朝日新聞奈良版(3/22付)に、こんな記事が出ていた。見出しは《「県のさかな」制定へ 14年、県内で「海づくり」全国大会》である。《水産資源の維持や海の環境保全をうたう「第34回全国豊かな海づくり大会」が2014年、県内で初めて開かれることが決まった。県は大会を記念し、「県のさかな」を制定する。農業水産振興課によると、大会は魚業関係者らが出席して式典と稚魚の放流をする。時期や場所は未定だが、荒井正吾知事は「初夏から秋にかけ吉野川流域で行いたい」と話している。これまで滋賀や岐阜といった海なし県でも開かれている》。
※トップ写真は東吉野村特産の天然アユ。同村観光協会のホームページより
《「県のさかな」は県民のアンケートをもとに、有識者でつくる「県のさかな選定委員会」が審査し、知事に報告。5、6月ごろに知事が決めるという。2010年の統計では、県内で漁獲量が多いのはアユ58トン、フナ32トン、アマゴ23トンの順。養殖では金魚203トン、アマゴ26トンなど。アンケートは同課(0742・27・7409)のホームページや県庁などで回答できる。4月26日締め切り》。
アマゴ。十津川村観光協会のホームページより
海なし県の奈良県が「県のさかな」を制定するというのは面白い。他府県はどんな魚を選んでいるのだろうと検索してみたところ、各府県が制定した「県の魚」というページがヒットした(これが「県のさかな」に該当するのかどうか分からないが、シンボル的な魚が出ていて興味深い)。私の生まれ故郷の和歌山県はマグロだった。日本有数のマグロ基地・勝浦漁港を抱えるので、これは当然といえば当然。福井県の越前ガニ、三重県の伊勢エビ、広島県のカキ、山口県のフグ、高知県のカツオと、この辺りも定番である。
奈良県ですぐに思い浮かぶのはアユ(鮎)である。これには逸話もあって、『日本書紀』によると、神武天皇が丹生川(今の東吉野村・丹生川上神社中社のあたり)に厳瓮(いつべ=御神酒を入れる瓶)を沈めて国土平定の占いをすると、アユがたくさん浮かび上がってきて口をパクパクさせた。これを吉兆として天皇はたいそう喜んだそうだ。占いで浮かび上がってきた魚なので、アユ(香魚)は「鮎」と書くようになったという(当ブログ「神武天皇聖蹟顕彰碑」ご参照)。
ホテル野迫川でいただいたアマゴの塩焼き(11年11/16撮影)
確かにアユは美味しいし、秋の農業祭などでは吉野郡の各町村が競って串焼き(炭火焼き)を販売する定番の魚ではあるが、すでに群馬県や岐阜県が制定しているので、後発県としてはあまり面白くない。むしろ、面白いのはアマゴであろう。クーカルで奈良を訪れた一流シェフたちは、アマゴという美味しい魚の存在をたいそう驚き、競って料理に取り入れていた。私は2011年の「美味しかった食材」のトップに、野迫川村のアマゴを選んだ。これは絶品であった。
あとは、大和郡山市特産の金魚がある。他府県がすべて「食べて美味しい魚介」を選んでいるのに対し、これは唯一の観賞魚であり、奈良の伝統産業でもある。「全国金魚すくい選手権大会」も、17回目を数えた。
ともあれ、「奈良県のさかな」はアンケートをもとに、選定委員会を経て、最終的には知事が決めることになっている。皆さんは、ぜひご自分の意見をアンケートとしてご提出いただきたい。
※詳しい県のサイトは、こちら。アンケート用紙(PDF)は、こちら
※トップ写真は東吉野村特産の天然アユ。同村観光協会のホームページより
《「県のさかな」は県民のアンケートをもとに、有識者でつくる「県のさかな選定委員会」が審査し、知事に報告。5、6月ごろに知事が決めるという。2010年の統計では、県内で漁獲量が多いのはアユ58トン、フナ32トン、アマゴ23トンの順。養殖では金魚203トン、アマゴ26トンなど。アンケートは同課(0742・27・7409)のホームページや県庁などで回答できる。4月26日締め切り》。
アマゴ。十津川村観光協会のホームページより
海なし県の奈良県が「県のさかな」を制定するというのは面白い。他府県はどんな魚を選んでいるのだろうと検索してみたところ、各府県が制定した「県の魚」というページがヒットした(これが「県のさかな」に該当するのかどうか分からないが、シンボル的な魚が出ていて興味深い)。私の生まれ故郷の和歌山県はマグロだった。日本有数のマグロ基地・勝浦漁港を抱えるので、これは当然といえば当然。福井県の越前ガニ、三重県の伊勢エビ、広島県のカキ、山口県のフグ、高知県のカツオと、この辺りも定番である。
奈良県ですぐに思い浮かぶのはアユ(鮎)である。これには逸話もあって、『日本書紀』によると、神武天皇が丹生川(今の東吉野村・丹生川上神社中社のあたり)に厳瓮(いつべ=御神酒を入れる瓶)を沈めて国土平定の占いをすると、アユがたくさん浮かび上がってきて口をパクパクさせた。これを吉兆として天皇はたいそう喜んだそうだ。占いで浮かび上がってきた魚なので、アユ(香魚)は「鮎」と書くようになったという(当ブログ「神武天皇聖蹟顕彰碑」ご参照)。
ホテル野迫川でいただいたアマゴの塩焼き(11年11/16撮影)
確かにアユは美味しいし、秋の農業祭などでは吉野郡の各町村が競って串焼き(炭火焼き)を販売する定番の魚ではあるが、すでに群馬県や岐阜県が制定しているので、後発県としてはあまり面白くない。むしろ、面白いのはアマゴであろう。クーカルで奈良を訪れた一流シェフたちは、アマゴという美味しい魚の存在をたいそう驚き、競って料理に取り入れていた。私は2011年の「美味しかった食材」のトップに、野迫川村のアマゴを選んだ。これは絶品であった。
あとは、大和郡山市特産の金魚がある。他府県がすべて「食べて美味しい魚介」を選んでいるのに対し、これは唯一の観賞魚であり、奈良の伝統産業でもある。「全国金魚すくい選手権大会」も、17回目を数えた。
ともあれ、「奈良県のさかな」はアンケートをもとに、選定委員会を経て、最終的には知事が決めることになっている。皆さんは、ぜひご自分の意見をアンケートとしてご提出いただきたい。
※詳しい県のサイトは、こちら。アンケート用紙(PDF)は、こちら
平成祭礼データ』を引用します
南国栖、吉野川の右岸断崖上に鎮座する旧村社で、天渟中原 真人天皇(天武天皇)を祀る。毎年旧正月十四日伝翁の末裔の人々によって国栖奏が奉納される。国栖奏とは石押分の末孫の翁筋の人々が朝廷の大儀に御賛を献じ、歌笛を宮中の儀鸞門外で奏した美しい故事に則ったもので、舞翁二人、笛翁四人、鼓翁一人、謡翁五人の計一二人で奏上する。当日の神饌は腹赤の魚(うぐい)、 酒(一夜酒)、土毛(土地の特産物として根芹、山菓(木の実)・栗・かしの実)、毛 (かえる)である。岸壁に建つ神殿は、神明造一間社。石燈籠のうち亨保五年(1720)の刻銘のものが古い。国栖奏の第四歌に「かしのふに、よくすをつくり、よくすにかめる、おほみき、うまらに、きこしもちをせ、まろがち」と歌う
> 骨が多いと敬遠されがちだが、歴史(大海人皇子をおもてなしした魚)に
> 有名な腹赤の魚(うぐい)を忘れてはならないのでご参考に
ウグイがありましたね、懐かしいです。紀ノ川でもよく見ました。骨が多いそうですので、食べたことはありませんが、水槽で飼ったことがあります。大海人皇子をもてなしたとか、国栖奏のときにお供えするとは、存じませんでした。
> 最南端生息、吉野のイワナの変種「キリクチ」推薦。
これは初耳でした。しかも県の天然記念物で絶滅危惧種とは。その事実を知らせる意味でも、「県のさかな」にふさわしいかも知れません。