青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

播州の 城下に降りや 蝉時雨。

2023年08月12日 08時00分00秒 | 神戸電鉄

(カーブの駅で小休止@三木駅)

美嚢川のほとり、福有橋という橋のたもとにある三木駅。粟生方面に向かって大きくホームは右カーブしている。傾くのが遅い日差しの夕方、最新車両の6500系と1100系の交換シーン。神鉄の三木駅、以前はいかにも郊外電車の駅らしい雰囲気のモルタル造りの駅舎があったのだけど、何年か前に駅の隣の古民家から出た火事が延焼して焼けてしまいましてね。その後どうなったのか気になっていたのですが、それなりに立派な駅舎が再建されていました。まあね、新築だから、今風のどこでもあるような駅に見えてしまったんだけども、失ったものの思い出は美化されてしまっているのかなあ・・・

新しい駅舎がなんかおさまりが悪く見えてしまったのも、そもそも北播の城下町・三木の街は、街並みが古いのだ。三木の駅から美嚢川沿いに歩くと、夕方の時間帯だったこともあって、長くなっていく斜光が余計にそのレトロさを引き立たせているように見える。路地のタバコ屋の収まる民家の立派な甍、古びたコカ・コーラの看板が掲げられたトタン板の商店。暑さの収まらぬ路地に水を打っていた床屋の店主の横を、神戸電鉄の電車が走り抜けていく。

流れる汗を拭きながら、三木の駅から福有橋を渡り、ナメラ商店街を通って上の丸駅へ歩く。渋焦げの板塀続く商店街の路地から、神鉄の高架線を見上げてパチリ。さっき鈴蘭台方面に上って行ったリバイバルカラーが戻って来た。商店街の一番北側にあるお店は毛糸を売るお店。仏壇仏具に純毛毛糸とか、販売しているものにあまり一貫性はないのだけど、なんだか年配の人が扱うもの・・・という意味では共通項があるのだろうか。

そのまま三木上の丸の駅から電車に乗ってもよかったのだけど、なんとなく夕焼け空を狙いに美嚢川のほとりでもう少し粘ってみる。素敵な写真が撮れるかどうかは、「もう帰ろっかな」からのひと粘りがあるかないかにかかってくるような気がする旅の空。夕方6時半を過ぎ、太陽は西の空にようやく沈みかけて、空に浮かぶ雲が下から焙られて行きます。神鉄の美嚢川橋梁は、上の丸側から下り勾配&左カーブで三木駅方面になだれ込むようなトリッキーな形をしているので、水平を掴むのがなかなか難しいですね。

最後、三木の街を再び三木城址の高台から。階段を上るだけのお手軽プチ俯瞰。夕焼け空というほどのかそけき感じではないけれど、まだまだ蝉時雨がジイジイとやかましい油照りの夕方の風景というのも、それはそれで夏らしいだろうか。汗を拭き拭きヤブ蚊を追い払いながら、レンズを広角に付け替えて、大きく空を渡る夏雲を広く取り込む。神戸の街を目指す電車のサイドに、夏の残照がキラリと輝きました。

 


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