(長野地下鉄1号線@善光寺下駅)
長野電鉄が運営する長野市営地下鉄・・・なんてものがあったら、どうなっていたのか。善光寺を北の頂点として、東は柳原、南は大豆島あたりを通って長野駅に戻って来る環状運転だろうか。という妄想を広げるにあまりある長野市中心部の長電地下鉄区間。長野駅から善光寺下駅の先まで、距離にしてみたら1.8~9km程度の僅かの距離ながら、長野・市役所前・権堂・善光寺下の4駅を設けています。
昭和56年の開通から40年、形としては長野市の連続立体交差事業とされた長電の地下鉄化。総事業費は68億円、建設には約5年を要したそうです。基本的には地下1階に駅施設、地下2階がホーム部分という造りで、真ん中に柱が立っているところを見ると昔ながらの開削工法で作られている様子。都心の最新の地下鉄は、大深度地下にシールド工法だのNATMだのと土木技術の博覧会のような技術を使って掘削されておりますが、ここはそんな最新技術とは無縁のオールドタイプの作り。照明が行き届かず、何となく薄暗いホームが、「一昔前の営団地下鉄」感を醸し出しているように思うのです。
そうなると、こういう写真が撮りたくなりますね(笑)。鯨の入庫がてらの本日最終運用、長野発須坂行き213列車。イメージとしては、「昭和50年代の地下鉄小伝馬町」という感じか。基本的には目の前の「あ、いいな」と思った風景を車両と絡めてパチリ、みたいなその場の思い付きでカットを重ねてしまうタイプではありますが、今回信州に鯨を求めて撮影行を組んだ中で、是非やってみたいなあと明確な意思を持って撮りに行ったカットがこちら。元々は大都会の地下を大量の通勤客を乗せて走り抜けた車両、地下区間が似合わない訳がなく。
小伝馬町・・・とするならば、客層が少々若いような気がしますが(笑)、GW中の昼間ですからそれも仕方なしか。感度を上げて少しノイジーにザラリと撮るのも雰囲気が出てまた良いですね。ステンレスにコルゲートの細やかなボディは、モノクロの現像でより引き立って見えます。駅のホームに完全に出て来ちゃうと2連なのが分かってしまうので、自分の中では一枚前の縦構図が本命カット。
ワンマン運転の運転士氏の安全確認。意外にも多かったホームの乗客を吸い込んで、扉が閉まります。鯨の去就については、「2022年度までに3000系を5編成入れますよ」という事が決まっているだけで、完全引退が公式にアナウンスされた訳じゃござんせん。ただ、事実上の終焉が見えてくれば、改めて意識して撮影したくなるのが人情というもの。たびたびの長電への訪問とか、屋代線の廃線とか、その際その際で撮影の対象にはしてたんですけどね。日比谷線の3000系から長電の3500系へ、改めて日本の高度経済成長を担ってきた名車に拍手と敬意を。
轟音を立てて走り去った鯨を見送ってホームを出ると、地下通路の壁に3500系が。2連で渡る鉄橋と山並みは、松川の鉄橋かひょっとしたら木島線の夜間瀬の鉄橋か。営団のサブウェイ「S」のマークから、長野電鉄の星のマークに付け替えて幾星霜。大都会から信州に舞台を変えて、春夏秋冬の豊かな自然の大海原を走り抜けた海なし県のマッコウクジラ。おそらくラストシーズン、堪能させていただきました。
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