坂本龍一さんの道
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坂本龍一が語る坂本龍一
「あまり気が進まないけれど……」と前置きしつつ、
日本が誇る世界的音楽家は静かに語り始めた――。
伝説的な編集者である厳格な父。
ピアノとの出合い。
幼稚園での初めての作曲。
学生運動に明け暮れた高校時代。
伝説的バンドYMOの成功と狂騒。
たった一人の「アンチ・YMO」。
『ラストエンペラー』での栄誉。
同時多発テロの衝撃。
そして辿りついた新しい音楽――。
華やかさと裏腹の激動の半生と、いつもそこに響いていた音楽への想いを、
自らの言葉で克明に語った決定的自伝。
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本作は、2009年に刊行された坂本龍一さんの自伝です。
このたび追悼企画として文庫化されたようです。
坂本龍一氏は、私にとっては「YMO」よりも「映画音楽」の印象が強いのですが・・・、
それも人によるのでしょう。
ともあれ、まさに日本が誇る世界的音楽家。
おそらく好きなことを選び取りながら歩んだ人生だと思うのですが、
結局それはやはり音楽の道だったわけですね。
くっきりと浮かび上がる足跡は、
さすがに他に類を見ない独自性を表わしています。
氏の人生をたどることは、自ずと日本の社会の変遷をたどることでもあります。
時代背景を読み取りながら読んでいくのもまた興味深いです。
驚いたのは、あの2001年9月11日。
氏はニューヨークに住んでいて、煙を上げるビルの姿を実際に見たといいます。
もしかしてこれは有名な話で、知らなかったのは私くらいなのかも知れないけれど・・・。
それで本巻にも、坂本龍一氏本人が撮ったその写真が掲載されています。
あんな光景を目の前で見たとしたら、
なんだか人生観が変わってしまいそうな気がします。
「音楽は自由にする」坂本龍一 新潮文庫
満足度★★★★☆
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