青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

運命(さだめ)を握る高架橋。

2024年07月13日 10時00分00秒 | 弘南鉄道

(駆け上がれ、希望を繋ぐ高架橋@石川高架橋)

大鰐線一番の見せ場であり、土木建造物である石川高架橋。大鰐を出た列車は、暫く奥羽本線の東側を走りますが、ここで平川沿いの平地から奥羽本線を跨ぎ越して白神山地と岩木山の作り出すリンゴ畑の台地へと登って行きます。橋長は約270m、アルファベットの「A」の形をした橋台が印象的。総称は「石川高架橋」ですが、構造としては石川第一陸橋・JR跨線部・石川第二陸橋の三つに分かれていて、開業から70年超に亘って大鰐線の線路を支え続けています。柵も保守用の通路もなく、コンクリートモルタルの細い橋台でまな板のようなまっ平な路盤を支える構造は、鉄道の高架橋としては非常に華奢に見えるのですが、これは冬場の積雪を考えてのこと。高架橋に積もった雪を橋の下に落とすためには、線路以外の構造物は極力設置しないほうが都合がいいのだそうで。そんな石川高架橋の除雪シーンについては、前回の冬の津軽の訪問時に運よく見ることが出来たのですが、古豪のラッセル車がウエスティングハウス製の古典電機に押されて見事なシュプールを描く姿は感動しましたねえ・・・あのシーンは、日本の鉄道百景に入れてもいいと思うんだよな。

季節は変わって初夏。石川高架橋、歴戦の古強者といった感のある巨大構造物ですが、それだけに経年による劣化はいかんともしがたい部分があって、この日も中央弘前側の桁では足場が組まれて補修作業が行われていました。JRの奥羽本線を跨ぎ越すため、この橋の安全性に関してはJRからもかなりの注文が付いていると聞きます。東日本大震災の例を待たず、地震国である我が国日本。青森県の津軽地方はそう地震の多い地域ではありませんが、耐震基準を大幅に満たさなかったり、重大な損傷が見つかったりで、この石川高架橋が「対処的な補修でなく、全面架け替えの必要性がある」と判断された時が・・・大鰐線の命運が決まる時なのではないかと思うのですよねえ。

梅雨晴れの光に、コルゲートとディスクブレーキがキラリ。
大空に優美な曲線を描いて、バッドステンレスとパイオニアサードが渡って行きます。

コメント
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