tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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中華そば 青葉 御徒町店

2007年02月22日 | グルメガイド
かつて村上龍が、こんなことを書いていた。1972(昭和47)年、村上は大学に入って上京し、3日目に西荻窪でラーメンを食べたのだ。

《東京のラーメンは東京を象徴していた。一口で言うならば、「ニュートラルな淘汰」とでもいおうか。慢性のうつ状態におかれた都市が、中華食器の中でのびきっていた》

《つまり、「無関心の結果」として、東京のラーメンはあるのだ。作り手と受け手が開都以来続けてきて現在に至っている「無関心」がこのような無惨な食いものを産んだのである》

そして村上は決意する。《「東京の人々はこんなラーメンを食べているのか、よし、俺は、こんなラーメンを黙々と食うような奴には絶対に負けないぞ」東京のラーメンを食べた日、私はそう思った。自信が湧いてきたのだ》(村上龍「東京ラーメンと九州ラーメン」 東海林さだお編『ラーメン大好き!!』新潮文庫 所収)

JR御徒町(おかちまち)駅のガード下に「青葉」御徒町店がある。「W(ダブル)スープ」(豚骨と魚介の2つのダシを使う)という言葉は、96年に中野に開店したこの店が流行らせた。

2/19(月)手早く昼食を済まそうと、駅南口から徒歩1分(御徒町ラーメン横町内)のこの店に飛び込んだ。ほぼ待ち時間なしに席に座れた。写真は特製中華そば(850円)である。

頭にじーんと響く旨さだ。豚骨系と魚介系のダシがよくなじみ、クリーミーなスープに溶け込んでいる。そこに中太の麺がよくからむ。厚切りの柔らかチャーシューも味付卵も、いうことなしだ。スープと混ぜた味付卵を口に運んでいると、かつて食べた麺類の絶品、例えば佐藤養助商店の稲庭うどん、ゆぐちの富士宮焼きそば、初次郎(奈良市)のうどんなどの記憶が、ぐるぐると頭をかけめぐる。
※「青葉」のホームページ
http://aobai.jp/pc/index.html

長蛇の列を並ぶのではない。駅(しかも東京駅から3駅目、秋葉原と上野の間)からわずか1分でこんな旨いラーメンにありつけるのだ。

スープを飲み干しながら「あの時村上龍が、青葉のラーメンを食べていたら」と想像をめぐらせた。「東京の人はこんなに旨いラーメンを食べているのか、よし俺は、こんなラーメンを食ってきた奴でも驚くような小説を書いてやるぞ」などと…。

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