先日の委員会での報告内容の続きですが、以下のように食品の放射能測定をする機器について、どういった機器が安心安全を表示する為に必要か?という事で様々調べてみた結果です。
みどり市では、300万円から500万円程度の予算を組む予定で進めています。
ただし、1台のみ。ということですが。
①シンチレーション式サーベイメーター(70万円くらい)
②シンチレーション検出器(一式で300万~500万円)
③ゲルマニウム半導体検出器(一式で1500万円)
10万円以下のガイガーカウンターでは食品の微量な放射線は測定できません。
①のシンチレーション式サーベイメータでは、筒状の検出器の口径の範囲で感知する放射線の総量を表示するだけで、核種の班別はできません。
②シンチレーター検出器は、鉛の厚い遮蔽の中に検体を入れて測定するので、環境放射線を遮斷できますし、さらにスペクトルを分析し、定量計算することで、セシウム134、セシウム137、カリウム40(自然界に存在する放射性物質)などを区別して測定できます。
③の通称「ゲルマ」では、核種分析にすぐれています。②のスペクトルとの違いは、核種ごとのピークがはっきりと幅を持たずに現れる点です。ですので、あらかじめ特定の核種を見込んでの測定なら②でよいです。検体の中にどんな核種が入ってるかわからない時は③での厳密な測定が必要になります。また、ゼロコンマBq/kgまで測定できる点で②との性能面の違いがあります。ただ、液体窒素を扱うことなどから専門の技術者が必要になります。測定システム全体の大きさも大きいので、一般の市民レベルで扱うには無理があります。
今回の福島第一原発事故では、今後セシウム134・137の測定がメインになりますので、自然界にある放射性カリウム40と区別する性能がある②で性能的に十分のようです。
検出の精度は、検出時間に比例するので、測定時間を2時間以上かければ、10Bq/kg以下の数値も測定できます。
食品の放射能測定についてリサーチした結果は、ガイガーカウンターの特性を伝える難しさと同様のややこしさがあります。問題になるのは、元々自然界にある放射性カリウム40の存在です。土壌によっては、数百ベクレルも存在します。100万円程度のベクレルモニターでは、カリウムをはじけません。
元々存在するカリウム40とセシウム137、セシウム134の総量をまとめてベクレル/kg表示で出す装置で100万円程度。目安はわかるといっても、カリウムの含有量がわからないと、扱いが難しすぎる。500Bq/kg以上だったら使えるだろうけど。
NaI(Tl)、ヨウ化ナトリウム(タリウム)を用いた、NaI(Tl)シンチレーター検出器を5cmから10cm程度の鉛遮蔽の中に設置した検出器と分析器、パソコンなどのシステムで300万円から500万円程度。このくらいは設備がないと、核種の特定とそれぞれの量を測定することはできない。
公的機関では数千万円するゲルマニウム半導体方式の設備で食品を検知しているようです。厚生労働省が定める食品の暫定基準では500Bq/kg(※食品、放射性物質によって異なります)となっています。簡易検知器としてはNalシンチレーション検出器を用いてベクレル(Bq/kg、Bq/L)単位で表示できる機種が利用されています。また、空間中の放射線(バックグラウンド放射線)を差し引くことが最低限必要です。鉛の容器で遮蔽することで精度を高める方法もあります。
食品表面汚染の検知は、Bq/cm2で表記されます。Nalシンチレーション検出器以外でも検知はできます。
放射性物質の種類
名称 | 放射線 | 物理的半減期※1 | 生体内での 実効半減期※2 | 蓄積部位※3 |
---|---|---|---|---|
ヨウ素131 (131I) | ベータ線、ガンマ線 | 8.04日 | 7.6日 | 甲状腺 |
セシウム137 (137Cs) | ベータ線、ガンマ線 | 約30.1年 | 100~200日 | 筋肉など |
セシウム134 (134Cs) | ベータ線、ガンマ線 | 2.0652年 | ||
ストロンチウム90 (90Sr) | ベータ線 | 29.1年 | 骨 | |
プルトニウム239 (239Pu) | アルファ線 | 2.41万年 | 骨など | |
ウラン238 (238U) | アルファ線 | 44億6800万年 |
※1物理的半減期・・・放射性物質が放射線を出さない物質変化し、放射性物質の量が半分になるまでの時間。
※2生体内での実効半減期・・・体内に取り込んだ放射性物質が、体外に排出される、他の物質に変わり、放射性物質の量が半分になるまでの時間。
※3蓄積部位・・・体内に取り込んだ場合、主に蓄積する場所。