映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

日本のいちばん長い日(1967年)

2015年11月20日 | 映画(な行)
新旧の2作

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この夏見た「日本のいちばん長い日」に触発され、
1967年作の本作もぜひ見てみたくなりました。
戦後22年目に作られた本作は白黒作品で、
まさしく昭和の手触り。


その頃の私はまだ子どもで、本作を見たのは多分これよりも数年ののち、
TV放映にてだと思いますが、
実のところ内容はよくわからなかったのでは・・・?
それにしても、今の私には懐かしい俳優陣。
感無量という感じです。
東郷外務大臣に宮口精二。
鈴木総理に笠智衆、
阿南陸相に三船敏郎、
そして畑中少佐には黒沢年雄。
その他、山村聡、小林桂樹、志村喬、児玉清、高橋悦史、加東大介、加山雄三!
この時代の花ですね。
本作からさらに約50年ですか・・・。
今の若い方にはこのメンバーの豪華さはわかりますまい・・・。


さて、この新旧の2本、
もちろんストーリーは同一ですが、作品として俳優が異なるだけではありません。
67年版は実録風に徹していて、出てくるのは男ばかり。
女性の出演はたった一人、新珠三千代さんのみです。
15年版は主要メンバーの家庭での様子も若干描かれていて、
家族として女性の出演も多少あります。
登場人物の背景を出したのは、その人物への感情移入を目的にしているのかもしれませんし、
あまりにも憔悴しきったオジサンたちばかりでは、
確かに映像としてはどうなのかというところもありますね。
でも、67年版はそんな甘さをバッサリ切り捨て、硬派に徹している、
それもまた悪くはないと思うわけです。


67年版では、昭和天皇の「ご尊顔」ははっきりとは映しだされません。
15年版で本木雅弘さん大写しとは異なるところ。
そして畑中少佐のほとんど狂気とも思える思い入れは、
松坂桃李さんも凄いと思いましたが、
黒沢年雄さんの迫力には負けてたかも・・・。
総じて、67年版の方がさすがに時期が近いためもあって、
現実に近いのかもしれないと思いました。
けれど、お若い方は多分15年版の方が見やすいと思います。
どちらでもいいですが、一度は見ていただきたい・・・。

日本のいちばん長い日 [東宝DVD名作セレクション]
三船敏郎,加山雄三,黒沢年男,佐藤允,中丸忠雄
東宝


「日本のいちばん長い日(1967年)」
1967年/日本/157分
監督:岡本喜八
原作:大宅壮一
出演:宮口精二、山村聡、三船敏郎、黒沢年雄、志村喬、小林桂樹
歴史発掘度★★★★★
満足度★★★★☆


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