吐露と旅する

きっと明日はいい天気♪

誰の心配

2012-06-13 23:03:49 | インポート
先日の土曜日、よさこいソーラン祭りの応援に行った日の夜も
実は、ミロンガに参加していました。

ミロンガとは、アルゼンチンタンゴのダンスパーティなわけですが
私は、普段レッスンで習ったことを、実践で練習するための場と考えています。
とは言っても、お喋りしたりふざけて笑ったりして過ごす時間も多いので
練習兼遊びみたいなものでしょうか。

私が通っているスタジオは、初級、中級、上級のようなクラス分けをしておらず
グループレッスンの時間帯であれば、どの曜日の何時のレッスンでも参加でき
へたっぴーな私でも、上級者と踊ってもらえることができます。
更に、ミロンガとなると、グループレッスンで会えないような人とも踊るので
なんじゃこいつ!?と思うような相手もいたりして、なかなか面白いです。
数年前なら、ステップがうまくいかないときは、自分のせいだと思い込んで
「すみません」「すみません」と、繰り返していましたが
今なら、自分だけのせいではない「場合もある」ということが分かります。
ですから、踊っている最中に、相手が露骨に不愉快そうな態度を示したら
曲が終わると同時に、無言で遠ざかるほどの図々しさも身に付けました。
あ、無言で遠ざかるのは、相手へ対する嫌がらせというよりも
「もう私を誘わないでね」と言う、相手への意思表示で
直訳すると、「二度と俺に近づくんじゃねぇ」と言う意味です。
いくら練習とは言え、ダンスパーティで嫌いな人と踊る義務はないのです。

その、土曜日のミロンガに、今年からアルゼンチンタンゴを始めた
Rちゃんという女性も参加していました。
Rちゃんは、以前クラシックバレエを何年も習っていたので
立ち方や歩き方が、とても綺麗な人です。
でも、やはり、アルゼンチンタンゴはまだ初級なので
先生に注意を受けることもあれば、思うように動けないこともあり
今の、ままならない状況に、少なからず「焦り」があるようです。
いわゆる、「壁」というやつですね。
Rちゃんは、可愛らしい外見に似合わず、案外負けず嫌いなようで
何人かの方と踊って、やはりあまり上手く踊れなかったようです。
私は彼女の踊っている姿を見ていないので
Rちゃんが、どんな風に踊っていたのかは分かりません。
「上手く踊れなかった」というのは、あくまで本人の自己評価です。
その後、Rちゃんはいきなり帰ってしまいました。
お喋りや、踊ることに夢中になっていた人達は
Rちゃんが、何故急に帰ってしまったのか気付かなかったし
Rちゃんが帰ったことに気付かない人もいたくらいです。

「Rちゃんが、落ち込んでる~」

いきなり、誰かが大きな声で言いました。
振り返ると、Rちゃんが帰る直前まで、Rちゃんと話をしていた女性が
「Rちゃんが、全然踊れないと落ち込んでました~」
と、もう一度言いました。

あからじめ、謝っておきます。
これから暴言吐きます。

正直、アホかと思いました。

みんなに公表して、どうしようというのか。
みんなでRちゃんに気を使えとでもいいたいのか。

その時、それを聞いた周りにいた人たちは
自分が、Rちゃんを傷付けるようなことを言ってしまったのではないか
自分が、なにか失礼なことをしてしまったのではないかと
お互いに顔を見合わせたり、考え込んだりしてしまいました。
当たり前です。

黙っていたら、誰も気付かずに済んでいたことです。
Rちゃんが、自分が上手に踊れないことで落ち込んで
気持ちが沈んでスタジオを出て行ったとしても
それは、Rちゃんの問題です。
その、踊れない自分をどうするかは、Rちゃん自身の問題です。
Rちゃん本人がみんなに言うとか、先生に相談するならともかく
第三者が騒ぐようなことではありません。

ミロンガの空気が、一気に盛り下がりました。
あ~あ~。

帰り道、方向が同じだからと途中まで一緒に帰ったその女性は
ひたすらRちゃんの心配をしていました。
が、よくよく聞いてみると…
「Rちゃんは、もともとバレエをやっていたので
 立ち方も歩き方も綺麗で、身体のバランスもすごく良いから
 落ち込んでいるのから立ち直って、一生懸命練習したら
 きっと、私なんて、あっという間に追い抜かれてしまうと思う」

なるほど。

私は、彼女に言いました。
「Rちゃんが落ち込もうが、辞めようが、それはRちゃんの問題だから
 他人がとやかく言うことではないよね」
「そうなんですけど…
 でも、なんだか心配で」
「誰の心配?」
「Rちゃんの」
「だから、それはRちゃん自身がどうにかしなきゃならないことでしょ
 私たちは、私たちのための練習をしないと」
「そうなんですけどー」
「自分がちゃんとしていない人は、人を支えられないよ」
彼女は、えっという表情で、私を見つめました。

悪い、私は今、あなたに相当イライラしてる。
Rちゃんを心配している風を装って、自分のことを心配しているあなたに。
そいうのって、嫌い。

私は、個人的にRちゃんと連絡を取り合う程度に親しいので
その後、なとなくRちゃんにメールをしたら
普通にメールが返ってきた。
取り敢えず、一安心。
スランプや壁は、頑張ってなにかやっていれば、必ずぶつかるものです。
Rちゃんが壁だかスランプだかにぶつかってしまったのは
Rちゃんが頑張っている証拠。
その先どうするのかは、Rちゃんが決めることだから、私は知らない。
でも、Rちゃんが軽やかに踊る姿を、私は見たい。

だから、私も頑張ろうっと。