青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

万葉の、歴史ゆかしき名湯へ。 

2023年08月01日 17時00分00秒 | 神戸電鉄

(温泉場への乗り換え口@有馬口駅)

神鉄の電車は、そもそもが「神戸有馬電気鉄道」として、神戸市街から有馬温泉を結ぶ鉄道として建設された経緯があることから、湊川から有馬温泉が有馬線、有馬口から三田が三田線と分かれています。本来であれば湊川~有馬温泉が本線格となりましょうが、普段の電車は三田方面に直通してしまうので、有馬温泉へ行く客はここで構内踏切を通ってお乗り換えになります。浦賀へ行く京急本線と久里浜線の関係みたいなものだろうか。

有馬口駅に同時進入する、区間運転の温泉ローカルと新開地行き。日中の有馬温泉~有馬口間は、時間4本の15分間隔。2編成を使用し、有馬口の4番線で発着。有馬口で上下の電車との接続を取り、有馬温泉駅の1面2線のホームを使って交換を行います。この日は6500系の3連と1100系の3連が交互に発着していましたが、新型6000系の3連バージョンである6500系は、今後の増備によってゆっくりと1000系列の3連を置き換えていくことになるのでしょう。

有馬口~有馬温泉間は単線。有馬口を出ると、武庫川の支流である有野川と有馬川の分水嶺を越えて行く山深い区間となる。少し長めのトンネルを抜けるとあっという間に有馬温泉の駅。さすがの三連休、温泉街へ向かう人波は多く、駅前のバスターミナルに到着しては出て行く大阪梅田行きの直行高速バスも満員。関東圏の人々にとっての箱根のような場所なのだろうか。

古く万葉の時代から栄えた国内屈指の名湯である有馬温泉。「有馬山  猪名の笹原風吹けば いでそよ人を 忘れやはする」と詠んだのは紫式部の娘である藤原賢子(たかこ)。 式部ゆかりの温泉街へ向かうのは、キャスター付きのキャリアを引くインバウンドの観光客の姿。有馬温泉は、連休の賑わいのさなかにありました。折角有馬まで来たからには、旅の足を休めてちょっと温泉で一休みとも思ったのだけど、まーだ時間が早いですし、こんな時間から有馬の熱い湯に浸かったらヘロヘロになってしまってその後何もやる気なくなっちゃうんでやめときます。一回入ったことあるしね、金の湯。

折り返しの準備を終え、出発待ちの1107F。有馬温泉に限らず、温泉街の終着駅ってのはすべからく頭端式ホームであって欲しいと思う。飯坂温泉とか別所温泉とか、温泉場に向かって敷かれた電車は、そこが目的であって、そっからもう線路を伸ばす必要もない。そういう駅に共通した何か・・・と言われたら、駅の改札口から温泉場へフラットに出て行ける導線なんじゃないかなと思う。洒落た駅舎の塔屋に立つ「神戸電鉄」の看板。夜になればネオン灯って、またいい雰囲気になるのでしょうね。

神有(しんゆう)の 時は流れて 幾星霜 湯客は続く 名泉の里。


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