tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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キリンレモン vs 三ツ矢サイダー/日本経済新聞「ヒットのクスリ」

2020年06月11日 | 日々是雑感
金曜日(2020.6.2)の日本経済新聞「ヒットのクスリ」欄に、キリンレモン(キリンビバレッジ)と三ツ矢サイダー(アサヒ飲料)のライバル物語が出ていた。三ツ矢サイダーは年間4千万ケースを売るが、キリンレモンはわずか500万ケースだということや、両社のブランド戦略の違いなどが出ていて、とても興味深い記事だった。末尾に引用しているので、ぜひ記事全文をお読みいただきたい。

私はどちらもよく買うし、よく飲む。しばらくは糖質・カロリーゼロの(ただし人工甘味料を使っている)「三ツ矢サイダー ゼロストロング」を愛飲していたが、最近「キリンレモン無糖」が出たので買ってみると、おお、無糖なのにちゃんとキリンレモンになっている!「あまくないのに、キリンレモンだ。」のキャッチコピーの通りだ。キリンは「人工甘味料や着色料を使わない」というこだわりがあるので、こんな製品を編み出したのだろうが、その開発努力には頭が下がる。

これからも暑い日が続く。冷たい炭酸飲料で、体調を維持していただきたい。




ヒットのクスリ 「ブランド、なが~く愛して」「窓際族」キリンレモン再起
4月から5月にかけての外出自粛期間中、テレビコマーシャルで目立ったのがキリンビバレッジの炭酸飲料「キリンレモン」だ。人気女優の上白石萌歌さんがおなじみのリズムでキリンレモンを連呼する姿に誰もが「なぜ今ごろ?」と思ったことだろう。実はもちろん思いつきではなく、2018年からのブランド改革の流れにあるCMらしい。しかも米津玄師さんのヒット曲やサワー人気で、いま「レモン」来てます。

さてキリンレモンのライバルと言えば、アサヒ飲料の「三ツ矢サイダー」。さて、どちらが出荷量が多いでしょうか?実は三ツ矢サイダーが圧倒的に上。清涼飲料で全国どこでも購入できるメガブランドとしての目安は3千万ケース。三ツ矢サイダーは4千万ケースと大幅に上回っているが、キリンレモンはわずかに500万ケース。イメージ以上の差が開いているのだ。なぜここまで差がついたのか。ブランド戦略を考える上で参考になるので、歴史をひもとこう。

キリンレモンが登場したのは約90年前の1928年。明治屋とキリンの役員を兼務していた人物がライバルから開発者を引き抜き、作り上げた。人工甘味料や着色料を使わないなど、こだわりも強く、当初は高級品だったという。今のCM曲ができたのは1961年。キリンレモンを売るための自動販売機の会社をつくり、67年には早くもイメージガールを起用した。なんと「魅せられて」を歌ったジュディ・オングさんだ。そんな革新的な製造・マーケティングでトップブランドに駆け上った。

だがここからだ。せっかくブランドを作り上げたのに、81年に炭酸飲料ブランドとして「メッツ」を新たに投入した。その後、炭酸飲料が停滞し「午後の紅茶」「生茶」などに経営資源を集中。しかも「メッツコーラ」がヒットすると、キリンレモンは社内でも忘却のかなたに。窓際ブランドの誕生である。

一方のアサヒ飲料。三ツ矢サイダーの誕生は1884年。兵庫県川西市の平野から湧き出る炭酸水を瓶詰めにして売り出したのがきっかけだ。アサヒは三ツ矢サイダーをキリンレモンと違い、主力ブランドとしてずっと育ててきた。アサヒによるブランド戦略の勝利かと言えば、そんなきれいな話ではない。清涼飲料業界でアサヒはキリンより劣る。ほかに強いブランドを作れず、弱者としてのブランド戦略が奏功したのだ。

キリンだけでなく、日本企業はブランド作りが得意ではない。グループのブランド戦略の立て直しを担う山形光晴キリンビール常務執行役員は「日本企業は技術力をベースにした優れた製品を優先している」と指摘している。ブランドは情緒に訴える無形資産だ。この考えを共有し、継続する力が弱い。同時に目先の売り上げにこだわり、長期的なビジョンを欠く。「使い捨て」は日本企業の得意とするところだが、今後は持続性に知恵を一番絞る時代だ。(編集委員 中村直文)

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