映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ファンシー

2021年09月22日 | 映画(は行)

切った張ったの世の中の、片隅のファンシー

* * * * * * * * * * * *

地方のさびれた温泉街。
彫り師で、日中は郵便配達員をしている鷹巣明(永瀬正敏)。
ペンギンというペンネームの引きこもり詩人(窪田正孝)の所に
ファンレターを配達する折に親しくなり、いつもそこで少しサボっています。
そんなペンギンの元に、
いかにも夢見がちの女性“月夜の星”が押しかけ妻としてやってくる。
しかし実は、ペンギンは性的不能・・・。
鷹巣は、彼女の様子が気になって・・・。

本作は山本直樹さんの同名短編漫画が原作となっています。
あらすじだけみれば、単なる三角関係。
でも、これ、ラブストーリーではありません。

このさびれた温泉町で、鷹巣の身の回りのヤクザやら地元の人々やらの
愛憎渦巻く暴力沙汰が頻発。
殺人も日常茶飯事のごとく起こっているのです。
でもそれはこの三人には直接的には関わらず、
言ってみれば、よその出来事。

いや、その暴力に満ちた町こそが通常の世界なのかも知れない。
そこから、まるで異次元のように、
男女の複雑な関係と感情を絡み合わせるこの三人のドラマこそが、
「ファンシー」だと言っているのかも知れません。

鷹巣は、父親から受け継いだ言葉を生きる信条としています。

「自分の乗っているのがたとえドロ舟だろうとも、
その上にいる時間は自分の時間だ。
自分の旅を楽しめ。」

・・・というわけで、普通に言う「正しいこと」には囚われず、
自分がやりたいと思うことをやってみれば・・・?
という、生きることに行き詰まった場合には胸に染み込んでいきそうなお言葉。
そういうのもいいかも、です。

<Amazon prime videoにて>

「ファンシー」

2019年/日本/102分

監督:廣田正興

原作:山本直樹

出演:永瀬正敏、窪田正孝、小西桜子、田口トモロヲ、宇崎竜童

 

暴力度★★★★☆

エロス度★★★★☆

満足度★★★.5

 



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