水徒然2

主に、水に関する記事・感想を紹介します。
水が流れるままに自然科学的な眼で解析・コメントして交流できたらと思います。

空気汚染より深刻な中国の“水”問題の現状とその対策に係る情報の紹介

2014-02-28 | 水とはどのようにすべきか

'14-02-28投稿、追加・修正

 既報西日本各地で微小粒子状物質「PM2・5」が高い値となったという。(2014-02-27) によれば、大陸から飛来するPM2.5および黄砂による空気汚染が昨年同様酷くなっているようです。

 個人的には、空気汚染の場合はマスクをかければ、および局所的に除塵すれば防ぐことができますが、それ以上に問題となる水の汚染に関しては特に可溶性の物質の場合は簡単には除染できずに水中に残り、人の健康および幾多の生態系にも影響を及ぼすと思っています。

 特に、中国のみならず、世界各地の淡水不足、ならびに諸水の汚染、および対策については重要な問題となっているのは既報の調査から思われます。
 大気汚染に関してはアジア大陸における砂漠化、沙地化が最大の原因かと思われますが、この風が吹けば砂ほこりが舞う対策にも適当なきれいな水が必要となります。

 また、きれいな水を使って、世界各国で問題となっている汚染大気、汚染水の除染、浄化をするためには莫大な電気エネルギーが必要かと思われます。
関連投稿:水とはどのようにすべきか(30)

 今回は中国についての“水”に係る諸問題の現状と対策に係る記載を調べました。

WEDGE Infinity 2014年02月18日(Tue)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3518

空気汚染より深刻な中国の“水”問題
(一部割愛しました。)
逼迫する水量に、汚染が深刻化する河川や地下水。北京をはじめ中国全土の水資源データが示す衝撃の事実。

「世界中にあふれる水不足の報道をすべて合わせても、北京がいま直面する水不足の危機的状況には及ばない」

 2013年10月、こう発言して注目を集めたのは中国水科院水資源所の王浩所長である。この発言は決して誇張ではない。

国連環境計画(UNEP)の基準では、1人あたりの年間水資源量に準じて1700立方メートルを下回る水準を「水不足懸念」、1000立方メートルを下回る水準を「水不足」、そして500立方メートルを下回る場合には「絶対的水不足」として分類している。中国では天津市、北京市、寧夏回族自治区、上海市、河北省、山西省、山東省、江蘇省の8省市自治区が「絶対的水不足」に含まれ、なかでも北京市は、500立方メートルどころか、100立方メートルにさえ満たないのが現実なのだ。

 「12年を例にとれば、北京で消費される水の総量は年間約36億立方メートルです。このうち約7億5000万立方メートルの水(約20.8%)が、実は再生水によってまかなわれているというのが現実です。専門家によれば、少なく見積もっても毎年約15億立方メートルの水が欠乏していることになるというのですから深刻です」(北京のメディア関係者)

 観光で北京を訪れ、ホテルで蛇口をひねれば水は勢いよく流れ出すので、外国人が水不足を実感することはない。同様に北京で暮らす人々が日々の生活のなかで水不足を実感する機会は決して多くはない。

・・・

その象徴とされるのが、中国のなかでも比較的水資源に恵まれている南部の長江から、水がひっ迫する北部に水路を引く大事業、「南水北調」である。合計3つのルートによって結ばれる水路は、すでに08年に1本目が開通し、河北省にある4つのダムに水が注ぎこまれて北京は焦眉の急を脱した。

 続いて10年には2本目が開通し、北京の人々は湖北省、河南省をまたいで注がれる丹江口ダムからの水によって多少の潤いを手にした。

 そして、14年10月には3本目が開通して事業は完成となるのだが、それによって北京の水問題が解決すると考える専門家は1人もいない。

・・・

水不足だけではない。北京の河川の汚染状況と中国全土の水問題の現状も深刻である。

まず北京の地表を流れる河川の汚染状況だが、13年4月から5月にかけて、環境保護部華北督査センターが北京を流れる河川の調査を行っている。このとき対象となったのは全部で50の河川だったが、すでに水が枯れている9本の河に加え、サンプリングに適さないと判断された4本の河が除かれた上での調査の結果は、全37本の河川のすべてが環境保護部の定めた水質基準を下回ったというから驚きである。

地方でも深刻化する水不足

さらに全国の状況である。

 中国水利部が13年3月に発表した統計によると、中国では毎年約500億立方メートルの水が不足している。

 水資源量はざっと世界平均の3分の1程度だが、それに増して悩ましいのが、農地が集中する北部で水のひっ迫が顕著だということだ。北部地域において重要な水源と考えられている4本の河(黄河、淮河、海河、遼河)の水量は、この数年で約17%も失われてしまっている。

 これは各地方が競うように経済発展のための工場誘致や地場産業の育成に乗り出した結果として、工業用としての水の需要が高まったのに加え、生活水準の向上で1人あたりの水消費量が伸びたことが原因だと考えられている。

・・・

「また、それ以前の問題として、水利政策の失敗が中国の河を傷つけてきたことに問題がある」と指摘するのは、前出のOBである。

 「1950年代から60年代にかけて各地で乱立したダムが、それぞれの土地で重要な水源であった河川に深刻なダメージを与えました。結局それらは、水力発電に利用されることもなく老朽化し、いまや各地のお荷物になっています。それが中国全土に約8万7千基あり、そのうち約4万1千基のダムはすでに寿命とされる年月を経過してしまい、いまや決壊の危険にさらされています」

「流れをせき止めることで水流を奪えば、河が本来持つ浄化の力が奪われます。これが水源にとって大きな打撃になります。そして肝心のエネルギーにも使えず、逆に災害の芽を撒いてしまったのですから、ツケは大きいと言わざるを得ません」

 「現在、国と地方は協力して老朽化したダムの補修に当たっていますが、その数は中央が約1万5900基、地方が約2万5千基という途方もないものです。どのダムも工事が完成する15年までに大きな洪水などに見舞われれば大変な災害につながりかねないと危険視されています」

・・・

 さらに深刻なのは、いまや水消費量全体の40%をまかなう地下水の問題である。99年から12年まで、地下水を汲み上げ過ぎた影響で、水位が毎年平均で90センチずつ落ちている。

こうした危機的な状況下にありながらも、前述のようにいまだ北京市民の日常生活のなかからは水不足の危機を共有するような変化が感じられない。その事実が水資源保護に関わる専門家たちの焦燥感をさらに煽っている。

 騙し騙しなんとか水を手当てしてきた当局だが、もはや「最後の砦」ともいうべき地下水にまでその問題は及んできている。

河川から地下水へ 広がる水質汚染

そのことを象徴していると考えられているのが、いま中国全土に広がる水質汚染の問題である。中国の深刻な水質汚染は、表面を流れる河川から土壌に広がり、ついには地下水の汚染にまで広がってきている。

・・・

13年2月、山東省濰坊の企業が汚染水を地下深くに捨てているという告発を受けて当局が調査に入った。これは、川に流す“盗排”よりも、さらに手の込んだ犯行の始まりだとネットでも大きな話題になった。

 こうした問題が積み重なり、13年10月、『時代週報』が伝えた記事によれば、中国農業科学院の研究者が09年に北京市平原区の322の観測地点で行った調査において、「比較的汚れている」及び「極めて汚れている」に分類された水源は実に41%にも及んだのである。

この結果は北京から少し範囲を広げて行った調査でも、当てはまる。

 同じ時期、中国地質科学院水文環境地質環境研究所が公表した華北平原における地下水の汚染状況の調査結果では、いまだ汚染されていない地下水は全体のわずか55.87%でしかなく、44.13%の地下水はすでに何らかの汚染の影響があることも判明した。

 中国では、もう何年も前から「いずれ飲み水がなくなる」という懸念が語られてきているが、公表されるデータのどれもがそのことを裏付けるような内容だった。

いまや全国655都市のうち、400以上の都市で地下水が主な飲料水の資源であることを考えてもこの事実は衝撃だ。

 事実、11年に国土資源部が全国200都市で行った地下水の調査によれば、「極度に汚染」と「やや汚染」の2つの項目に該当したのは全体の約55%で、前年に比べて15.2%も増えていたという。しかも、全体の37%に当たる地下水が、「地下水品質標準」に照らした“汚染”にあたる「Ⅳ類」と”重度の汚染”にあたる「Ⅴ類」に相当し、すでに飲料水には適さないものだったのだ。

・・・(後略)」という。

⇒既報でも調べたので概況については把握していますが、これ以上、大気汚染、地下水汚染などによって、環境水が汚染されれば、当然、世界各国の飲料水、農作物、魚介類にも影響を及ぼすので、注意が必要と思われます。

ちなみに、「きれいな水」とは、

しかしながら、本題とはそれますが、「水力発電に利用されることもなく老朽化し、いまや各地のお荷物になっています。それが中国全土に約8万7千基あり、そのうち約4万1千基のダムはすでに寿命とされる年月を経過してしまい、いまや決壊の危険」という記載についてですが、

水と並んで重要な電気エネルギーを生み出す「水力発電ダム」の多さ。

ちなみに、大気汚染は石炭火力電による煤煙、黄砂が主因となっていると思われますが、国の全消費電力量に占める水力発電は既報再生可能なエネルギーに係る記載(その27:世界の再生エネなど電力設備の普及実態の整理)(2014-02-10)によれば、

世界の消費電力量の整理 (基 as100万キロワット) 
    (中間経過)

     全発電量 再生エネ(太陽光  風力 その他)  水力 原子力 火力                 
                                                                              bal.
ドイツ  63     15   (別途追加)         1.4     9     37.6
             

スペイン31    11.4            
           2.3     7    10.3     
フランス 60     2.4                   6.6  
  45   8.4          
中国  440         9                     79       9      342
米国  466        30                           37   90   309

日本  106       4.2        2>  2>  1>             9      2    90.8

であり、その発電量は日本の全電力消費量にも匹敵しそうな莫大さから、

 個人的には、さらに補修して、治水と自然エネ化への有効活用を図って火力発電の比率を下げることによる汚染物質の減少の推進を現状期待せざるを得ない?と 思われます。

 4本の河(黄河、淮河、海河、遼河)の水量は、この数年で約17%も失われてしまっている原因はなんだろうか?著しい工業化、人口の増加に加えて、北極の温暖化の原因と仮説される気流の変動に伴う旱魃現象の影響も妄想されます。

 関連投稿:
大気科学者によれば、今冬の異常気象、原因は北極の温暖化?という

<追加>
ちなみに、
「きれいな水」をつくるには、
引用:http://www.shse.u-hyogo.ac.jp/kumagai/eac/ea/water.html

海水から真水を作る
  日本では大体上記の過程で飲めるていどの水が作られていますが、海外では海水から真水が生産されているところがあります。
海水は河川や湖沼の水と異なって約3.5%もの塩類(大部分はNaCl)を含んでいるため脱塩操作が必要になります。
 この脱塩には 1.蒸留法 2.逆浸透法 3.電気透析法(イオン交換膜法) 4.イオン交換樹脂塔式法 等があります。・・・(詳しくは本文参照)

 

 


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