おさびし日記

たのしい作文練習帳

おさびし十数首選 かばん2月号

2021-02-15 14:23:15 | Weblog
2月14日(日)

【おさびし十数首選 かばん2月号】

 ボタンかけちがえていても 木星と土星のならぶ今宵ばかりは (佐藤弓生)

『  』が本を抜け出して行くならばたとえば港町 (土井礼一郎)

 声だけに頼つてはだめ遺伝子で通話するのが糸電話なの (飯島章友)

 かごの中の割引シールがついている鉄火巻きややくすんで見える (戸田響子)

 あらかじめ予約してある炊飯が帰りの道をやや広くする (石狩良平)

 自販機は自動販売機が本名 自我も自由も売ってませんよ (小野とし也)

 寒き夜果物ナイフで産み出した林檎兎に名前をつけよ (小野とし也)

 金色の毛をそよがせて人の居ぬ暗がりに自分だけで終わらす (とみいえひろこ)

 人間といるの楽しい悲しいの緑に光る暗がりに居て (とみいえひろこ)

 長持ちする牛乳を脇に動かして机代わりのピアノをひらく (大嶋航)

 海の街に海の風ふき粉雪の流されながらだんだんつもる (東直子)

 わからないと言うことためらわぬ人の小さな靴のやさしい古さ (東直子)
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