青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

物憂げな路地のモノローグ。

2023年04月17日 17時00分00秒 | 東武鉄道

(春日部の街、路地先ちらり@藤の牛島駅周辺)

東武野田線・藤の牛島駅を降りて、大落古利根川の桜並木に向かう間、駅前通りの先に、ちょっと気になる店を見付けてふと立ち寄り。売ってるのはお好み焼きのようなのだが、今のご時世で一枚100円という恐ろしいプライシングと、メニューのバリエーションも謎過ぎる・・・思わず注文を乞うと、気の良さそうなじいちゃんが「今焼いててあと10分かかるけどいいかい?」と。

古びたパイプ椅子に「お好み焼き」の赤ちょうちん。自動販売機の前のガチャガチャ。ガチャガチャの中身を見たら、「昔懐かしの人形の尻に火を付けたらウ〇コがニョロニョロと出て来るヘビ玉みたいなアレ」が入ってて、令和のこの時代にまだそんなもん生産してる工場があるんだねえ・・・という妙な感慨を覚える。何とも昭和の駄菓子屋然とした佇まいに満ちた店先で、あまりにも謎なメニューのラインナップから無難に「もち」と「唐揚げ」を注文。路地先の向こうの踏切と、通過して行く野田線の電車を眺めながら暫し待つ。せっかくとんがったメニューなんだから、もう少し攻めても良かったか。

暫し待って「お待たせ!」と渡されたお会計200円のお好み焼きは、焼き立てをアルミホイルで直包みするワイルドタイプ。手提げ袋に入れてくれたのだが、いざ食おうとすると熱くて持てないので、お好み焼きを冷ましがてら大落古利根川まで歩いては桜を見ながらアツアツのお好み焼きを頬張る。餅は予想通りの味だが、唐揚げはピザソース&チーズで洋風仕立てだった。ってか食べながら「あのじいさん、唐揚げとチーズピザと間違えてねえか?」疑惑があったのだが、唐揚げも入っていたので文句はない。と言うか、この物価高のご時世で一枚100円という時点で儲けはないだろうな。こういう謎の店を見付ける事も街歩きの愉しさの一つではある。

三畳あるかないかの店先のスペースで、忙しなくコテを返しながらお好み焼きを焼き続けている店主の姿を見ながら、全て手書きで書き付けられたメニューと、春の雨に打たれる桜並木をぼんやり眺めていた春日部の街。なんだか私小説的で物憂げなアフタヌーンを、揺蕩うように流れる古利根の流れと東武電車。北埼玉の春景色である。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 淡い春をパステルに彩って。 | トップ | 大落古利根、桜色プロムナード。 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

東武鉄道」カテゴリの最新記事