映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

こんにちは、母さん

2023年09月16日 | 映画(か行)

いくつになったって、女子だから

* * * * * * * * * * * *

大会社の人事部長、神崎(大泉洋)。

人からは出世街道まっしぐらと見えていますが、
実のところ、職場では常に神経をすり減らし、家では妻との離婚問題、
大学生の娘・舞(永野芽郁)との意思不通など、悩みが多い・・・。
ある時、母・福江(吉永小百合)が暮らす下町の実家を訪ねると、
母が何やらイキイキとしていることに気づき・・・。

山田洋次監督、出演が吉永小百合さんに大泉洋さんと来ればもう、
おかしくて、ちょっぴり苦く、そしてやがてほのぼの・・・が、
約束されているようなもの。

とにかく安心して楽しく見ることができます。

神崎は人事部長ということで、リストラも仕事の一つ。
大学時代からの友人にして同期採用の木部(宮藤官九郎)の
首を切らなければならなくなり、苦悩します・・・。
ところがこの木部が断固として退職を拒むので、いよいよ面倒なことになっていく・・・。

そんな神崎は、下町の実家で、
「ひたすら一日せんべいを焼くような、そんな仕事がいいなあ・・・」とぼやくのです。

この神崎の実家は足袋屋で、今も福江が商売を続けています。
今時足袋屋なんて・・・と思ったのですが、
近所の相撲部屋のお相撲さんたちが足袋を買いに来る。
なんだかんだいっても和装には必ず必要となるものでもあるし、
需要は一定数あるわけで、なければ困るものでもありますね。

ところで吉永小百合さんって、何歳?って、調べたら78歳。
ひゃ~、化けもののようにお若いですね。
こんな方なら、恋だってするでしょうよ。

息子は、母が恋をしているなどと聞いて目くじらを立てますが、
ぜんぜんアリだと思います。

というか、「恋」といっても多分、ちょっとした憧れとか
そばにいたいというくらいの気持ちだと思うのですよね。
いくつになっても女子にはそういう所があると思うし、必要だと思う。
その恋が、儚くも散ってしまうときの母の落胆。
切ないですね、一緒に泣きたくなる。
そういう所がさすがの吉永小百合さんの表現力。

そんな中で、唯一若さを放っているのが神崎の娘、永野芽郁さん。
彼女は母親に反発し、家出をしてこの祖母の家にやって来ます。

古い家、老女の一人暮らしの所に、若い女子が入ると途端に華やぎます。
実生活もそうだと思うのですよ。
年寄りばかりを集めたホームやシルバーマンション・・・
そうではなくて、様々な年代の人が近くに住んで協力し合う方が
良くはないかと常々思うのですが・・・。

などと色々考えつつ楽しんだ作品。

 

<シネマフロンティアにて>

「こんにちは、母さん」

2023年/日本/110分

監督:山田洋次

原作:永井愛(戯曲)

脚本:山田洋次、朝原雄三

出演:吉永小百合、大泉洋、永野芽郁、YOU、寺尾聰、田中泯、宮藤官九郎

 

下町度★★★★☆

大企業のサラリーマン度★★★★☆

満足度★★★★☆



最新の画像もっと見る

コメントを投稿