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アップサイドダウン 重力の恋人

2014年06月29日 | 映画(あ行)
ユニークな設定に想像力が掻き立てられる



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太陽を周回し、真反対に引力が作用する双子惑星。
このように初めから全くの異世界を舞台としながら語られるのは、
古典的な純愛の世界です。



この世界観を理解するためのお約束。
ふたつの世界にあるもの・生を受けたものは、
逆の世界に行っても元の世界の重力の影響をそのまま受ける。
双方の物質が数時間接触を続けると燃え出す。

こういう制約の中で、主人公たちがどのように逢って愛を育むのか。
まずはそういうとことから興味津々。

 



貧困層が多く住む「下」の世界に住むアダム(ジム・スタージェス)。
対して富裕層の「上」の世界に住むエデン(キルステン・ダンスト)。
双子の星なれど、多くのSFに見られるように、
ここにも歴然としてある格差社会。
そもそも、双方互いに「見上げた」ところにあるはずなのに、
一方を「上」と呼び、もう一方を「下」と呼ぶところからして、
その状況は定められているようなもの・・・。



二人は子供の頃、双方にある山頂で向かい合い、ひかれあうのですが、
その交流が人に知られて絶縁状態となってしまいます。
10年後。
二つの世界をつなぐ「トランスワールド社」に入社したアダムは、
エデンとの再会を試みるのですが・・・。

トランスワールド社のオフィスの光景が実にユニークです。
互いの天上に双方の世界のオフィスが広がっている。
そこでは会話も自由だけれど、
どこか「上」の世界の人々は「下」の世界の人々によそよそしい。
ところで、アダムが仕事としているのは、
アンチエイジングの美容クリームの研究で、
それというのは、クリームに逆の重力を持つ物質を混ぜ込み、垂れ下がった皮膚を持ち上げるというものなのです。
・・・おお!なんと画期的。顔のしわ伸ばしにはなりますが、
バストやヒップの垂れ下がりにも使えたら、それはいいかも!
(だがしかし、この地球上ではどう考えても実現不可能・・・)



愛しあう二人が抱き合えば、双方の重力が作用して、宙を舞う。
・・・ロマンチックですねえ。
思い切り、いろいろな想像力を掻き立てられて、楽しめる一作でした。
二人の子どもが生まれたら、どちらの重力を受けることになるのでしょう?
やはり、新しい世界の始まりに繋がるのかもしれません。



アップサイドダウン 重力の恋人 [DVD]
ジム・スタージェス,キルスティン・ダンスト,ティモシー・スポール
角川書店


「アップサイドダウン 重力の恋人」
2012年/カナダ・フランス/108分
監督:フアン・ソラナス
出演:ジム・スタージェス、キルステン・ダンスト、ティモシー・スポール

斬新な世界観★★★★★
ロマンス度★★★☆☆
満足度★★★★☆


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