青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

東武で一番、鄙びた駅で

2020年05月07日 17時00分00秒 | 東武鉄道

(東武鉄道No.1の駅@板荷駅)

下今市から電車で20分、板荷(いたが)の駅で下車してみました。何年か前にこの駅の近くで臨時の日光快速(1800系)の撮影をした事があって、上り列車を撮影するには光線が良さそうな場所だったのを記憶していたから。ちなみに東武鉄道でNo.1の駅なんですが、何がNo.1かと言えば、一日の乗降客数が東武鉄道の中で一番少ない(82人)んだとか(笑)。この駅は鹿沼市の北方の町はずれにあるのですが、「板荷」という地名の由来は、「木材の集まるところ」というところから来ているらしく、駅の近くには製材所がありました。

駅前通りからの風景。板荷の駅は、鹿沼市内から小来川(おころがわ)という山間の集落に向かう県道沿いにあって、そこまで人跡未踏の場所、という風でもない。個人的には、駅前のしもた屋に「塩」とか「たばこ(フコク生命)」の看板が出ているのが合格です(自分基準)。ちなみに、フコク生命ってのは東武鉄道と同じ根津嘉一郎を創始者とする根津財閥の出の企業で、現在でも東武鉄道の大株主なんですよね。

駅の北側、下小代から伸びるストレートが板荷の駅に向かって少しカーブする辺りにある小さな踏切から。ここは浅草方面行はやって来る列車を首折れの構図で、そして日光鬼怒川方面行は板荷駅を出たところのカーブで狙え、光線の順光逆光はありますがどちらの方向でも構図の組めるデュアルモードな撮影地です。まずはゴールドに塗られた「日光詣スペーシア」と、一般色2連×2の6050系が通過。新栃木より先の日光線北部は普通列車が1時間に1本の閑散線区で、体感としては特急の方が多いですね。

前パンを振りかざして、6050系2連の新栃木行き。鬼怒川温泉~東武ワールドスクウェア~下今市~東武日光という観光需要のある地域に比べ、日中の日光線北部ローカルではこのくらいのハコで十分な流動なのでしょう。振り返ってJR車のきぬがわ5号。東武線内のきぬ・けごんは緊急事態宣言の状況下で運休も多いようですが、JR直通特急は運休していないみたいですね。

リバティけごん32号/あいづ132号。日光線の新鹿沼から下今市の間は足尾山塊の麓に広がった中山間地を走りますが、それだけ長閑な雰囲気が残されている場所で、東武ファンには有名な撮影地がいくつも広がっています。この区間のローカル4駅(北鹿沼・板荷・下小代・明神)は利用者が300人に満たない駅ばかりですが、それでもリバティ導入以前はここを浅草発の6050系区間快速(新栃木以北各駅停車)がカバーしていて、直接都内へアクセスすることが可能でした。こんな書き方してしまうとリバティが悪者になってしまうんですけど、それだけ6050系の会津快速が尊かったという事で(笑)。

殆ど誰も来ない踏切で1時間ばっかし撮影に勤しんでいたら、たまたま通りがかった地元のおばあちゃんから「電車が好きなのかえ?」という、もう何度尋ねられたかわからない質問が投げかけられた(笑)。まあ撮影する電車の間隔も長いので、おばあちゃんと適当な世間話をして過ごしていたのだが、突然「そうだ、電車好きなら東武のカレンダーが家にあったから持ってきてあげる!もう少しここにいるなら待っててな!」と言って行ってしまった。おばあちゃんが去ったところで本命登場、東武日光で2時間半休憩していたリバイバル4連の登場です。6179Fが浅草側だと前パンになるんですが、今回は6162Fが前。パンなし側なのであまり天を開けないようにして、狙いを定めて一気にシュート。小首をかしげたリバイバルカラーが、ファインダーに収まりました。

メインイベントが終わった後、しばらくして戻って来たおばあちゃん。
おばあちゃんから手渡されたカレンダーは、去年のものだった(笑)。


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