映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

スーパーノヴァ

2021年07月27日 | 映画(さ行)

最後まで自分自身でありたい、と思う心

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ピアニストのサム(コリン・ファース)と作家のタスカー(スタンリー・トゥッチ)は
20年来のパートナーとして共に生活しています。
ユーモアや文化を愛し、彼らのことを理解する家族・友人に恵まれ、
穏やかで平和な毎日でした。

ところが、タスカーが認知症を患うのです。
まだタスカーの意識が確かなうちに旅をしようと思い立った2人は
キャンピングカーで、2人の出会った故郷の地へ向かいます。

このまま行くと、まもなくタスカーはサムとのことも忘れ、
そしてしまいには自分が誰かもわからなくなってしまうだろう・・・。
口には出さなくても、互いにそんな不安が胸中に渦巻いています。

そのことを恐怖に思いながら、
でも、自分は最後の最後までタッカーのそばにいて見守ろうと思うサム。

でも、タスカーはそんな惨めな自分を
サムの最後の記憶として残して欲しくない、と思う。
自分がサムの負担になるのもイヤなのでしょう。
だから、タスカーはそんなことになる前に自死しようと考えていた・・・。

 

どんなパートナー同士にでもありうる話です。
でも意外と、男女の夫婦間でどちらかが認知症が進んでいくときに
自死をしようとする展開はあまりなかったのではないか。
本作が男性同士だからそういう展開になるのかどうか・・・? 
興味深いところではありますが、その答えは見当もつきません・・・。
ただ、男性の方がプライドが高い、と言うことはあるのかも。

本作結局タスカーとサムがどういう決断を下したのかは描かれておらず、
見るものの想像にすっかり任されています。

私はおそらく最後のサムのピアノ演奏の場に、
すでにタスカーはいないと想像するのですが、皆様はいかに・・・?

題名「スーパーノヴァ」は、タスカーが天体観測好きなこともあるのですが、
太陽のような恒星がその寿命を終える時に大爆発を起こして強い光を放つことを言います。
タスカーの人生の終焉を例えた言葉でもあるのでしょう。
とすれば、やはり・・・。

 

名優、コリン・ファースとスタンリー・トゥッチの静かな演技が光ります。

 

<シアターキノにて>

2020年/イギリス/95分

監督・脚本:ハリー・マックイーン

出演:コリン・ファース、スタンリー・トゥッチ、ピッパ・ヘイウッド、ジェームズ・ドレイファス

 

生を考える度★★★★☆

満足度★★★.5



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