映画と本の『たんぽぽ館』

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 新しい人生のはじめかた 

2010年02月28日 | 映画(あ行)
人生に過度の期待のないもの同士



             * * * * * * * *

バツイチのCM作曲家ハーヴェイ(ダスティン・ホフマン)。
娘の結婚式のため、ニューヨークからロンドンへやってきます。
しかし、娘は義理の父とバージンロードを歩むという。
結婚式のために集まった人々と全然なじめず、
1人行き場なく孤独を感じてしまうハーヴェイ。
おまけに仕事はクビになるし、飛行機には乗り遅れるし・・・。



一方ロンドンに住む未婚のケイト。
彼女はなかなか男性と気軽に話すことが出来ず、
もう結婚とか恋とか、そういう物に心がかきまわされることがめんどうになってきていて、
半ば人生をあきらめている。



そんな2人が、空港のバーで出会います。
ケイトにとっては、ハーヴェイは単に行きずりの見知らぬオジサンなので、
何のきどりもなく率直な物言いが出来る。
こういうところがよかったんでしょうね。
いつしか、意気投合している2人。


ことさら目新しい事件があるわけでもないのですが、
落ち着いて見ることが出来る、大人のラブストーリーといえましょう。

若いときの情熱もきらめきもないけれど・・・
もう人生に過度の期待もない。
そうした力の抜けたあたりの出会い。
こういうのは、お互い自然体で、いいなあと思うのです。
そこにささやかな幸せが待っていたりするのです。
いくつになっても、人と人とが理解し合い、共感し合えることは必要なんですね。
それがこんなふうにしっとりと出来てしまうのは
ある程度年を重ねたからこそ。
年をとるのも悪くないって感じです。
ただし、ここでもう若くないんだから・・・と自己否定してしまってはいけないわけです。
気負いすぎず、慎重になりすぎず、
このバランスが大切。
要は、自然に気の向くまま、ということでしょうか。



ところで、なんだかこの2人の関係は、
男女じゃなくてもよかったのじゃないかと思えてきます。
別に性的つながりはなくても、人と人が出会って気があって、生涯の友人となる。
そんな関係でも、全然OKなのではないかと。
体を求め合うのではなく、心で求め合う。
自分を理解し求めてくれる人がいるという思いが、
人が前に向かって歩き出す勇気と力を与えてくれるのでしょう。

新しい人生の始め方とは、すなわち自分を理解してくれる友や恋人を持つこと。
そのためには自分自身も心を開いて人を理解しようとしなくてはね・・・。

2008年/アメリカ/93分
監督・脚本:ジョエル・ホプキンス
出演:ダスティン・ホフマン、エマ・トンプソン、アイリーン・アトキンス、リアン・バラバン



映画 新しい人生のはじめかた 予告




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