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オオカミは嘘をつく

2015年07月03日 | 映画(あ行)
嘘つきのオオカミは誰?



* * * * * * * * * *

冒頭、あどけない子供たちがかくれんぼをしており、
隠れていた少女がそのまま姿を消してしまいます。
凄惨な少女殺害事件の幕開け。
少女の赤いワンピースと靴は、
“オオカミ”に対して、もちろん赤ずきんちゃんを意識しているわけですね。



暴力刑事ミッキはある男に容疑者として目をつけ、
強引に彼を拘束し乱暴な尋問を開始しますが、上司の命令により釈放。
しかしその直後、誘拐された少女の斬殺死体が発見されるのです。
担当を外されたミッキは密かに単独で容疑者を付け狙いますが、
そこに現れたのは被害者である少女の父親。
彼は容疑者に復讐し、亡き娘の“頭部”の隠し場所を聞き出そうと、
人里離れた地下室付きの山荘を購入していたのです。
刑事をも巻き込んで、悲惨な拷問が開始される・・・。



容疑者は気弱そうな教師で、
どんなにひどい拷問を加えられても自分はやっていないと主張します。
あまりにも悲惨な状況に、見るのもイヤになってきてしまうのですが、
しかし、ストーリーの先が読めず、
一体どのような結末が待ち受けているのか、
正義とは何なのか、
結局ここで言うオオカミとは誰なのか、
そのようなことが気になって見続けてしまいます。



ここに写っている三人が容疑者と刑事と被害者の父。
特別誰もさほど凶悪そうには見えませんよね。
常には普通の人が、時にはこんな風に残酷になるのだという戦慄。
しかし、こんな悲惨な出来事が起こっている中で、
のどかなメロディの携帯の呼び出し音が鳴り響いたり、
ケーキを焼いたり、
家族が訪ねてきたりなどで拷問が中断したりします。
その家族が救いになるのかと思えばそれがまた・・・!!
こんな風に仄見える奇妙なユーモア。
う~ん、侮れません。
しかも本作には驚愕の真相が隠されていて、一筋縄では行きません。



本作の舞台はイスラエルで、
アラブ人は“悪い”という共通認識のようなものがあるらしい。
本作では馬にまたがったアラブ人がふらりと登場するのですが、
この人が一番まともな人物に見えるという皮肉もなかなか効いていました。



恐るべし、イスラエル監督の作品・・・。

オオカミは嘘をつく [DVD]
リオル・アシュケナージ,ツァヒ・グラッド,ロテム・ケイナン,ドヴ・グリックマン,メナシェ・ノイ
アルバトロス


「オオカミは嘘をつく」
2013年/イスラエル/110分
監督・脚本:アハロン・ケシャレス、ナボット・パプシャド
出演:リオル・アシュケナージ、ツァヒ・グラッド、ロテム・ケイナン、ドブ・グリックマン
凄惨度★★★★★
予測不能度★★★★☆
満足度★★★★☆


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