に違法性はない」(第4準備書面)という主張だったが、2月21日に提出された第5準備書面では支出負担行為に言及して「呉市教委の支出負担行為について呉市長の指揮監督上の義務違反はない」という主張。具体的には、「呉市長の予算執行の権限の補助執行」として、「教育部長及び学校教育課長が行った支出負担行為又は支出命令は違法なものではなく、呉市長に指揮監督上の義務違反はない。」というもの。その理由として、育鵬社の教師用教科書及び指導書を購入することは、「平成28年3月3日の臨時会で『採択結果については変更しないこと』を決定したのであるから、呉市教育委員会が行った本件教科用図書の採択が著しく合理性を欠いたものとはいえない。」というものだ。
■重要な高嶋伸欣意見書(2月5日)の指摘
(1)文科省は「知識量の多寡ではなく、判断力、思考力をより豊かにする」という21世紀の学力観に変わったが、呉市の教科書採択は旧態依然たる比較検討等が実行されている。
(2)文化財について「表見返しと裏見返し又は巻末」に限定して、量的多寡の比較資料を作成するという行為は、育鵬社版に有利な結果になることを見こした、極めて不公正な調査・研究。
(3)「育鵬社版が最終的に採択されるようになっている資料作りの細工」があり、「それに影響しない限りは杜撰で虚偽記載が多数になるのもかまわない、とする意識が働いたのではないか」また、「口絵での文化財特集を、採択の際に有利にするこの項目の不公正さに気付く関係者はほとんどいないだろうと見込んでいた」という極めて杜撰な調査研究。
(4)「調査研究資料の大半が、記述を数量化して比較したもの」だったが、再点検後の訂正版比較資料では、「取り上げた人物の数だけではなく、学習効果があるかどうかということで見た」などと「記述内容について弁解」している。「関連法規・規定等についての恣意的な解釈や運用があった場合、それは行政における職権乱用であり違法である」という確定した司法判断があり、それに抵触する。
■「終結」を言いだした裁判所
裁判長は「3月27日に被告第5準備書面に対する反論を出しなさい。その時点で終結するかどうか判断する」と云った。これに対し、原告はあらかじめ「採択行為は支出負担行為であること」(準備書面12)「最高裁一日校長事件判決とは違う本件事件について」(準備書面13)を、カーリングに例えるならガードストーンのように提出していたので、その口頭陳述として30分と30分、合計60分の口頭陳述を、5月15日の第10回口頭弁論に入れこむ事が出来た。しかし、裁判所は4月末までに最終準備書面の提出を決めていた。このことは、後に書記官に会って確かめた。どうやら、この年度末に裁判の目鼻を立てておきたいらしい。背景には裁判官の異動があるようだ。本件の重要性が年度末人事に照らして考慮されるところに、今の司法の問題が垣間見える。
■幕引きは許さない
本件裁判は、子どもにとって第一義的な教材である教科書が、教育再生首長会議のメンバーである前呉市長の意向とそれを忖度した呉市教育委員会によって、1054カ所もの間違いに満ちた選定資料が作られ、それを基に2015年7月の採択があった。翌年、市民の指摘で間違いが発覚。そして、再点検後には『採択に影響なし」と、教育委員も含めた呉市教育委員会全体で隠ぺい工作したという疑いが濃くなった。そして、今、裁判所は採択過程の瑕疵に目を向けることなく結審させようとしている。これに対して原告は、あくまで採択議決の違法性を指摘し、違法な比較資料による議決に基づいた公費支出の不当、違法を司法の場で指摘し、是正措置を命じる判決を求めていきたい。
■傍聴人からの感想文から
●傍聴席から、世間が裁判長をどう見ているかを本日の様に公表するのは大事だと思います。この人は並みの人物ではない。アベ政権側の人物ということが良く分かりました。彼が、受け持ってきた7つの裁判すべてを傍聴してましたが、同じように強権的で、被告側(権力)に寄り添っています。原告側の皆さんはよく勉強し、分かりやすい発言をされています。
●裁判長は国民の権利を憲法や法律に基づいて公正を守る姿勢に欠けている。何かの思惑で正義の向きが変えられている感が強い。
●裁判とはこういうものだと初めて知りました。始めから答えがあると感じました。
●小西裁判長はトンデモナイ裁判長です。結審は可能な限り裁判を延長すべきです。まさに国会の生き写しのような裁判でした。原告、弁護団の皆さん粘り強く頑張ってください。
●被告側のスタッフは、裁判出席は勤務の扱いはどうなっていますか?出張ならば復命書と公用車運行記録を見て見たいです。情報公開で出てきませんか。
●小山証人の証言は謎に満ちた内容が多くて、次の証人(藤原)が期待されたが、なんと「却下」。あの証人尋問のなかの疑問点はどう解明されるのか。裁判長の指揮はまったく理解できない。
●ほぼ毎回出席していますが、テレビや映画の様に遠山の金さんのようなスカッとする進行になりませんが、粘り強く原告の訴訟に至る原点を忘れずに、怒りを持ち闘い続けていきましょう。
●裁判長の意味不明な用語、口を開くと「退廷」、意見書を出しても門前払い、納得できないまま裁判長の思いの方向に連れて行かれている気がする。
◎今後の裁判の予定
3月27日までに、被告第5準備書面に対する反論提出。ここで反論内容を見て「終結するかどうか判断する」とのこと。
4月末までに、その他の意見を書面で提出(最終準備書面のことか?)
5月15日に、第10回口頭弁論。結審かもしれません。
その後、次回が「判決」かもしれません。
◎第10回口頭弁論
5月15日(火)13:30~
その後弁護士会館で報告集会。
呉教科書裁判NEWS 第10号(2018年3月1日)
発 行:教科書ネット・呉
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■相変わらずの裁判長
2月27日(火)13:30から第9回口頭弁論が開かれ14:00には閉廷した。相変わらず裁判長は、「独り言を勝手にしゃべって、さっさと閉廷して、逃げるように姿を消し」たため、次回の内容はいつで、内容は何なのか正確に把握できず、後で書記官に会って確かめるという一幕もあった。
■原告は上申書を陳述
(1)裁判長は原告の採択過程の不正の主張を無視し、被告の主張である最高裁判決(1日校長事件)判例のみを本件に当てはめようとしていること。
(2)原告が申請した教科書検定、採択の実態に通じている高嶋証人、また法学の権威であり教育委員会のあり方について専門的な見識を持った浪本証人の証人申請を却下し、その理由を求めても明らかにしなかったこと。
(3)口頭弁論調書へ裁判長、原告、被告の発言要旨を記録する要望にたいしても「しません。やりません。」と押し切ったこと。
(4)原告の被告への釈明要求に対し、被告が「争点でない」として説明しない部分があり、再度、原告が釈明要求を求めても裁判長は「必要ない」としたことなど、強権的な訴訟指揮の改善を求めた。また、本件裁判は教科書採択の手順や過程の実態を明らかにすることが重要な課題であり、公平・公正な訴訟指揮を求めた。しかし、これに何も答えることなく、また改める様子も見られなかった。
■証人申請について意見を陳述
前回(2月6日)、小山元指導主事を証人尋問して、採択規程14条を使って任期の切れた調査・研究委員、選定委員を委嘱したことについて「知らない」。また、「採択に影響あり」ということは想定もしてなく、3月1日の選定委員会を教育委員が傍聴して3月3日の臨時会のやり取りを予習していたことについても「記憶にない」など、呉教育委員会全体として「採択結果に影響なし」という隠ぺい工作をしていたのではないかという疑惑が深まった。それを追及するために、実務の指揮を執った高橋課長補佐(当時)を申請。また、「2人で評価案を協議した」
(小山証言)とされる、もう一人の選定委員である藤原社会科部会部会長(当時)を申請した。しかし、裁判長は「必要ない、意見が重複する」として却下した。
■被告は「呉市長の指揮監督上の義務違反はない」と・・・
被告は、これまでの教科書採択は支出負担行為ではないから却下せよ(第1準備書面)、さらに最高裁一日校長事件の判令を出して「先行行為(採択行為)に著しい瑕疵がないのだから、後行行為(支出負担行為)に違法性はない」(第4準備書面)という主張だったが、2月21日に提出された第5準備書面では支出負担行為に言及して「呉市教委の支出負担行為について呉市長の指揮監督上の義務違反はない」という主張。具体的には、「呉市長の予算執行の権限の補助執行」として、「教育部長及び学校教育課長が行った支出負担行為又は支出命令は違法なものではなく、呉市長に指揮監督上の義務違反はない。」というもの。その理由として、育鵬社の教師用教科書及び指導書を購入することは、「平成28年3月3日の臨時会で『採択結果については変更しないこと』を決定したのであるから、呉市教育委員会が行った本件教科用図書の採択が著しく合理性を欠いたものとはいえない。」というものだ。
■重要な高嶋伸欣意見書(2月5日)の指摘
(1)文科省は「知識量の多寡ではなく、判断力、思考力をより豊かにする」という21世紀の学力観に変わったが、呉市の教科書採択は旧態依然たる比較検討等が実行されている。
(2)文化財について「表見返しと裏見返し又は巻末」に限定して、量的多寡の比較資料を作成するという行為は、育鵬社版に有利な結果になることを見こした、極めて不公正な調査・研究。
(3)「育鵬社版が最終的に採択されるようになっている資料作りの細工」があり、「それに影響しない限りは杜撰で虚偽記載が多数になるのもかまわない、とする意識が働いたのではないか」また、「口絵での文化財特集を、採択の際に有利にするこの項目の不公正さに気付く関係者はほとんどいないだろうと見込んでいた」という極めて杜撰な調査研究。
(4)「調査研究資料の大半が、記述を数量化して比較したもの」だったが、再点検後の訂正版比較資料では、「取り上げた人物の数だけではなく、学習効果があるかどうかということで見た」などと「記述内容について弁解」している。「関連法規・規定等についての恣意的な解釈や運用があった場合、それは行政における職権乱用であり違法である」という確定した司法判断があり、それに抵触する。
■「終結」を言いだした裁判所
裁判長は「3月27日に被告第5準備書面に対する反論を出しなさい。その時点で終結するかどうか判断する」と云った。これに対し、原告はあらかじめ「採択行為は支出負担行為であること」(準備書面12)「最高裁一日校長事件判決とは違う本件事件について」(準備書面13)を、カーリングに例えるならガードストーンのように提出していたので、その口頭陳述として30分と30分、合計60分の口頭陳述を、5月15日の第10回口頭弁論に入れこむ事が出来た。しかし、裁判所は4月末までに最終準備書面の提出を決めていた。このことは、後に書記官に会って確かめた。どうやら、この年度末に裁判の目鼻を立てておきたいらしい。背景には裁判官の異動があるようだ。本件の重要性が年度末人事に照らして考慮されるところに、今の司法の問題が垣間見える。
■幕引きは許さない
本件裁判は、子どもにとって第一義的な教材である教科書が、教育再生首長会議のメンバーである前呉市長の意向とそれを忖度した呉市教育委員会によって、1054カ所もの間違いに満ちた選定資料が作られ、それを基に2015年7月の採択があった。翌年、市民の指摘で間違いが発覚。そして、再点検後には『採択に影響なし」と、教育委員も含めた呉市教育委員会全体で隠ぺい工作したという疑いが濃くなった。そして、今、裁判所は採択過程の瑕疵に目を向けることなく結審させようとしている。これに対して原告は、あくまで採択議決の違法性を指摘し、違法な比較資料による議決に基づいた公費支出の不当、違法を司法の場で指摘し、是正措置を命じる判決を求めていきたい。
■傍聴人からの感想文から
●傍聴席から、世間が裁判長をどう見ているかを本日の様に公表するのは大事だと思います。この人は並みの人物ではない。アベ政権側の人物ということが良く分かりました。彼が、受け持ってきた7つの裁判すべてを傍聴してましたが、同じように強権的で、被告側(権力)に寄り添っています。原告側の皆さんはよく勉強し、分かりやすい発言をされています。
●裁判長は国民の権利を憲法や法律に基づいて公正を守る姿勢に欠けている。何かの思惑で正義の向きが変えられている感が強い。
●裁判とはこういうものだと初めて知りました。始めから答えがあると感じました。
●小西裁判長はトンデモナイ裁判長です。結審は可能な限り裁判を延長すべきです。まさに国会の生き写しのような裁判でした。原告、弁護団の皆さん粘り強く頑張ってください。
●被告側のスタッフは、裁判出席は勤務の扱いはどうなっていますか?出張ならば復命書と公用車運行記録を見て見たいです。情報公開で出てきませんか。
●小山証人の証言は謎に満ちた内容が多くて、次の証人(藤原)が期待されたが、なんと「却下」。あの証人尋問のなかの疑問点はどう解明されるのか。裁判長の指揮はまったく理解できない。
●ほぼ毎回出席していますが、テレビや映画の様に遠山の金さんのようなスカッとする進行になりませんが、粘り強く原告の訴訟に至る原点を忘れずに、怒りを持ち闘い続けていきましょう。
●裁判長の意味不明な用語、口を開くと「退廷」、意見書を出しても門前払い、納得できないまま裁判長の思いの方向に連れて行かれている気がする。
◎今後の裁判の予定
3月27日までに、被告第5準備書面に対する反論提出。ここで反論内容を見て「終結するかどうか判断する」とのこと。
4月末までに、その他の意見を書面で提出(最終準備書面のことか?)
5月15日に、第10回口頭弁論。結審かもしれません。
その後、次回が「判決」かもしれません。
◎第10回口頭弁論
5月15日(火)13:30~
その後弁護士会館で報告集会。