FRP船

2012-10-08 | 国内出張
先週の月~火曜日と、久しぶりに清水・焼津地区に出張に行ってきました。
社会に出て最初に携わったのが、マグロ関連の仕事。当時は毎週清水へ通い、水揚げに立会い、そして台湾の船主さんたちと宴会をする生活でした。

さて、マグロ、と、一口で言っても用途は様々。ときどき、「マグロ」を話題にしていても話しがかみ合わないな、と、思うことがありますが、皆さん自分の立場の「マグロ」を指して話しをしているからなわけです。

たとえばですが、まき網 といえば、缶詰用の原料マグロ
超低温船 といえば、延縄の刺身用
生船、といえば、空輸刺身用の生 と、選別落ちが陸上凍結の原料用

などなど。
それに海外の需要、たとえばCO(一酸化炭素置換、日本は流通禁止の、例の色が赤くなる処理ですね)マグロ用の原料に、ネギトロ用の原料・・・

最近良く聞くのが、FRP船のマグロ、 というやつです。
FRP船、すなわち、鋼船ではなく、FRPで作った小型の船なのですが、これに冷凍設備を積み込み、延縄でマグロを獲っている船が増えているそうです。
小型=国際規制にかからず、また、経費も割安、ということですが、魚の質に問題があります。

延縄の操業効率が悪いのは周知の事実、それを刺身用の漁価がカバーしています。このFRP船、凍結能力が低く、-30度前後とのこと。
通常の刺身用マグロの凍結温度がー50度以下ですから、ずいぶん凍結が甘いことになります。

このFRP船が出だした頃、取り扱いを行った業者は相当儲かったと聞いています。
-30度なりの価格で買い、その中から刺身で使えるものを選別し、高く販売できたからです。

ところが、このFRP船が増え、鮮度の悪いものが増え、それでも価格が下がらず、大損をしている会社がたくさんある、と、聞いています。
この流れはどうも韓国企業の買占めから始まっているようで、韓国の倉庫には、この手のFRP船の原料がずいぶん寝ているようです。
聞くところによると、いわゆる使える船は、全体の一割程度。それ以外の船はかなり怪しい、缶詰や加熱用の原料にしかならないものを作っているらしいです。
(全体で2-300隻程度でしょうか・・ちょっと把握できていません)


養殖鮭の暴落のあおりで、スーパーの刺身のフェイスに鮭が増えています。
もちろんマグロはその分置かれなくなり、マグロの原料相場も下がっています。
そんな中、この手の中途半端な魚は行き場がなくて困ります。

この中途半端なFRP船、FRP商品の行く末は暫く注視したほうがよさそうです。






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