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「言霊たちの反乱」 深水黎一郎

2015年11月21日 | 本(その他)
言葉遊び・・・?

言霊たちの反乱 (講談社文庫)
深水 黎一郎
講談社


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平和な休日、婚約者が突然怒り狂う。
路上では外国人に殴られ、ファミレスでは麻薬取引現場に遭遇。
ついに凶悪テロの首謀者として手配される。
原因は全て言葉の聞き間違いと勘違いだった。
古の人々が崇敬し畏怖した言葉に宿る「霊力」が
現代人を陥れようとしているのか。
驚愕の言葉トリック・ミステリに震えよ!


* * * * * * * * * *

本作、新聞の書評欄で取り上げられていたので読んでみました・・・。
がしかし、私には面白いと感じられなかった。
本巻には4つの短編が収められていて、
「言霊たちの反乱」という台目の短編はありません。
どれも口から発する「言葉」をテーマとしているので、この題名をつけたと思われますが、
まあ、そのあたりはセンス良いですね。


例えば「漢(オトコ)は黙って勘違い」
主人公はとんでもない勘違い男で、
テレビのニュースを見ても「公職選挙法違反」を「好色選挙法違反」と思い込む。
「熱帯低気圧が南下している」は「熱帯低気圧がなんかしている」と思い込み、
いい加減な天気予報だとあきれる。
一事が万事こんなふうで、勘違いから事態はややこしい方向へ・・・。
ストーリーとしてはうまくできているとは思いましたが、
なんだかなあ~。


「鬼八先生のワープロ」では、
ある文芸評論家が鬼八先生というエロ作家から借りたワープロで文章を打つと
「まず冒頭の数段は、修飾が過密すぎる。」がこんな具合。
「まず冒頭の吸う男は、修飾が花蜜すぎる。」
これがまあ、呆れるくらいにどこまでもこの調子が続くので、
実際呆れて途中で読む気が失せました。


つまりは全編言葉遊びです。
主人公に魅力のかけらもなく、情緒もなにもありはしない。
が、その言葉遊びを楽しむだけでいいと、
はじめから割り切ることができれば、良いのかもしれません。
書評欄で取り上げられるものが、
常に自分の好みに会うとは限らないという見本でした。

「言霊たちの反乱」深水黎一郎 講談社文庫
満足度★☆☆☆☆



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